南米熱帯アンデス山脈が原産地、アカネ科キナノキ属の樹木。
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Chin.は、この樹木の樹皮を乾燥させた「キナ皮」を原料にします。
「キナ皮」の主成分キニーネは、マラリア原虫を死滅させることから、マラリアの特効薬として有名で、かつては、日本薬局方にも、収載されていました。
「キナ皮」は、元々は、アメリカ先住民が大切にしていたもので、「キナ」という名前は、インカの言葉で「熱を防ぐ皮」を意味するKinkinaに由来します。
18世紀以降、マラリア特効薬としての評判がヨーロッパで広がると、乱獲により、野生のキナの木は枯渇してしまいました。
1930年代にはジャワ島の高地での栽培に成功し、世界のキナの90%が生産されるようになりました。
近年は、合成品が作られるようになり、生薬の需要は激減しました。
でも、ペルーの先住民たちは、今でも解熱、消化器系症状、感染症、強壮剤として使っているそうです。
ハーネマンは、1755生まれ。
当時のヨーロッパは、植民地政策により熱帯地方に進出する必要があったためマラリアの特効薬「キナ皮」は、大人気の特効薬でした。
瀉血中心の医学に絶望して医者として働かず、薬効書の翻訳をしていたハーネマンが「キナ皮」の記述に疑問を持ち、自分で飲んでみたことから「類似の法則」を発見したのは、ホメオパシー界では、あまりにも有名な話です。
Chin.は、一番最初に誕生したレメディです。
マラリアは、今の日本では、ほとんど見られない病気ですが、かつて太平洋戦争で南方方面に兵士として出かけた人の多くが罹って亡くなっています。
マラリアの症状は、40度近い高熱、悪寒、頭痛、関節痛、嘔吐、下痢、発汗です。
そして、一旦回復したかに言えても、症状が何度もぶり返すという間欠性の病気です。
私は、授業ではいつも、「もし、あなたが熱帯雨林のジャングルで、このような病気にかかったなら?」という質問をしてみます。
高熱と痛みで苦しめられ、嘔吐、下痢、発汗という症状でからだの水分を失っていくと?
マラリアに罹る人は、今の日本にはいないけれど、こういった症状は、コロナでもインフルエンザでも、肺炎や気管支炎、腸炎、肝炎、胆のう疾患、出血性の疾患、などでも起きることはありそうです。
Chin.の中心は、脱水による衰弱です。
身体の循環を担う「水」を失うというのは、命の力を失うということです。
多量の分泌物の排出、排膿、下痢、嘔吐、発汗、出血、授乳などから、極度の疲労、衰弱、頭痛、消化不良、貧血などの症状を発症します。
病気は消化器に持ちやすく、鼓腸のレメディでもあります。
胆石症にもよく使われるレメディの1つです。
胆石発作の苦しみを味わった人は多いと思います。
私の夫も10年ほど前に経験しました。
いくつかのレメディに助けてもらいましたが、彼の場合は、最終的にChin.が一番良かったと思います。
あるとき、発作を起こして、トイレに駆け込み、冷汗をかき、血の気のない顔色で、下痢と嘔吐と痛みにもがき苦しんでいました。
トイレからのヘルプで、私は、Chin.200c. を持っていきました。
暑さと、寒気と痛みで、まるで熱帯雨林のジャングルでもがき苦しんでいるような状態だったそうですが、レメディを口に含んだ瞬間、温帯の日本のいつもの自分に戻ったそうです。
胆石症って?
胆のうにできた石が、胆道に引っかかる痛みだそうですが、あの時は、なぜ、痛みがなくなったのでしょうか?
その後の検査では、まだ、石は残っているという結果が出ました。
いまだに謎です。
主人の場合は、Chin.があるという安心感と、食事療法で、だんだんに胆石の恐怖からは自由になりました。
ここ数年は、発作を経験していません。
脱水感が身体的な中心ですが、精神的な脱水感にもつながるのでしょうか?
いい加減なものでは満足できません。
最高のものを望みます。
芸術的な人。
とても気難しく、人との付き合い方も、深い触れ合いや友情を求めます。
そして、身体的にもこの点では共通していて、ささいな接触は嫌がり、きつい圧迫の方を好みます。
Chin.の人が住んでいる間違った病的な世界~ これは、精神の妄想の症状で表現されます。
MIND; DELUSIONS, imaginations; persecuted, that he is
迫害されているという妄想
MIND; DELUSIONS, imaginations; pursued, he is
追われているという妄想
MIND; DELUSIONS, imaginations; pursued, he is; enemies, by
敵に追われているという妄想
MIND; DELUSIONS, imaginations; tormented, he is
苦しめられているという妄想
MIND; DELUSIONS, imaginations; unfortunate, he is
不幸であるという妄想
太平洋戦争で東南アジアのジャングルでマラリアに罹ってしまった兵士は、きっとこのような気持ちだったのでしょう。
でも、日本にいて、マラリアにはかかっていなくても、
体内の大切な水分を不当に奪われるような状態に周期的に襲われたら、だれでも、このような気持ちになりそうです。
そして、このような病気の状態に対して類似の法則が働いて元の自由な状態に戻してくれるのがChin.です。