Lac defloratum. (Lac-d.)
動物をレメディの原料とするときは、その動物の一番個性的な部位を使います。
蛇はその毒。
ヒキガエルは、その皮膚から出す毒液。
鳥は、羽根。
哺乳類の場合は、そのお乳を使います。
その中でも、1番有名なのは、犬のお乳のレメディ。
他に、猫、ライオン、イルカ、馬など様々な動物のお乳がレメディとして使われています。
Lac-d.は、牛のお乳。スキムミルクを原料とするレメディです。
このレメディを学ぶとき、私は「乳牛の一生」というブログを紹介するところから始めます。
https://www.hopeforanimals.org/dairy-cow/227/
このブログは、現代の乳牛のあまりにも悲惨な一生について書かれています。
Lac-d.は、19世紀に作られたレメディですから、今の乳牛ほどは、悲惨ではなかったと思います。
でも、家畜としての悲しみは、マテリア・メディカの症状に反映していますし、私は、このレメディを学ぶことをきっかけとして、知っていてほしいと思うのです。
ブログを見ている最中に泣いてしまう生徒さんもいます。
私も、この現実を知ってから牛乳を飲むことや乳製品をとることを躊躇するようになりました。
今の牛乳の問題についての本を紹介してくれた生徒さんもいました。
「乳がんと牛乳」
ジェイン・ブラント著 径書房
Lac-d.の精神症状には、以下のようなものがあります。
MIND; SADNESS, despondency, depression, melancholy; conversation amel.
悲しみ:落胆、憂鬱、メランコリー;会話で好転
MIND; DELUSIONS, imaginations; convent, will have to go to a
妄想;修道院に行かなければならないだろう
MIND; FEAR; narrow place, in, claustrophobia
恐怖;狭いところ、閉所恐怖症
MIND; FEAR; toilet, in
恐怖;トイレの中
GENERALITIES; FOOD and drinks; milk; agg. aversion
牛乳による悪化、嫌悪
牛は、仲間同士で身体を舐めあって、清潔を保ったり、精神的な安定を得る習性があるそうです。このレメディにマッチする人も、悲しみを誰れかと話をすることによって楽に感じます。
また、友人や社会からはなれて、一人ぼっちでいるように感じている人もいます。
乳牛の一番の悲惨さは、母と子があまりにも早く引き離されることにありますが、このレメディを必要とする人も、母親とあまりにも早く引き離された経験を持つ人だったりもします。
狭いところへの恐怖については、と殺場のイメージではないかともいわれています。
身体的には、栄養状態が悪く、貧血気味で、歩くだけでもすぐに疲れてしまうような人。
牛乳に対して嫌悪感を持っている。
寒さに弱く、冷え性。
喉が渇いて、尿量が増加し、だるさと疲れやすさを感じ、痩せていく、糖尿病の症状にも重なるものがあります。
頭痛のレメディとしても有名です。
数年前、専門コースの授業で、スキムミルクを舐めてみるという超簡易プルービングをしたことがあります。そのとき、頭痛を経験した人が何人かいましたが、その痛みの部分が、ちょうど、牛の角が生えている部分だった人もいました。現代の乳牛たちは、安全のため角を切り落とすのですが、最も安上がりだけれど、牛には苦痛が大きい方法をとっているようです。
現代のインドのホメオパシーの巨匠、ラジャン・サンカランもこのレメディのプルービングをしたようです。
彼の著書“Soul of remedelies”にはそのときの経験が書かれています。
・マイルドで優しいが、活発で人を魅了しようとする傾向。おしゃべりで、表情豊か。
・受け入れてもらうために、共同体のために体を使ってとてつもなく働かないといけなと感じている。
・大切な人の喪失。母親を失ったテーマや早いうちに母親と引き離された養子の子供というテーマがあり見捨てられたと感じている。
・自分は汚いという感覚。これは動物レメディに共通するテーマです。
・閉鎖した空間を恐れる。
・自殺を考える。
スキムミルクには、ナトリウムが多く含まれていますが、Lac-d.はNat-m.と共通した症状が多くあります。
どちらも、悲しみのレメディです。
Nat-m.も早くに親と死別した心の傷を持っている人にしばしば見られます。
身体面では、大量の水を欲しがる、頭痛、便秘、吐き気、嘔吐、憂鬱、すすり泣き、動悸などがあります。