先日、CHK専門コースの4年生の授業で、このレメディをとり上げました。
このレメディの原料は、ヨウシュチンチョウゲです。セイヨウオニシバリともいわれています。一般的な英名は、mezereon. 種小名のmezereum.は、古いペルシャ語の「殺す」という意味の言葉が由来です。
「殺す」とか、「西洋鬼縛り」とか、なんだか怖い名前がついています。
ヨーロッパからコーカサス地方、トルコ原産。森や低木林、雑木林などに自生し、広く庭木としても栽培されています。
開花期は早春。
枯れ枝から、春まだ冷たい風が吹くころに、まず、ピンク色の花が開きます、そのあと葉が出てきて、赤い実をつけます。
なんだか、桜に似ていると思いませんか?
桜も、春を知らせるように、枯れ枝から一斉に花が開いて、散りかけたころから葉が出てくる。そのあと、赤いサクランボの実が膨らみます。
果実や小枝には、ダフネトキシンという猛毒が含まれています。
レメディには、この植物の樹皮を使います。
この毒は、皮膚を刺激し、炎症を引き起こします。発赤や疱疹ができます。
また、なめると、下痢と嘔吐を引き起こします。
これらの作用から、「植物の水銀」と呼ばれています。
なぜか、私は、ホメオパシーを勉強するようになって、早春に桜の花が咲き始める景色を見て、「Eruption」という言葉が浮かんでくるようになりました。
枝から、花弁が噴出してくるのを見て、皮膚から発疹がでるイメージがわくようになってきたのです。
この言葉には、
1. 火山の噴火;溶岩・間欠泉などの噴出:(医)発疹、皮疹、(歯牙)萌出
2. (怒り・笑いなどの)爆発:病気:戦争などの突発
といった意味があります。
Mez.もEruption 発疹のレメディで、以下のような皮膚の症状を持ちます。
Skin; ERUPTIONS; crusty 皮殻質の
Skin; ERUPTIONS; crusty; bleeding 皮殻質で出血した
Skin; ERUPTIONS; crusty; moist 皮殻質で湿った
Skin; ERUPTIONS; desquamating 落屑した
Skin; ERUPTIONS; discharging 粘液などを排出する
Skin; ERUPTIONS; dry 乾燥した
Skin; ERUPTIONS; eczema 湿疹
Skin; ERUPTIONS; herpetic; ヘルペス
Skin; ERUPTIONS; itching 痒い
Skin; ERUPTIONS; rash 発赤
Skin; ERUPTIONS; urticaria; nodular 蕁麻疹
水銀を原料とするMerc.は、皮膚のレメディといったイメージはないのですが、これらの症状をすべてカバーしています。
調べてみて、びっくりしました。
皮膚症状で有名なRhus-t. :ルストクス(ツタウルシ)やArs.:アルセニカム(砒素)も続きます。
Ars.は消化器の症状が有名で、焼けるような感覚や、下痢と嘔吐のレメディでもありますが、Mez.もそういった症状を持ちます。
Ars.と同様、すごい寒がり。
STOMACH; ANXIETY 胃で不安を感じる
この症状は、Ars.の代表的な症状ですが、Mez.も入っています。
Mez.の人は、何か心配すると、胃が空っぽになった感覚になり、胃潰瘍になりがちです。
一人になるとさらに悪くなり、つまらないことでイライラしてしまいます。
Ars.にそっくりです!
あと、このレメディの特徴的な症状に
EXTREMITY PAIN; LOWER LIMBS; Leg; tibia; night
脛骨(むこうずね)の痛み、夜に悪化する
というのがあります。
この症状を持つレメディで有名なのは、Aur.(金)のレメディです。
金といえば、重い貴金属ですが、それを原料とするAur.は、重い責任感に苦しみ、その苦しみに耐えられず、自殺傾向を持ちます。身体的にも、脳、心臓、目、骨など奥深く、上の方にあり、頭蓋骨や肋骨、筋肉などで大切に守られている臓器に病気を持ちやすい人です。
Mez.は皮膚症状のレメディとして有名なだけでなく、Aur.のように「夜に悪化する骨の痛み」も持っています。
世の中には、皮膚の症状を持つ人は、とても多いです。
レメディの中にも、皮膚の症状を持つものは多いです。
でも、急性でないかぎり、その人の皮膚症状を癒してくれるレメディは、全体像や特徴的な症状が、マッチしていないと役立ってはくれません。
Mezは、皮膚症状のレメディですが、Sulph.のように暑がりで、楽天的な人ではなさそうです。
寒がりで、Merc.(水銀)Aur.(金)Ars.(砒素)に似たエネルギー。
心身ともにどちらかというと暗くて深刻な気質を持った人だと思います。