日本語あれこれ研究室

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日常生活の日本語やメディアなどで接する日本語に関して、感じることを気ままに書いていきます

 

 

 この時期、「改憲」に賛成か反対かの世論調査等がよく出るけれど、調査の際には賛成・反対の他に「あなたは憲法を全文読んだことがありますか」も合わせて聞いてみてくれないかな、と思う。ちゃんと読んだ上で意見を言っている人がどのくらいの割合なのかが、けっこう気になるから。

 最近も「憲法には〇〇に関する条文はないそうです」というツイートをたまたま見て、自分でも確認すればいいのにと思ったのである。

 

 おれは何度か読んでいる。初めは小学館の単行本の『日本国憲法』を持っていたのだがハードカバーは読みにくいので、かなり前に「通販生活」に付いていた綴じ込み付録に替えた。

 憲法はたった103条だけどすぐに忘れてしまうので、何年かに一度くらい読み返している。

 

 しかしこの綴じ込み付録は9条だけが大きな活字になっていて、その点は気に入らないのである。

 裏表紙に「憲法論議はまず憲法を読む(知る)ことから始まる」と書いているのだから、初めて読む人に先入観を与えるような編集は勇み足ではないか? 9条については読んだ人が自ら考えることだと思うのだ。

 

 

 

 

 我が愛読してやまない『バーナード嬢曰く。』(施川ユウキ)は、ひたすら本の話ばかりの青春読書マンガ! 単行本は現在第7巻まで発売されている。

 この単行本のカバーを外してハダカにすると、本体の表紙のデザインが、実際に存在する文庫本の表紙の本歌取りになっているのである。しかも各巻ごとに元になっている文庫が異なっているという凝りようだ(実際には、表紙だけでなくて裏表紙とフロントページまで元文庫と同じデザインになっている)。

 

 というわけで、第1巻から第7巻までのハダカの表紙写真と共に、元ネタの文庫名を記してみたい。

 

〈1巻〉新潮文庫

 

〈2巻〉ハヤカワミステリ文庫・ハヤカワ文庫SF

 

〈3巻〉 ? ? ?

 

〈4巻〉ちくま文庫

 

〈5巻〉創元推理文庫・創元SF文庫

 

〈6巻〉徳間文庫

 

〈7巻〉講談社文庫

 

 以上お気づきのように、第3巻の元ネタだけが不明なのである。いや、口惜しいことにホントに分からない。

 お願いです。お分かりの方、ぜひとも正解をご教示くださいませんか?

 

★翌日追記★

 すぐに「名無し」さんからコメントをいただき、第3巻はサンリオSF文庫ではないかとのご指摘でした。ありがとうございました。

 

〇神保町をぶらぶらしていて「ジェイムスン教授シリーズ」の〈1〉を発見。1972年発行で、表紙・挿絵は藤子F先生。

 実物を見たのは初めてで、1100円だったのですぐに購入。

〈2〉以降も探したくなったぞ~。

 

 

 

〇『中野のお父さんと五つの謎』(北村薫)を読んだ。

 「十二」という題名の折り紙が、作中で謎解きのカギとなっている。これを新聞紙で折ってみた。財布状の物にポケットが6個。裏も同じ構造なので合計12のポケットがあるというわけ。

 これ考えた人すごいな。

 

 

 

〇「怪異と乙女と神隠し」の次回予告の映像。

 「桃華月憚」の次回予告とそっくりなことにお気づきの人もいるでしょうか? 一緒に「桃華月憚」を作った故・山口祐司監督へのリスペクトを込めました。

 

小黒祐一郎氏のツイート

 【確認したいことがあって『海がきこえる』の絵コンテ本を購入。勉強不足で知りませんでしたが、この作品では望月智充監督の絵コンテの次の段階として、作画監督の近藤勝也さんが絵コンテ用紙に作画参考として、ミニレイアウトのようなかたちで各カットの画を描いているんですね。】

 

これに対する望月のリツイート

 近藤勝也さんの清書コンテのうち、大きく抜けている箇所は近藤喜文さんの原画パートです(但し喜文さんのパートでも勝也コンテがある場合もあ)。

 喜文さんは120カットくらいの原画を描いたと記憶しています。まさに超人でした。

 

〇すぐ近所のマンション。2階のとあるベランダに以前から、円錐形の赤いコーンが2本置いてある。どちらも高さ150センチもあり、2本の位置が時々変わる。大きな針金ロールもいくつか見える。

 その家のカーテンの隙間から、人が頻繁に外を見張っている気配もある。何かから身を守っているのだろうか。

 

〇4月19日、ル・シネマ渋谷宮下の「海がきこえる」ティーチインの回で、開会前のロビーで次々にサインを求められました。

 十数人くらいの方にはしたのですが長い列ができてしまい、そのあと打ち合わせをせねばならなかったので多くの方は、やむなくお断りしてしまいました。

 何かと心残りではあります。申し訳ありませんでした。

 

 

 早朝、キャスターが開口一番「早起きお疲れ様です」と挨拶するTBSのテレビ番組があるのだが、何か少しヘンだなと感じる。

 アメブロに投稿すると「投稿お疲れ様でした」と文字が出ることがあるし、ラジオでは交通情報で「長時間の運転お疲れ様です」と言ってたりするし、ツイッターで投稿者のプロフィールに「プロフィール見にきてお疲れ様です」と書いてあることもあり、やはり何だかヘンだなと思う。

 これらの違和感について考えてみたい。

 

 赤塚りえ子(フジオプロ社長)が、外国暮らしから帰国したらメールでも電話でも職場のあいさつでも「お疲れ様」ばかりで驚いた、と数年前に新聞で話していた。

 「ご苦労様」という挨拶もある。かつては広く使われていたが、近年は目下から目上へは使うべきではないという考え方が増えてきて、替わって「お疲れ様」が多用されるようになった、という記述も見かけた。確かに「お疲れ様」は日常で頻繁に使われている。

 

 おれ自身は、社会人になった時から「お疲れ様」を普通に使ってきた。周りがもっぱらそう言っていたから、というのが大きい。目下や同世代には「お疲れ様」、目上には「お疲れさまでした」。

 特にアニメ業界なんかは、仕事場に来る時間や帰る時間が人によってまちまちなことが多い。それもあって、顔を合わせたときは「おはようございます」、帰るときには「お先に」「お疲れ様」などと、時間帯に関わりなく使える挨拶が便利だったりするのだと思う。

 

 というふうに、主に「お疲れ様」は残る人が帰る人に言うか、または仕事のあと一緒に帰る途中で別れる際に互いに言うなど、仕事を終えた人をねぎらう意味合いが非常に大きい。だから普段は何の抵抗もなく使っているのだが。

 とはいえ仕事上であっても、メールの冒頭がいきなり「お疲れ様です」から始まっていたりすると、やはり少々の違和感を持ってしまう。

 

 最初に書いた「早起きお疲れ様です」などの実例を考えてみるに、要するにテレビやラジオのアナウンサーだとか定型文の中だとかそういう、面識もない相手からの「お疲れ様」だから引っかかるのだと思う。

 さらに「早起き」や「投稿」や「運転」などは好きでやっている場合も多いわけで、別に疲れてるわけじゃないよ、と反発したくなる(場合もある)のではないか。

 ねぎらいの言葉を、知り合いでもない人から気持ちも込めずに言われることによる違和感。

 

 

 4月17日の朝日新聞に、上記タイトルの見出しで記事が載っていた。この記事本文の最初の一文が、次のようなものだった。

 

●スタジオジブリの世界観を表現した「ジブリパーク」がある愛・地球博記念公園(愛知県長久手町)で、運行を始めた映画「となりのトトロ」に登場するネコバスをイメージした車両に、盲導犬を連れた利用者が断られて乗車できなかったことが16日、わかった。

 

 一読して、ひとつの文としてはけっこう長い上に、関係節が名詞を修飾する仕方が複雑で意味が取りにくい。もっと分かりやすくならないか、試しに少しいじってみようと思う。

 

 まず中ほどを見ると、〔映画「となりのトトロ」に登場する〕〔ネコバス〕を修飾し、さらにその〔映画「となりのトトロ」に登場するネコバスをイメージした〕全体が〔車両〕を修飾している。頭でっかちな構造である。

 初めの〔映画「となりのトトロ」に登場する〕の部分を〔ネコバス〕の後ろで括弧に括ってみよう。

 

 次に、原文の〔運行を始めた〕が修飾している語は、何とずいぶん後の〔車両〕なのである。それに〔運行を始めた〕だけでは、その車両が運用を始めたばかりという事実がはっきりしない(それについては記事の後ろのほうに書いてあり、この出来事があった日が運行初日だったそうだ)。

 そこで修飾する先が離れすぎている〔運行を始めた〕をやめて、〔車両の運行初日に〕に変更してみる。

 

 以上をまとめて修正すると次のようになる。

 

●スタジオジブリの世界観を表現した「ジブリパーク」がある愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で、ネコバス(映画「となりのトトロ」のキャラ)をイメージした車両の運行初日に、盲導犬を連れた利用者が断られて乗車できなかったことが16日、わかった。

 

 以上のようになった(下線が変更箇所)。

 実はもうひとつ、〔スタジオジブリの世界観を表現した〕〔ジブリパーク〕を修飾し、さらにその全体が愛・地球博記念公園を修飾している構造も何とかしたい。

 いっそ、かなり有名である「ジブリパーク」には説明は要らないのではないだろうか。盲導犬が乗車できなかったことが記事の眼目なのに、そこに行きつくまでの説明が長すぎる。ついでに言えば〔断られて乗車できなかった〕だけでは誰が断ったのかが分からない。断った主体を記すことは必要だと思われる。

 

 また「運行初日」は最重要なことではないので、再修正して文を分けてしまおう。

 すべて総合して書き直すと以下のようになったが、いかがだろう。

 

●「ジブリパーク」がある愛・地球博公園(愛知県長久手市)で、ネコバス(映画「となりのトトロ」のキャラ)をイメージした車両に、盲導犬を連れた利用者が乗車するのをスタッフが断っていたことが16日、わかった。車両はこの日に運行を開始したばかりだった。