「ネコバス」、盲導犬の乗車断る | 日本語あれこれ研究室

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 4月17日の朝日新聞に、上記タイトルの見出しで記事が載っていた。この記事本文の最初の一文が、次のようなものだった。

 

●スタジオジブリの世界観を表現した「ジブリパーク」がある愛・地球博記念公園(愛知県長久手町)で、運行を始めた映画「となりのトトロ」に登場するネコバスをイメージした車両に、盲導犬を連れた利用者が断られて乗車できなかったことが16日、わかった。

 

 一読して、ひとつの文としてはけっこう長い上に、関係節が名詞を修飾する仕方が複雑で意味が取りにくい。もっと分かりやすくならないか、試しに少しいじってみようと思う。

 

 まず中ほどを見ると、〔映画「となりのトトロ」に登場する〕〔ネコバス〕を修飾し、さらにその〔映画「となりのトトロ」に登場するネコバスをイメージした〕全体が〔車両〕を修飾している。頭でっかちな構造である。

 初めの〔映画「となりのトトロ」に登場する〕の部分を〔ネコバス〕の後ろで括弧に括ってみよう。

 

 次に、原文の〔運行を始めた〕が修飾している語は、何とずいぶん後の〔車両〕なのである。それに〔運行を始めた〕だけでは、その車両が運用を始めたばかりという事実がはっきりしない(それについては記事の後ろのほうに書いてあり、この出来事があった日が運行初日だったそうだ)。

 そこで修飾する先が離れすぎている〔運行を始めた〕をやめて、〔車両の運行初日に〕に変更してみる。

 

 以上をまとめて修正すると次のようになる。

 

●スタジオジブリの世界観を表現した「ジブリパーク」がある愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で、ネコバス(映画「となりのトトロ」のキャラ)をイメージした車両の運行初日に、盲導犬を連れた利用者が断られて乗車できなかったことが16日、わかった。

 

 以上のようになった(下線が変更箇所)。

 実はもうひとつ、〔スタジオジブリの世界観を表現した〕〔ジブリパーク〕を修飾し、さらにその全体が愛・地球博記念公園を修飾している構造も何とかしたい。

 いっそ、かなり有名である「ジブリパーク」には説明は要らないのではないだろうか。盲導犬が乗車できなかったことが記事の眼目なのに、そこに行きつくまでの説明が長すぎる。ついでに言えば〔断られて乗車できなかった〕だけでは誰が断ったのかが分からない。断った主体を記すことは必要だと思われる。

 

 また「運行初日」は最重要なことではないので、再修正して文を分けてしまおう。

 すべて総合して書き直すと以下のようになったが、いかがだろう。

 

●「ジブリパーク」がある愛・地球博公園(愛知県長久手市)で、ネコバス(映画「となりのトトロ」のキャラ)をイメージした車両に、盲導犬を連れた利用者が乗車するのをスタッフが断っていたことが16日、わかった。車両はこの日に運行を開始したばかりだった。