日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)などが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の合意案の概要が10日、判明した。日本が輸入する農林水産・食品のうち、コメや麦など重要5品目は関税の削減や撤廃の対象から除外する。
日本側が輸入する農水産品の関税撤廃率は、環太平洋連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)よりも大幅に低い水準に抑える。初めてのEPAとなる中国からの輸入に対する関税の撤廃率は56%、韓国は49%とする。ASEAN諸国やオーストラリア、ニュージーランドは61%に設定する。
「合意案の概要が判明した」と言いつつ、一部の関税情報しか判明しなかったようですが、RCEP最大の懸念点は間違いなく『自然人の移動』です。
2017年の時点で下記のとおり交渉されており、その後何ら進展した内容が公開されていません。
人の移動(MNP):独立章のMNP章は,参加国で交渉されたように,貿易及び投資を促進する目的で,ある参加国から別の参加国への自然人の一時的な入国及び滞在に関する約束を含む。この章は,各参加国の約束表にあげられた自然人のカテゴリーに係る,透明性及び入国様式にかかる特定の義務も定める。人の移動に関する約束とサービス貿易に関する約束の構造と関係については,議論が進行中である。
インドを含めればRCEP参加国の総人口は約34億人、インドを除いても約20億人にもなります。しかも大半が発展途上国の民であり、これだけの人口が自由に日本に入ってくることになるかもしれないのです。
ハッキリ言って、この項目に比べたら関税の高低など大した問題ではありません。概要が判明したと言いつつ関税撤廃率が低いことのみを報道していては、本当に重大な問題を見落とすことになりかねません。
マスコミは重要な情報から報道するようにしてほしいものです。
<11月11日 13:00追記>
何故か怖いくらいに本稿にアクセスが殺到しておりますので、RCEPの内容について詳述(2017年11月時点)した過去記事を紹介いたします。お時間のある方は合わせてご覧ください。
過去記事[脱中国は脱RCEPから。日本政府は政策の見直しを進めよ]
<11月13日 12:00追記>
RCEPが署名直前まで騒がれなかった理由を考察しました。是非合わせてご確認ください。
何故RCEP亡国論が書かれなかったのか/国益よりも省益を優先する経済産業省官僚 中野剛志氏
<11月15日 19:00追記>
RCEPのメリット・デメリットについて分析しています。