今、韓国では、イ・ジュンギさん出演の最新作、『クリミナル・マインド』を放送中で、私もSHOW BOOMで視聴しています。ジュンギさんの演技・アクションは、素晴らしく、キム・ヒョンジュンは、魅力的なキャラクターとなっております。私には、ヒョンジュンは、歴代出演作のキャラクターの中で最もジュンギさん本人に近いキャラクターのように思えます。
作品について私が書けるような事は、あまりありません。犯罪捜査もののドラマはあまり視ませんし、異常犯罪などは、苦手な方です。プロファイリング用語や心理学についての知識もありません。
また、アメリカ版『クリミナル・マインド』は、1話も視ていないし、アメリカのドラマ自体、何年も視ていません。アメリカのドラマを最後に視たのは、いつだっけ?『ER』とか『Xファイル』の最初の方は、視ていたのだけど。アメリカ版の『クリミナル・マインド』は、イ・ジュンギさんも好きだと言っているので、視たいと思いますが、長いし、視る暇がありませんね。最近は、韓国ドラマもあまり視ていません。
私の母親は、日本の刑事ものやサスペンスドラマ、アメリカのドラマが好きで、アメリカ版の『クリミナル・マインド』もBSで放送したところまでは視ているようです。恋愛ものやホームドラマ・歴史ものには興味がないようで、殺伐としたものばかり視るのは、刺激を求めているのでしょうか?
韓国版の『クリミナル・マインド』視る前にアメリカ版の方を全話は無理でも何話か視ておきたいとも思いましたが、結局視る暇がなく断念しました。何の予備知識も無く、視ていますが、却ってその方が良かったと思います。「どのようにリメイクしても元のドラマのファンからは何か言われるでしょうが、別ものと思って視ていただきたい」というような事をスタッフの方もおっしゃっていましたが、その通りだと思います。国によって事情や国民性が違い、特に合理主義的なアメリカと「情(ジョン)」と「恨(ハン)」の国と言われる韓国の国民性は、水と油と思える程違うでしょう。視聴者の好みも違い、全ての人が好むような作品を作るというのは無理な話だと思います。
母がアメリカの犯罪捜査もののドラマを視ているのをチラリと視ると、過激なシーンがかなり多いように思えます。それと比較すると、韓国版の『クリミナル・マインド』は、残酷なシーンを控えめにしているように思えます。最初の方の回には、ちょっと過激なシーンもありましたが、だんだん少なくなって来たように思えます。こういったジャンルの作品は、万人向けではないですが、ジュンギファンの私としては、「ジュンギさんの演技をぜひ、視て下さい。」と宣伝させて頂きます。流血シーンは、一切ダメという方にはお薦めできませんが。
話は変わり、今テレビ東京で『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』を放送しており、多くの方が視て下さっているようです。私のつたないブログを訪問して、『麗』のページを見て下さる方も増えたようなので、『麗』に関することを書きます。
高麗青磁1
『麗』には、お茶を飲むシーン、化粧をするシーンが多く、そういったシーンで出て来る茶器・化粧品入れなどには、私には「高麗青磁に見えるもの」があり、たまにチラリと「象嵌青磁のように見えるもの」が映ることもありました。私は、「高麗青磁は、とにかく象嵌青磁は高麗初期には無かったはず、誰もこんな細かい事まで気にするまい。ケンチャナヨ!と思って使ったのかしら?」と思いながら視ていました。まあ、私も重箱の隅を楊枝でほじくったりする気はありませんが、陶磁器に少々興味があり、特に青磁が好きなので眼が行っただけのことです。
ドラマを撮影するに当たり、当時の時代考証に基づいて何から何まで準備し、忠実に再現するのは、無理というものでしょう。日本の時代考証家・放送作家の方が書いた参考文献1によると、日本の時代劇制作現場においても大河ドラマでは「時代考証」が入っているが、『水戸黄門』などには入っていない。江戸初期に生きた黄門さま一行が百年後の文化文政(ぶんか・ぶんせい)期のファッションになっているが、視聴者もドラマを歴史の真実として見ているのではないから苦情は来ないということです。
視聴者に不利益・不快感・誤った認識をもたらすような嘘はまずいですが、そうでない多少のフィクションは娯楽作品においては、止むを得ないのではないかと思います。しかし、ドラマのせいで誤った知識や認識を得てしまうのは困りますので、視聴者は、ドラマに描かれていることの全てが事実ではないという認識のもとに、ドラマを視る必要があると思います。
高麗王朝では、海外との交流・交易が盛んに行われ、その中で花開いた文化のうち、最も有名なものが高麗青磁です。参考文献2には、「青磁とは、東洋の代表的なやきもの。灰釉をその淵源とし、中国春秋時代(B.C.6~5世紀)頃には誕生するが、本格化するのは越州窯が焼成した古越磁で、後漢(A.D.1世紀)以後。宋代には盛んに焼成され、特に竜泉窯(注1)は一大生産地となる。中国以外では、朝鮮・日本・ベトナム・タイで焼成された。青磁の色は、釉中に含まれた微量(1~2%)の酸化第二鉄が還元されて酸化第一鉄となって呈色する。・・・」ということです。
青磁は、時期・生産地・窯により作風や釉色が違い、釉色には、オリーブ色・青緑色・淡青色・紫系の色等多様な色があります。参考文献3によると、青磁が中国陶磁の主流として営々と焼き続けられた最大の理由は、青磁が“秘色”と表現される深みのある釉薬を理想とし、最も中国の人々の琴線に触れるやきものであったからである、その根底には、“玉(ぎょく)”、新疆ウイグル自治区の崑崙山でしか産出されない角セン石の微細結晶である“軟玉(ネフライト)”を至高のものとする美意識が存在したからだとされます、というようなことが書いてあります。
“玉”に最も近い色の青磁というと、南宋時代の龍泉窯の青磁でしょうか。これを至高の青磁と考える人も少なくなくありません。日本でも盛んに輸入され上手のものは、“砧青磁(きぬたせいじ)”などと呼ばれ珍重されました。これも素晴らしいですが、私は、青・水色系の色が、最も好きなので、青磁の中でも淡青色系の釉色をもつ、中国北宋(960~1127年)時代の汝官窯(じょかんよう 注2)の青磁が最も好きで、その次に好きなのは、高麗青磁です。
参考文献4によると、朝鮮半島での青磁のはじまりを九世紀であるとする学者もいるが、青磁制作は十世紀高麗王朝の建国(918年)と軌を一にしている。統一新羅の伝統的な技術のうえに中国陶磁の技術と様式を上手に消化、吸収し、発展期に入った十一世紀の高麗青磁は、中国の宋・遼(注3)双方の影響を受けている。十二世紀以後翡色(ひしょく)青磁と象嵌(ぞうがん)青磁において、独自の発展をとげた、とのことです。
参考文献4によると、1123年に宋の使節として訪れた徐競が書いた見聞録に『宣和奉使高麗図経(せんわほうしこうらいずきょう)』(注4)で「陶磁器の色が青いのを高麗人は翡色という」と記録しており、宋の太平老人(たいへいろうじん)は、その著書『袖中錦』で宋青磁をさし置いて、高麗青磁の翡色を天下第一として記述しており、高麗青磁の美しさが国際的に認められていたことがわかります、とのことです。
高麗青磁には、無文・陰刻・陽刻・象嵌など様々な技法のものがあります。象嵌技法は表面に文様を彫り、そこに白土や赤土を埋め込み、一度素焼きした後、青磁釉を掛けてもう一度焼いたものです。私も素晴らしいとは思いますが、個人的な好みとしては、無文のものや国宝97号・国宝252号・宝物1028号のような陰刻のみの作品が好きです。他の色が入っていない方が、美しい翡色を堪能出来るように思います。象嵌青磁でも象嵌をポイント的に施したものは好きですが、一面に象嵌を施したの(下の写真の3番目のようなもの)は、にぎやかすぎるように感じられます。
コリア民族の人達は、本場中国にも無かった象嵌技法がいたくご自慢でお気に入りのようです。『イルジメ』19話で、ウンチェの父がイルジメから守ろうとした一番お気に入りのお宝も象嵌の高麗青磁でした。「あれが本物なら、朝鮮王朝時代でも貴重な品だったでしょうに。割れてしまって、もったいないな~」と思いながら視ていました。
注1 龍泉窯と書く方が一般的。中国の代表的な青磁窯。浙江省竜泉県一帯に広く分布している。
注2 汝官窯(じょかんよう)とも呼ばれる。北宋の末期に宮廷で使用する器を焼かせた窯。河南省宝豊県清凉寺村で窯跡が見つかった。
注3 契丹族が中国の北辺地域を支配した王朝。916~1125年
注4 本ブログ『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』と高麗に関する本参照。
参考文献1 山田順子 2008『なぜ、江戸の庶民は時間に正確だったのか? 時代考証でみる江戸モノ65の謎』じっぴコンパクト 実業之日本社
参考文献2 下中直人編集権発行1984 増補『やきもの事典』株式会社平凡社
参考文献3 出光美術館 2006 『青磁の美―秘色の探求―』
参考文献4 姜敬淑 2010 『韓国のやきもの』淡交社
参考文献5 東京国立博物館 2002『韓国の名宝』