米国メディア・議会によるフェイスブック追及はトランプVSソロスの代理戦争 | MATTのブログ ~ 政治・経済・国際ニュース評論、古代史、言語史など ~

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元新聞記者。 アメリカと日本を中心にニュース分析などを執筆します。

 

 

今年5月の個人情報流出に端を発するフェイスブックをめぐる立て続けのメディアによる不祥事報道により、同社は大いに揺れているが、一連のフェイスブック対メディア(ニューヨークタイムズ、CNN、CBS・・・)+議会の動きを見ていると、どうやらこの問題は、トランプ大統領と大物ユダヤ人投資家ジョージ・ソロス氏との代理戦争であるらしい。米メディアは大方、ソロス氏を代表格とするウォール街金融資本家のコントロール下にあるというのが常識だ。つまり現職大統領のトランプ氏寄りのフェイスブック経営陣を、トランプ大統領と対決関係にあるジョージ・ソロス氏らウォール街の金融資本家(=米国を支配するディープ・ステイト)が追い落とそうとする構図に見える。

 

ことの起こりは、米フェイスブックのユーザー約5千万人分の個人情報が不正に第三者にわたっていた可能性があると今年5月、米紙ニューヨークタイムズと英紙ガーディアンが内部告発者の証言を基に報じたこと。これらの情報は、英データ分析会社を通じて、2016年の米大統領選でトランプ陣営が使ったとの指摘が出た。米英の議会も巻き込み、フェイスブック社への社会的な批判は一気に高まった。

 

報道はフェイスブックを通じてユーザーの調査を行った英ケンブリッジ大の心理学の教授が、そこで得た約27万人分の個人的嗜好や行動に関するデータを不正に英の選挙分析会社ケンブリッジ・アナリティカ社に渡したというもの。

 

ケンブリッジ・アナリティカ社はデータを使って選挙時の有権者行動に影響を与える業務に従事しており、創設にはトランプ氏の側近だったスティーブ・バノン氏が関わっていたとされる。2016年の大統領選でトランプ氏が有利になるようにユーザー情報が使われた可能性が指摘された。

 

フェイスブックは記事が出る前夜、ケンブリッジ・アナリティカを同社のサービスから締め出すと発表。2015年の時点でデータを消去するよう申し入れていたとする声明を発表。また、情報が盗み取られたわけではなく、所管外の組織による不正であるとして、フェイスブック社の正当性を強調した。

 

さらにニューヨークタイムズは、ザッカーバーグ氏と最高業務責任者(COO)のシェリル・サンドバーグ氏が「危険な前兆を認識しながら、無視していた」と経営陣を追及する論陣を張った。これによると、フェイスブック社は、ロシアがフェイスブック内の記事に干渉していたことについて、早ければ2016年春の時点で把握していたと主張している。

 

さらにニューヨークタイムズなどによると、フェイスブックは2017年10月、共和党と関係が深いロビー会社、ディファイナーズ・パブリックアフェアーズ社を雇い始めた。同社は当初、報道をモニタリングするために採用されましたが、フェイスブックへの批判に対する反論を行ったり、フェイスブックに対する批判派を中傷する情報を拡散したりし始めた。中傷された批判派には、大物投資家のジョージ・ソロス氏や政策評論家などが含まれていた。

 

ソロス氏は世界経済フォーラムでのスピーチの中で、フェイスブック(とグーグル)が独占企業であると批判する一方、デ社は、ソロス氏が反フェイスブック活動の大部分に対して資金提供している黒幕だと主張したとされ、両者の対立は高まった。

 

ザッカーバーグ氏は、デ社がソロスを中傷することを「許可したことはないし、私たちの会社が関与したものだとは思わない」と自社の関与を否定している。さらにザッカーバーグ氏は11月20日、CNNのインタビューに応じ、自らのCEO辞任を否定するとともに、デ社の活動について「ニューヨークタイムズの記事を読んで初めて知った」と改めて自らの関与を否定している。

 

フェイスブック社の公共政策責任者だったエリオット・シュラージ氏は辞任したが、ディファイナーズ社を雇った責任を取ったらしい。テッククランチ誌の取材によると、シュラージ氏はディファイナーズにライバル会社(アップル社)に関する否定的な情報を拡散させたことは認めたが、フェイクニュースを流す依頼やその報酬の支払いについては否定している。

 

 また、フェイスブック社はトランプ大統領がイスラム教徒の米国入国について「全面的に完全に遮断すること」を主張して議論を呼んだ2015年の投稿を、自社が放置してことでも批判されていたが、ザッカーバーグ氏は判断の正当性を主張している。

 

さらに、2016年の米国大統領選におけるロシアの情報操作による介入を見落としたことについては、「私たちがとても重要なことを見落としたのは間違いない」と認めながらも、「私たちが予測できたものではなかった」と過失がなかったことを主張。COOのシェリル・サンドバーグ氏も、CBSの番組に電話出演し、「フェイスブック社はだれかのためにフェイクニュースを作ることは絶対にしなかった」と語っている。