驚くべき?サンスクリット語と日本語との共通性 | MATTのブログ ~ 政治・経済・国際ニュース評論、古代史、言語史など ~

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元新聞記者。 アメリカと日本を中心にニュース分析などを執筆します。

 

 

 

きょうは、インドのサンスクリット語と日本語の共通性について書いてみます。サンスクリット語は、かつてインドなど南アジアや東南アジアで使われていた古代語です。文学、哲学、学術、宗教などの分野で広く用いられていました。仏教、ヒンズー教、シーク教、ジャイナ教の礼拝用言語でもあり、現在もその権威は大きく、生活で使っている話者は少ないものの、現代インドの22の公用語のうちの1つとなっています。

 

サンスクリット語は梵語ともいわれ、その多くの言葉が仏教とともに中国経由で日本に輸入されたことは有名です。印欧(インド-ヨーロッパ)語族と呼ばれるだけあって、サンスクリット語は東洋の言語よりも西欧系諸語により濃厚な影響を与えたのですが、日本を含む東アジアや東南アジア全体にも少なくない影響を与えました。

 

 

たとえば、ブッダ→浮屠(ふと)→仏(ほとけ)、ストゥーバ(仏塔)→卒塔婆(供養のための細長い板)、ダン(寄付する)→旦那(寄付できるほど裕福な男性)、ダルマ(達摩=世界を支配す法則、または仏教の高僧の名前)や、サンガ→僧(男性の出家修行者)、アンバ→尼(仏門に入った女性)、ヨーガ(ヨガ)、ゴマ(護摩=護摩木を燃やす祈禱)、エンマ(閻魔=地獄の主)、ディヤーナ(瞑想)→禅那→禅(座禅)、ナーマ(南無=名前)、ウラムバナ→盂蘭盆(お盆)、ボーディ(覚りの境地)→菩提、ニルヴァーナ(生死を超えた覚りの世界)→涅槃、カーシャーヤ(僧侶の衣服)→袈裟、サリーラ(身体)→舎利(ブッダの遺骨)、カッピナ(釈迦の弟子)→金毘羅、アシュラ(仏教の守護神)→阿修羅、マーハ(偉大な)→魔訶(非常に)、アーガ(水)→閼伽(アカ=仏前に供える水)、サーナ(時間の最小単位)→刹那、アウン(サンスクリット語で最初の音と最後の音、宇宙の始まりと終わり)→阿吽(あうん)などがあります。

 

いずれも、仏教と関係の深い言葉ばかりです。魔訶に不思議がついて「摩訶不思議」(人知を超えた素晴らしさ→非常に不思議)という言葉があります。「魔訶」は英語で言えば「very」(非常に)ですね。「阿吽の呼吸」とは、「息の吸い始めと息の吐き終わり」が転じて「息がぴったり合っている」の意味になりました。

 

しかし、仏教が日本に伝来したのは6世紀で、4世紀の漢字の輸入と比べてもかなり遅い伝来であり、ある意味、日本語にとっては外来語といっても良いほどです。その意味では、それよりかなり早い時期(3世紀以前)に日本語に影響を及ぼしたかどうかが問題なのです。そのためには、仏教とは関係のない言葉、漢字の音読みではない言葉を探す必要があるでしょう。

 

この考えで行くと、やはり日本語に取り入れられた言葉が少なからずありました。たとえば、カーカ(カラス)、カター(お話)→語る、語り、スルガ(空、天国)→駿河(するが)、キラナ(光線)→キラキラなどです。ナーマ(なまえ)もそうです。仏教とともに伝来した「南無阿弥陀仏」の「南無」ではなく、そのはるか以前から伝わっていたと思われる「なまえ」です。「な」「なまえ」は漢字の音読みではありません。つまり漢字とともに輸入されたわけではないということです。