驚くべき?中国南部の広東語、閩語と日本語の共通性 | MATTのブログ ~ 政治・経済・国際ニュース評論、古代史、言語史など ~

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元新聞記者。 アメリカと日本を中心にニュース分析などを執筆します。

 

 

一昨日にも書いたとおり、日本語の最初の原型はどうやら南方のオーストロネシア言語と同様、中国南部の福建省あたりから来た可能性が高いと考えられます。そのためと思われますが、中国南部の福建省や広東省の言葉と日本語は、お互いに非常によく似ているのです。

 

この「似ている」というとき、日本の「音読み」、つまり漢語(中国語)の読み方を取り入れた読み方が中国の言葉に近いのは至極当然のことですので、ここでは敢えて触れません。日本固有の「やまと言葉」と中国南部の言葉がよく似ているという点が重要なのです。漢字とともに漢語が日本に渡来したのは、4世紀頃といわれており、このとき中国から伝来したのが日本語の「音読み」です。ですから、それ以前、つまり少なくとも3世紀以前に中国から(漢字を伴わず)日本にわたってきた言葉がどれくらいあったのかを問題としなければなりません。

 

中国南部から琉球経由で来たか、朝鮮半島経由で来たのかはこの際問いませんが、私としては航海術に長けた福建人(閩民)のことですから、紀元前の時代から丸木舟で頻繁に渡来しているうちに(しかも互いに)、言葉が渡ってきたのではないかと考えています。

 

たとえば、福建省や台湾で使われている方言を閩(びん)語と呼ぶのですが、このうち厦門(アモイ)や台湾で話されている閩南語では、「リム(飲)」(古語では「イム(飲)」)が「飲む」、ついでに広東語でも「ヤムチャ(飲茶)」の「ヤム(飲)」です。

 

 

また、閩南語で、一から十までの数詞を「イッ(いち)、ニー(に)、サン(さん)、シー(し)、ゴー(ご)、ラック(ろく)、シッ(しち)、ペー(はち)、カオ(く)、ヂャップ(じゅう)」といいます。日本語ときわめてよく似ています。これらは音読みなので当たり前と言えば当たり前ですが、北京語より中国南部の閩南語のほうが似ているということを言うために取り上げました。閩南語では「猫」という漢字を「ニャウ」と読むのですが、これは日本語における猫の鳴き声とほぼ同じですね。

 

閩南語の方言である潮汕語(福建省に隣接する広東省北部で話されている言葉)では、何処を「ドコ」と読みます。閩語のうち福建省の福州で話されている閩東語では、「スワヤー」が「座れ」の意味です。

 

香港などで話されている広東語では、「ハイ」は日本語の「はい」、英語の「Yes」の意味です。日本語と同じです。また、日本語では文節(文)の最後に「か」をつけると疑問形となりますが、広東語でも「ガ(嘎)」をつけると疑問形になるのです。この点もきわめてよく似ています。

 

さらに、これは中国南部の言葉に限らずいえることですが、中国語で「馬」は「マー」。これが日本に渡来して、「う」という接頭辞が付いて「うま」という大和言葉(なぜなら「うま」は音読みではなく訓読みである)になったと考えられるし、中国語の「梅(メイ)」に「う」がついて日本語の「うめ」に、中国語の「水(シュイ)」に接頭辞の「み」がついて日本語の「みず」に、中国語の「魚(ュイー)」が日本語の「うお」になったと考えられます。

 

また、中国語で「太る」は「パン」というのですが、これが日本に渡来して「(お腹が)ぱんぱん」になった。中国語で「痛い」は「トウ(疼)」ですが、これが日本に渡って「いたい」になったと思われます。広東省北東部の客家語で「おいしい」は「ホウシッ(好吃)」というのですが、これが日本に渡来して「おいしい」になったと考えられます。