パチンコを打つ人々シリーズ第2回をお送りいたします。
私の隣に男性が座り、慣れた手つきで1万円札をサンドに投入し、ハンドルを回してパチンコを打ち始めました。
と、この人が正面を向いていたのはここまで。
以降は、両隣はもちろん後ろの台など座ったままでとにかく視覚に入る台は頻繁に振り返ったりして見ています。
キュイン♪と確定音がどこかで鳴れば必ず鳴った先を確認し、絶えず他人の台を見続けています。
見ているものはというと、別に熱い演出といったわけではなく、通常のはずれ演出や大当りラウンド中だったりと普通なら特に気になるようなものはありません。
隣の私の台に「リーチ」と声がかかれば、熱いかどうかは関係なく必ず見てきます。
そんな彼に激アツ演出の魚群リーチがかかりました。
今までロクに自分の台を見ていませんでしたが、これにはさすがに正面を向き、スーパーリーチの行方を追っています。
と、そんなリーチ中に私の台にも「リーチ」の声。
魚群が発生したわけでもなくただのノーマルリーチなのですが、魚群スーパーリーチ中の彼が、
見てきました。
おいおい、こんなリーチよりも自分の台の方が気になるのでは。
お互いにリーチははずれましたが、彼は特に悔しがる様子もなく、ポチッと貸玉ボタンを押したかと思うとまたキョロキョロと他人の台を見始めました。
とにかく自分の台に向かってる時間よりも他人の台を見ている時間の方が圧倒的に多いのです。
常にキョロキョロしていることから、「キョロ男」(女ならキョロ女かな)などと呼ばれます。
ごくたまにこういう人を見かけます。
さて、何故このように他人の台が気になってしまうのでしょうか。
今回はそのキョロ男の心理状態を掘り下げてみたいと思います。
「何故他人の台を見るのか」
他人の台を見ること自体は別に不自然な行為ではなく、今や当たり前くらいのことでしょう。
大当りや激アツ演出の時などあらゆる場面において、派手な音や光が発せられ、嫌でも周りの注目を浴びるからです。
レアなプレミア演出なら見入ってしまうことも珍しくありません。
でも、リーチがかかっただけだったり、ただのハズレ演出までジロジロ見てくるのは度を過ぎた行為といえるでしょう。
私は見られて困ることはありませんが、気になってしまうっていう人は多いと思われます。
そこまでして何故見るのかといった事を考えたときに、
まずは、「大当り等のデータ収集」 といった事が考えられます。
スロットでは設定差というものがあるため、よく当たる台が高設定の可能性があり、高設定を示唆する演出や各モードがあるため、設定判別といった理由から他人の台もなるべく把握しておこう、という考え方があります。
でも、パチンコには設定差がなく、同一機種ならどの台も大当り確率は一緒です。
当たり台、ハズレ台などといったものは意図的には存在しないといえます。
どの台に座れば良かったのだろうか、といった結果を常に気にしているのかもしれませんが、それにしては、最もその結果が気になるであろう自分の台を見向きもしないのが不自然になってきます。
ということはもしかして、他人の台が気になるというよりは、
「自分の台が直視できない」
のではと考えてみました。
パチンコというのは、心の奥底で現実逃避が目的の場合もあるようです。
苦しい現実から逃れたい、と心のどこかで思いながらパチンコをし、その資金が生活費や借金など本来なら使ってはいけない、使うべきではないお金だった場合、
その大切で貴重なお金が目の前で大量のハズレ演出と共に瞬く間に消え去っていく
ことをとても直視できない。
現実逃避が目的でパチンコ屋に来ておきながら、パチンコという現実すら逃避したい。
ということが考えられます。
結論付けてもいいくらいかもしれません。
パチンコ依存症にどっぷりと浸かっている人だと思われますので、キョロ男を見かけた際は、しっかりと現実をみるように、とアドバイスすることが最善だと思われます。
難しいですけど。