プレステージ | akaneの鑑賞記録

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notenotesさんおススメの映画を見てみました!
 

 


19世紀末のロンドン。

ボーデン(クリスチャン・ベイル)はライバルであるアンジャー(ヒュー・ジャックマン)の瞬間移動マジックを調べるため、彼のマジックの最中に舞台下に侵入する。

するとアンジャーはボーデンの目の前で、2人にとっていわくつきの水槽に落ちて溺死。

そばにいたボーデンはアンジャー殺害の容疑で逮捕される。

 

 

 

遡ること数年前。

若く野心に満ちたアンジャーとボーデンは、あるマジシャンの下で互いに修行していた。

 

 

 

ある時、助手であったアンジャーの妻が水中脱出マジックに失敗し溺死する。その原因はボーデンが結んだロープであった。

 

 

 

2人は決裂し、アンジャーは復讐のためにボーデンの手品を失敗させ、ボーデンは左手の第4・第5指を失う。

以後、彼らは一流のマジシャンとして名声を得るが、2人は互いの邪魔をしながら激しく競い合うようになる。

 

 

 

 



原作となったのは、1995年発刊クリストファー・プリーストの小説『奇術師』ですが、二人の奇術師の秘密を後の子孫が解明するという内容なので、トリックは同じでもストーリー展開は違うかもしれません。



マジック監修はなんとデビッド・カッパーフィールドが担当!
瞬間移動のイリュージョンのタネをめぐって対照的な答えが披露されます。

 

 

クリストファー・ノーラン監督、当時まだ30代ですが、2005年バットマンビギニング、2006年プレステージ、2008年ダークナイトってのが凄いですよね。




ノーラン監督お得意の手法、何度も時間軸が交差するので、少しわかりづらく感じるところもあります。
マジックがテーマではありますが、ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベイル演じる2人のマジシャンの軋轢とマジックへの執念が話の核になります。
舞台が19世紀末のイギリスということで、衣装やセットがとてもオシャレ。
特にヒュー・ジャックマン!スラっとしたスタイルと美しい体の動き。
もうどうしてあんなに時代物の衣装が似合うんでしょうね~。
まさに「レ・ミゼラブル」や「グレイテスト・ショーマン」です。





下積み時代のアンジャーとボーデンの直接の師であり、トリックの考案と小道具の開発を行うエンジニア役のカッターにマイケル・ケインというのが良いですね!!

 

 

大好きな俳優さんです。
なんといってもブルースぼっちゃまとアルフレッドじゃありませんか~~!!

 

 

マイケル・ケインさんの執事、完璧ですよね。

そばにいてほしい。。。

 

 

 


まだアベンジャーズでブレイクする前のスカーレット・ヨハンソンも、マジックのアシスタントとして重要な役どころです。

 

 

 

 

ウルヴァリンとバットマンとブラックウィドウ!最強だな!
 

 

 

 

 


アンジャーが演じる瞬間移動のマジックは、天才的な科学者ニコラ・テスラが作った大掛かりな電気装置を使います。

 

 

 

テスラは交流電気を開発した実在の科学者ですが、直流電気を開発したエジソンとの競争に追われており、実際に“コロラド・スプリングス”で電流実験を行なっていました。

 

 

 

天才的な科学者であり発明家でしたが、奇抜な発想と、オカルトへの傾倒からマッドサイエンティストとも評されています。

 

 

この科学者を演じるのがなんとデヴィット・ボウイ!

 

(なぜかちょっと福山雅治に見えてしまう…)

 

孤高の天才って雰囲気があってとっても良いです。

品が良くてミステリアス。
ボウイはもちろん色々映画も出演していますし、音楽以外にも自分を表現する才能がたくさんある人だったんだな、と思います。
(比べちゃいけないけど、クイーンは違うタイプですね。音楽に専念しましょう!)






ネタバレは一切見ないで、映画を楽しんでください!としか言えません。
見終わった後はちょっともやっとします。
純粋にマジックだけでなく、ちょいとSF要素が入ってきちゃうし、あまり救いのないラストなのでスカッとはしないです。

 

でも見終わった後、グルグルあーだこーだと考えて、色々ネタバレサイトなんかも読んで「そーだよねー」って思いながら反芻するところまでが、この映画の醍醐味なのかも(笑)






すべてのマジックは3つのパートで成り立っています。

 


☆最初は「確認(プレッジ)」
マジシャンは何でもない物を見せて、タネも仕掛けもないことを確認させます。

☆次は「展開(ターン)」
物を消したり移動させたり驚くべきことをして見せます。


☆最後に最も難しいパートが「偉業(プレステージ)」。
消した物を元に戻さなければ観客は拍手をしません。
この映画のタイトルである「プレステージ」はこれを意味しています。






光と影の二人、アンジャーとボーデン。


ロバート・アンジャー

 

 

芸名は「偉大なるダントン(グレート・ダントン)」
貴族出身である身分を隠してマジシャンをしている。
演出力、演技力は優れているもののトリックの発想ではボーデンに劣る。根っからのショーマンであった彼の目標は、観客と夢の一瞬を共有すること。

 

 

そして妻と幸せな家庭を作りたかった。
 

 

 

 

 

 


アルフレッド・ボーデン

 

 

芸名「教授(プロフェッサー)」。
孤児として生まれ育ち、身元が謎に包まれたマジシャン。
ボーデンの信条はあくまでも「タネ」であり、マジックのトリック、テクニックが全て。
そのためには自分の人生を犠牲にしても構わない
トリックは一流だが、セットや口上は地味で今一つ。

 




 

 



ヒュー・ジャックマンはまさに光の人。
ステージでの輝き、身のこなしが美しい。

 

 

演技もミュージカルというか、舞台俳優っぽい感じにしています。
最初、若い見習のころを演じている時、マジックの手伝いをするために、ボーデンと2人、客席にサクラとして仕込まれているのですが、指名されて嬉しそうにピョンとステージに飛び乗ったり、ピョコってお辞儀したりするのがめっちゃ可愛い!!

 

設定は光の人なのに、愛する妻を失い、何をやってもボーデンには適わない。

遂にはまさに魂を売って究極のマジックを完成させるも、最後までボーデンに勝てなかったのが辛い。。。
どうしても勝ちたかったんでしょうね。

その執念だけで生きながらえていたようなものなのに。

多分アンジャーは、最後のマジックで名声を得て、その輝く瞬間を観客と共有できたことで終わっても良いと感じていたかもしれません。
でも、トリックを知りたいボーデンは、やはりその場所に来てしまうんですよね。
そして悲劇は起こってしまう。


 

 



対して影のクリスチャン・ベールは、心理的な演技でキャラクターの演じ分けをしていて

 

 

温かさ、シニカルさ、探求心、狂気、全てをさらっと演じてしまうのが凄い。
この二人の演技アプローチの違いが興味深いです。

そしてボーデンも愛する妻サラを失ってしまう。

 

観客は何も見ていない

知りたくないことから目をそらし、騙されようとする

 

この心理が、サラにも当てはまります。

サラは優しいボーデンとの幸せな生活を失いたくなく、違和感に気づかないふりをしていましたが、ついに耐えられなくなってしまった。
アンジャーの妻とは全く別のシチュエーションだけれど、やはりマジックの犠牲になってしまったのです。

 

 

 



ボーデンの存在に関しては、自然発生説と人工発生説、二つの解釈がありますが、私は断然人工発生説ですね!
同じ「テスラ」の装置を、1回だけ使った人間と100回使った人間。

それぞれの運命…

 

 

でもアンジャーを止めてあげられるのは、ボーデンしかいなかったのだろうな、とも思います。


ボーデンがトリックを考え、アンジャーが演じる。
こういう形で共存ができたら、無敵のチームになったかもしれないのに…