前回、人名用漢字の話をしたので、もう少し続けたい。
高校・大学時代は日本語にたいへん興味を持っていて、本や資料などをよく見ていた。なので人名用漢字の変遷についても、その頃には認識していたのである。
「冴」の字が人名用漢字に追加されたのは1976年だった。
だから80年前後から活躍し始めた声優の島津冴子について、本名ではないはず、などと勝手に推測していた(島津さんとは後に何度か一緒に仕事をしたが、本名を聞くのはすっかり忘れて今に至っている)。
氷室冴子を愛読し始めた時にも、本名ではないはずだと推測したが、果たして本名は「碓井小恵子」といった。
氷室さんとも仕事で一緒になった。氷室さん原作の『海がきこえる』という小説をアニメ化した。憧れの小説家だった。
二人とも北海道出身だったこともあり色々な話をしたりしたが、その後あまり本を出さなくなり、2008年に急逝された。
また、長年の友人の妻で「しょう子」という名前の女性がいる。1960年代前半の生まれだと思う。
「しょう子」は彼女の戸籍上の本名で、親は「蕉子」という名前にしたかったのだという(芭蕉の蕉である)。しかし「蕉」が人名用漢字になかったため、やむなく平仮名で届けを出したのだそうだ。
その「蕉」は1990年にめでたく人名用漢字に追加されたのだが、しょう子さんが改名の手続きをしたとかいう話は今のところないようだ。
画像は恋人岬から見下ろした海。ものすごい断崖絶壁ではなく、リアルに高いのがかえって怖かった。