ティムクリスチャンセン(ヴォーカル ソングライター ギター)
ビートルズに目覚めたのはずいぶん早かった。2、3歳の時。最初に歌えるようになった曲が(シーラブズユー)だったのは覚えている。すっかり夢中になった。その気持ちは今も変わらない。もっとも最近は後期の曲にひかれているんだけど。
一番の魅力はメロディーの豊かさといつも限界に挑戦し、新たなジャンルを切り開いていこうとする好奇心。それからユーモアのセンスも大事だと思う。
好きなビートルはピートベスト。。。なんてね。それは冗談。いつの時期なのかにもよるけど、どうしても一人を選ぶとなるとジョンレノンかな。
一曲なんて選べないよ。ただ(アイアムザウォルラス)はめちゃくちゃ面白いと思う。曲作りはもちろん音作りの点から言っても。
ポールマッカートニーには一度だけ会ったことがある。ポールがコペンハーゲンでコンサートをやった時だ。僕の人生で最高の出来事の一つだ。それから1999年にソロになって初めてツアーで(ヘイブルドッグ)を演奏したこともある。
ディジーミズリジーと言うバンド名はビートルズの曲から取った。アルバム(ヘルプ)に入っているとはいえビートルズのオリジナル曲じゃないし、バンドとも全然関係なかったんだけど、いわゆる(若気の至り)でつけてしまった。今ならそんな名前は付けないと思う。意味の薄い名前だよ。でもバンド自体にはちゃんと意味があったよ。
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ティムクリスチャンセン マッカートニーカヴァー
https://www.youtube.com/watch?v=AQKuY1pNST8
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ジョンレノンカヴァー
https://www.youtube.com/watch?v=q9m-NaXPHUU
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ティムクリスチャンセン ビートルズカヴァー
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ティムクリスチャンセン ビートルズカヴァー
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ティムクリスチャンセン ビートルズカヴァー
すごくはっきりと憶えているよ。初めて聞いたのは9歳か10歳の頃でおじさんのうちに遊びに行った時だった。おじさんは大のビートルズ/ポールファンでメンバーのソロを含む全作品をコレクションしていたんだ。でもその中で唯一彼が嫌ってたのが(ラム)で彼がそれを僕にくれたんだ。アルバムをもらえるなんてすごいことで、当時は全部合わせても10枚ぐらいしか持っていなかったから、すぐに家に帰って(ラム)を何度も何度も繰り返し聞いたよ。それ以来、本当にいつも(ラム)を聴いてた。その後、このアルバムがどんどん好きになったし、なぜおじさんが(ラム)を気に入らなかったのかさっぱりわからなかった。
最近他の人とポールについて話をするときに(一番のお気に入りのアルバムは?)って聞くと(ラム)を挙げる人がすごく多いんだよね。だからこの作品には特別な何かがあるんだろうと思う。
僕のお気に入りの曲は(ディアボーイ)なんだ。 ジョンに向けた曲でもあると僕は思うし、でもそれってこういう曲が誰に対しても当てはまるってていうことを証明していると思うんだよね。リンダのもとの旦那さんについてかもしれないし、ジョンについてかもしれないし、誰かほかの人に当てはまるかもしれない。ある意味、誰にでもあてはまるかもしれないって思うんだ。
同じ年ジョンが(イマジン)をリリースしてその中の(ハウドゥユースリープ)で今度はジョンがポールを攻撃している。復讐しているんだよね。その当時二人ともバンドの解散に対して不満を抱えていて、そういった感情に何とか折り合いをつけようとしていたんだろう。でもそれは結果的に僕は良いことだったと思うんだ。作品としては(ラム)も(イマジン)も素晴らしいアートなわけでそれが出来上がったのも複雑な感情があったからこそだからね。だからそういう意味で僕にとってのポールのベストアルバムは(ラム)なんだよね。ポールのハイライトは(バンドオンザラン)だったって言う人も多いけど僕はそうは思わない。彼のキャリアにはハイライトと呼ばれるものがいくつも存在するけど(ラム)がアルバムでは一番だと思うんだ。
このアルバムは生々しいヴァイブを持っていて歌詞には不満やネガティブな感情があるけど、すごく強い感情なんだ。それがメロディにも、どこか影響しているからこのアルバムが抜きんでたものになってるんだと思うよ。
ノエルギャラガ―はすごく優しくていい人だった。話し始めて彼と僕にはたくさん共通点があることが分かった。メロトロンやビートルズの話で盛り上がったね。いわゆる(オアシスのノエル)という意味で想像する横柄でロックスター的な感じは全然なかったんだ。すごく静かで実はちょっとシャイですごくいい人だった。僕がポールマッカートニーのトリビュートコンサートをすることを伝えたんだ。そうしたら彼はすごく感心してくれてね。もし連絡が取れればこのコンサートに参加しないかって誘ってみようって思ってる。
http://www.youtube.com/watch?v=__CQJjA1jTc
ノエルギャラガーとティムクリスチャンセンによるビートルズクイズ
◎ピュアマッカートニーで(ラム)の全曲演奏にとりかかってみてどんな発見がありましたか?
いっぱい驚きがあったよ。ライブは僕とマイクヴィオラがメインでやったんだけど、2人ともポールの特に(ラム)の大ファンでさ。僕らはあのアルバムの細かい部分についてまで良く知ってると思ってたんだけど、実際に取りかかって研究していくと、突然、新しいことに気づくんだ。そして単に聴いてるだけの時にはわからなかった色んな細かいことが曲の中で起きてることに気づいた。そういう細部にフォーカスすることでシンプルなメロディーの裏でどれほど多くの事が起こっているかという事実に驚かされたよ。
ほとんどの人にとって(ラム)はシンプルでストレートな作品に聞こえると思うけど、深い部分を掘り下げていくとぜんぜんそうではないんだよね。ライブのリハーサルを終えた後に僕はポールの事をこれまで以上に尊敬したよ。ライブでやること自体があのアルバムの良さをもう一度発見するプロセスでもあった。全く新しい見方でね。
例えば(ディアボーイ)のコーラスをアレンジする時はメインヴォーカルに対するバックヴォーカルのカウンターパートがあまりに複雑で誰がどのパートを歌っているのかを正しく解明するのが大変だった。もともとのアルバムのレコーディングは良い状態でされているし、細部まで聴き取れるんだけど、各パートを意識して聴いてみるとこれがもう謎だらけなんだよ。
https://www.youtube.com/watch?v=yP5l0Z9xCXc
◎ちょうどマイクヴィオラにインタビューしたところなんです。彼はポールの作曲法について、(複雑そうに聞こえる音でも実は使っているコードは驚くほどシンプルで歌のメロディーで曲のコード感をワイドにしている。)と言っていました。ではあなたがポールの曲を分析した時、どんなところが特徴的だと思いますか?
僕もマイクと同じ答えかな。そして真逆でもある。すごく複雑そうに聴こえても実はシンプルでもあるというのが彼の答えだと思うけど、すごくシンプルそうに聴こえても実はものすごく複雑っていう事も言えるんだ。さっき言った(ラム)を再現するために細部まで追求したことの核心がそこにある。
そしてどちらの場合においてもポールの才能はあまりにも純粋なものだから、そういう事についてはおそらく本人は考えもしていないだろう。自然にそういう風になっている。それは彼独自の言語の様なものだよね。それこそが彼が成功した大きな要因だと僕は思うんだ。なぜならシンプルなメロディーであっても複雑なメロディーであっても、ポールの書く曲はすごく論理的で簡潔だからね。そこが彼が長年にわたって多くの人に支持されているポイントなんじゃないかな。
◎ポールがウイングスと言うバンドを結成して目指したものは一体何だったと思いますか?
彼はバンドで若い頃からずっとやってきた人だから、おそらくそれが一番自分が良く分かっていて、かつ心地よいと思える形だったんじゃないのかな。彼はバンド内で大きな権力を持ちたがる人だけど、それでも彼には仲間やパートナーが必要だったのだろう。ソロアルバムを2枚出した後に自分とリンダだけという状態よりも、一緒にプレイできる仲間がいる状態に戻りたいと思ったんじゃないかな。それにツアーに出たいと彼は思っていたから当然バンドを作る必要があって、そういう方向に状況が向かって行ったんだろう。
◎もしもの話ですが、貴方がポールをプロデュース出来るとしたらどんなメンバーを使ってどんな作品を作りたいですか?
すごく難しい質問だな。。。うーん。わかんない(笑)。僕は(ラム)が一番好きなんだ。あのアルバムにはある種のエッジがあるよね。だからもし僕がプロデュースするとしたら、最高の曲を選んで、そういうものを創り出したい。
多くの(マッカートニーアルバム)の問題点は。。。。。ポールに対して誰も何も言えないことだ。なぜなら彼はポールマッカートニーで、ポールと議論するなんてありえないだろ?。もしも仮にポールが最高だといえない10曲を持ってきたとしても誰がそれについてポールと議論出来るのかって話さ。