アドリブ演出が定番の北野映画だが、この作品が時代劇である事も手伝って、当初から正統派のシナリオがあった。
ベネチア映画祭に於いてコンペティション部門に選ばれた際、北野監督は作品内の多量な流血戦に観客の反応に不安をいだいたそうだが、マカロニウエスタンを成功させた国だからと、その不安も消え、見事にグランプリを受賞した。
娯楽のカンヌ、芸術のベネチアと称されている両映画祭だが、本作は見事に『娯楽日本映画』と話題になり、ある評論家は、
「キタノは血のオペラを造り上げた」
と称賛している。
本作を観た山城新伍氏が
「この作品で、自分たちが今まで頑張ってきた『日本の時代劇』と思われては困る」
と評したが、山城氏らの時代劇が正統派時代劇とするなら、本作はマカロニ版時代劇。
そう考えればイタリアでウケた理由もわかる。
北野武自身の殺陣の上手さもあるが、飛び散る血糊にCGの血の飛沫を加えたアイディアは秀悦。
書くネタはまだまだある本作だが、今回はこれまで。