角川春樹VS東宝の泥仕合 | 映画屋のおすすめ 山田秀哉

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古今東西、映画のトピックあれこれ。

角川映画は、設立当初、角川春樹氏が設立した映画制作会社「角川春樹事務所」が映画を作り、公開は「自社系列映画館」等を全国に抱える、東宝株式会社の映画館で上映を行い、利益を折半する形で行われていました。

「事件」は、角川映画「ねらわれた学園]と近藤真彦主演の東宝映画を2本立てで公開し、大ヒットの後の利益配分の話の最中に起こりました。角川春樹氏は利益を半分ずつ分けましようと、いつもの様に話を切り出したのですが、東宝が「いちゃもん」を付けました。

2本立てだが、観客は「近藤真彦主演映画目当て」が多かった。

よって、半分ずつ分ける訳にはいかない。東宝は、多く頂く。

これには角川氏激怒。薬師丸ひろ子の人気は当時、飛ぶ鳥を落とす勢いでしたから、50%ずつが当然!

しかし話は揉めるだけ揉めて、角川氏は「今後、東宝とは組まない」との捨てゼリフを残して、東宝に多くの取り分を譲りました。

角川春樹氏はその後すぐさま「東映」に一部始終を告白。

当時の社長「男気!岡田茂氏」は、2つ返事で「角川映画・東映系公開」の契約を交わしました。その後、全ての角川映画は全国の東映系列の映画館で公開の運びとなりました。

この手の逸話は「嫌な話」ですよね。幾ら儲けられるか、で揉める。仕方が無い話ですが、「純粋な映画ファン」は聞きたくない話ですよね?