18世紀の金星太陽面通過観測 ハレーの思い | 変わった地球儀を輸入する人のブログ

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去る6/6は金星の太陽面通過からの1周年記念でした。
18世紀、1761年、1769年における金星の太陽面通過観測の最大の目的は、太陽系の大きさを測定するためでした。

こんにちは。変わった地球儀を輸入販売する世界の地球儀ドットコム 店長の地球儀プロです。

ここ数日、更新をさぼってしまいました。
前回6/4の記事においては、18世紀に2回チャンスがあった金星の太陽面通過の現象を、世界各地で観測することを提案した人がいました。

その人は、ハレー彗星で有名な、イギリスの天文学者、エドモンド・ハレーです。

ハレーは、金星の太陽面通過の現象を、世界各地で観測すれば、太陽と地球の正確な距離が測定できると考えました。

当時の世界では、地球などの惑星は、太陽の周りを回る地動説は定着しつつありました。

また、太陽と地球の距離を1としたときの、火星、木星などの各惑星と太陽までの相対的距離がどれくらいか、ということまではわかっていましたが、太陽系の絶対的な大きさ、たとえば、太陽と地球の距離が何kmなのか、というところまではわかっていませんでした。

世界各地における金星の太陽面通過観測プロジェクトを、ハレーが提唱したのは1716年。
ハレーはすでに60歳でした。

金星の太陽面通過の現象が観測できるのは1761年と1769年。ハレーは少なくとも105歳まで長生きしなければなりません。

当然それは現実的には無理と言わざるを得ないことはハレー自身もわかっていたので、ハレーは論文という形で後輩の天文学者に周到な準備をしてほしかったのです。

論文は当時の科学界における共通言語であるラテン語で記述されました。
できるだけ多くの国の科学者にこの論文を読んでもらいたかったのでしょう。

太陽面通過を世界各地で観測する、という意味は、実質はヨーロッパ各国から世界各地へ出かけていくことになります。

1761年と1769年の金星太陽面通過を逃すと、次にこの現象を観測できるのは100年以上先となります。よって、なんとしてもこの2回のチャンスをものにする必要があるのです。


前回までのおさらいでした。