『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』ネタバレの感想 うる星やつらキャラによるSF的物語 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 

評価 5/5 ☆☆☆☆☆

 11月6日(金)から公開される本広克行監督の『ビューティフルドリーマー』が、題名と押井守原案と言う事から、絶対に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)と関係があると思い、事前に見直した。

 誰もが、夢を見ている間はこれが現実だと思っているだろう。また、同じような毎日を繰り返していると、日にちや曜日を忘れる事もある。でも、もし同じ毎日がずっと繰り返して続いていたら怖い。しかも誰かの夢の中だったら。映画中では、文化祭前日が毎日繰り返されている。それに気づいた温泉マーク先生が、生徒達を強制的に帰宅させるが、面堂の車は街の中を迷走し学校に戻り、電車は元の駅に戻り、バスも戻って来て、誰も町から出られないのも怖い。上空から見ると、あたるの家を中心とした直径2kmの町が、巨大な亀の甲羅に乗っていると言う情景も、まるで古代インドの世界観で怖い。

 終盤、あたるが面堂の車の中で目覚め「あれは夢だったのか」とほっとすると、夢邪鬼による夢の中だった。次に目覚ると、物語の最初のラムとの追いかけっこの最中。あたるはこの後の展開を知っているので、ラムの角を掴むことにためらう。次に目覚めると人造人間フランケンあたるにされていた。次に目覚めると、コールドスリープの宇宙船らしき中で、隣のラムはコールドスリープ・カプセルの故障により死んでいた。これはセットと分かり、あたるはほっとする。というように、何が夢で何が現実か分からなくなり、「夢でよかった」と思う場面が非常に面白い。

 時々、大きな白い帽子を被った少女が登場するが、あたるに現実世界に戻る方法は、どうしても会いたい人の名前を呼ぶと良いと教える。「その代わり約束してくれる?責任取ってね」と顔を上げると、幼いラムだった。名前を呼ぶ限り、その人に対し責任を取って好きを貫き通せと言う事か。落下するあたるが次々に女性の名前を叫ぶが、最後にラムの名前を叫ぶと現実世界に戻って来る。あたるが寝ている自分をけ飛ばす。どうやら落下したあたるも夢の中の人物で、多重構造が凄い。最後に現実世界で目覚めたあたるが傍らを見ると、ラムの寝顔が美しく、思わずキスする場面も好きだ。あたるは、本当はラムが好きだと自覚したのだろう。キスしようとすると、周りから止められ、電撃を食らう。あたるは、ラムを好きだと言う責任を本当に取れるのか?

 夢の中で「ダーリンと一緒の今がとっても幸せだっちゃ」と言うラムも可愛い。これはラムがいつまでもあたる逹と一緒に暮らしたいという夢の現実化らしい。ラムの気持ちは純粋で、改めてラムの可愛さを自覚した映画でもある。

 私は『うる星やつら』シリーズのファンであったが、同じ登場人物なのに、SF的内容に作った監督の才能に感心した。冒頭の文化祭の場面では、X星人やウルトラマン、ゴジラと言ったコスプレをした生徒が走り回り、身動きできない階段には海底軍艦や巨大なケムール人の頭部まであるではないか。こんな楽しい文化祭に行ってみたいものである。評価は「5」である。

 

 

 

 

 

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