体軸と正中線の違い | 錬武体術 啓真道

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剣の理合を我が身に宿し、刃の斬れ味を源として、敵の無力化を学ぶ武道。

● 体軸と正中線の違い

こんにちは。川村義之です。

よく混同されがちですが、いわゆる「体軸」と「正中線」は、違います。

軸というのは、動きの中心にあって動かない部分のことです。

要するに、居着いた動きの中心だということです。

軸が動かないからこそ、その動きは、居着いた動きだと言えるんですね。

そして、昔々の武術が求めたのは、この軸を消すことでした。

軸があればあるほど、居着いた動きになって、狙い撃ちされる確率が、高くなるからです。

また、軸は負荷の集中点でもあるので、軸を設けるほど、体が故障する可能性も高くなります。

さらに、固定された軸があるほど、体の中で動かせる部分は少なくなるので、動くためのエネルギーの多くを、筋力に頼らなければならなくなります。

素早く動いても確固として動かない強い軸を求めると、体幹の筋力を、過剰に鍛えなければならなくなります。

そして、その軸を維持するために、ムダに筋力を使わなければならないわけです。

これが、現代スポーツや、現代競技武道で、鍛えることがどうしても必要だったり、過剰に疲れたり、故障するのがなかば宿命的だったりする理由です。

ですが、正中線というのは、本来このようなものではありません。

解剖学的には、生体の真ん中を通り、体を左右に分けるラインのことですが、当然それのことでもないんですね。

体の使い方における正中線とは、機能のことであり、軸とは全く違う働きのことを指します。

正中線は動きの中で、その動くということの中心であって、従って、他の部位に先行して正中線がまず動く、ということになります。

動かないのが軸、動くのが正中線ということですね。


正中線が出ている状態から崩れている状態へ、さらに、そこから再び正中線が出ている状態へと、変形と復元のサイクルをくり返すことが、体全体の動きを主導するんです。

体軸が鋼鉄のシャフトのようになるのを1つの理想とするなら、正中線は、しなやかかつ強靭なピアノ線、といった感じなんですね。

こうなってきて初めて、動きがムチミで行われるのであり、また、ムチミができるから正中線がこのように機能できる、とも言えます。

時折、「正中線は、常にキープしておかなければならないんですよね?」という質問を、受けることがあります。

確かに、練習としてはそうなんですが、それは動くとき、正中線を体軸のように常に垂直の直線にキープしたまま動かなければならない、という意味ではありません。

正しい体の使い方を練習するかたに、24時間常に正中線をキープして欲しいのは、そうすることで、まず最初に、正中線を出すという取り組みを、絶え間なくやって欲しいからです。

そうすれば、それだけ短期間に、正中線を出せるようになってきます。


つまり、単位時間当たりのトライアル&エラーの回数が増えれば増えるほど、それだけ正中線の出し方がうまくなる、ということです。

そして次に、24時間正中線をキープすることで、正中線が出ているときの体内感覚を、より精密に、正確にしていけます。

自分の中に、これが正中線だ!という確信が、持てるようになります。

ただし、寝ているときに、枕や何かで強制的に姿勢を作ろうとするのはダメですよ。

そうではなく、寝ているときにも、無意識に正中線を出そうとするというくらい、正中線を出すことに、病みつきになって欲しいということです。

さらに次には、正中線が出ていることが、自分にとって当たり前になる、という段階が来ます。

フッと楽をして立ったとき、無意識に正中線が出ているくらいに、なって欲しいわけです。

ここまで来たらもう、24時間正中線を垂直の直線にキープしておく必要はありません。

必要なのは、24時間、いつでも正中線を出せるという感覚が、途切れずに常時ある、という状態です。

そして、ここまで来ると、正中線を出すための立ち方の順番が、正中線の崩し方と復元の仕方だと、わかってきます。

そうなれれば、姿勢の正しい崩し方、すなわち、正中線の正しい変形のさせ方の基本が、見えてきます。

これ(崩す→復元→崩す→復元…のサイクル)が、無意識に、スムーズに、自然に、ゆっくりでも速くでも、できるようになれれば、それをあらゆる動作に組み込むことが、できるようになります。

言い換えれば、あらゆる動作の「エンジン」を取り替えること、あらゆる動作の中身をムチミに入れ替えるということです。

カチッと固まって動かないようなものを構築するのではなく、変形と復元が自在な感覚を作っているんだ、ということなんですね。

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