「掛け値」と「垣根」 |  ときしらずのブログ◎迂闊な話         

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  「言葉」につての雑感。花や風景の写真。  



   
  

フジテレビの「27時間テレビ」(7/26(土)~27(日))で、初っ端に、スマップの生前葬というコーナーがあり、ゆかりの著名人たちが“弔辞”を述べていた。劇作家・脚本家・演出家・俳優・映画監督の三谷幸喜氏は、スマップの全員を称賛して、言った。「ドラマや映画や舞台を作る側の人間からすると、これだけ粒の揃った役者がいる劇団は、そうはないというふうに思いますね。…かけねなしに、すごい人たちだなと思います」

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ところで、さて、三谷氏の言葉の末尾のくだりであるが、私には「掛け値(かけね)なしに、すごい人たちだな…」と聞こえたのだった。ところが、テロップに「垣根なしに…」と出たので混乱した。私の聞き違いだったのか、と思った。

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  かけね【掛け値】

    〔名〕

  1 実際に引き合う価格よりも高く値段をつけること。また、その値段。

    「 ― なしの正価」

  2 物事を大げさに言うこと。誇張。

    「 ― なしの評価が聞きたい」

                            (『明鏡国語辞典』第二版)

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果たして、三谷氏は、「垣根(かきね)なしに…」と言ったのだったろうか。文脈からすれば、当然、「掛け値なし」と思っている者の耳には、「垣根なし」が「掛け値なし」に聞こえてしまったということなのだろうか。…

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YouTubeの録音を聞いてみた。問題の箇所は、三谷氏の喋りはかなりの早口であったが、やはり私には「掛け値なし」と聞こえた。しかし、人によっては「垣根なし」と聞こえるかもしれない、と思われるほどの微妙さであった。

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仮に、テロップの製作者には「垣根なし」と聞こえたとして、それなら「垣根なしに、すごい人たちだなと思います」とは一体どういう意味なのか、と思わなかっただろうか。…

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そんな疑問が湧いてくるのだったが、案外、ごく単純なワープロの変換ミスであり、それを見過ごしてしまった、ということかもしれないなどという気もしている。