秀山祭九月大歌舞伎 昼の部@歌舞伎座 | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

「極付幡随長兵衛」

幸四郎/松緑/雀右衛門/錦之助/坂東亀蔵/歌昇/松江/錦吾/児太郎/種之助/橘三郎/吉之丞/廣松/廣太郎/宗之助

 

 幕見してきました。最初に書いておきたい❗️ 私が観たこの日「中◯区敬老大会」という団体さんが1〜3階の一角にど〜んと入っていて、以下は幕見席で体験した3階席団体さんの迷惑音の愚痴です😔

 ポリ袋(いわゆるレジ袋)入りのお弁当を上演前に配ってあったらしくて、上演中、あっちからシャワシャワ、こっちからシャワシャワ、今度は向こうからシャワシャワ……。さらには、遅れて入ってくる人や、トイレなのか途中退出し戻ってくる人もいて、その人たちが袋をブラ持ちするたびにシャワシャワ、同じ列の人がその人を通してあげるために動くから膝の上の袋も動いてシャワシャワ。もう、うるさいんだよ〜😡🔥😡 最後までどこかで誰かがシャワシャワ音を立てていて、久しぶりに地獄の観劇でした。

 劇場スタッフが上演前に口頭で「ビニール袋の音は観劇の妨げに……」と注意喚起しても、みんな自分が手にしてるお弁当の袋のことだと理解することなく聞き流してるわけですよ。どういうことが迷惑だって言っているのかその意味など考えてないっ。だからさ、劇場側から団体観劇の主催者さんに、お弁当は幕間になってから配ってねとか、音の出にくい袋に入れてねとか、最初に頼んでおいてほしいと強く思いました。

 

 芝居の感想です。冒頭の公平法問諍は今回も面白くて、続きを見たいっ!てなる。児太郎が立役の頼義で、佇まいやセリフに品があり良い武将姿。公平の種之助が小柄さを消し去り😬セリフも堂々としていて意外にも良かった。邪魔が入った時のうろたえ方もコミカルで、2度目の中断で「もう本当に大丈夫なんだろうね……?」の気弱な言い方が、劇中役とのギャップを強調していて可愛い。児太郎は正座していたのが横座りになって女方みたいになるし😍  楽しかった。

 

 幸四郎の長兵衛は初役なんですね。貫禄という点で親分っぽさがなく、大勢の町奴を従える男には見えないのは、幸四郎のニンとしては仕方ないのかな。水野の使いが来て勇みたつ侠客たちを諌めるところなど威厳がちょっと……。張り上げると声が高くなるのもこの役には難点かも。でもでも! セリフは口跡よくて明快、説得力があり、人望ある人柄が出ていて、皆に慕われるだろうということに納得です🎉  水野に呼ばれたところで死を覚悟した表情、目線をふっと宙にそらすところなど、繊細な心理表現も見せます。妻子との別れは割とあっさりだったけど、殺されるのを覚悟で行くのは名誉を守るためと説得するところは、グッとくるものがありました。

 水野の屋敷でも神妙にしながらニュアンスある表情を見せ、湯殿での立ち回りでは両腕を敵に支えられてトンボを切る……えっ? これは初めて見ましたが、親分らしくない所作でどうなんだろうと、ちょっとびっくり😳  最後に啖呵を切るところはかっこよかったです〜😊

 

 水野を一番たくさん観たのは菊五郎で、仁左さまも勤められましたね。そういう人たちが演じると爽やかで立派な面が強調され、何かいい人風に見えちゃう。丸腰の長兵衛を長槍で刺し殺すという超卑怯な行動をとるのが、いつも理解しづらかったです😓

 でも松緑は、ちょっと冷たい感じになっていて、傲慢さや腹黒さやプライドの高さを感じました。今まで見た中では、卑劣な男として一番納得がいく役作りだった気がする👍  欲をいえば旗本としての重さ、悠然と構えた大きさがもう少しあればとも思いましたが。

 お時は雀右衛門なんだけど、(悪い意味ではなくて)何かモッタリしていて、もう少しすっきりと粋な感じがいいな。でも、そのぶん情の深さがあって世話女房としての味わいが出ていました。夫の着替えを手伝った後にしつけ糸をとる仕草がちょっとぎこちなかったな😓

 唐犬は錦之助で、立ち振る舞いに人望や頼り甲斐がある人柄を感じさせ、長兵衛への忠義心も見せていて、かなり良かったです。

 ちなみにこのお話は、観たばかりの頃は好きになれなかったけど、今は役者を見る気持ちで臨んでいるので、後味の悪さは気にならなくなりました。

 

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