銚子といえば当然第一位は海産物。
テレビのグルメ番組などでも港の水揚げ風景や寿司店などの様子が出た後、そのついでと言っては何だが、銚子には他にこういうものもありますということで、このぬれせんべいが出てくる。
では何故銚子にぬれせんべいかというと、それはヤマサ醤油との関係が大きい。
せんべいのもとを醤油でぬらし、それをあぶるわけだから、これは醤油関連商品といってよい。
普通この手の製品は、全部新潟県産かと思っていた。
新潟市の亀田製菓、長岡市の岩塚製菓などぬれせんべい、ぬれおかきの類は、ここ以外のものはあまり見たことがない。
スーパーのせんべい売り場でも置いてあるものは、新潟県に本社、工場がある会社の物。
千葉県のものなど見たことがない。
新潟県産は米と関係が深いが、千葉県産は醤油と関係が深いと言われれば納得ができる。
このぬれせんべいの大手は『イシガミ』。
帰りの道沿いにイシガミの工場があった。
開発されたのはそんなに古いものではなく、昭和30年代だそうである。
地産品、特産品というと江戸時代からというイメージが付きまとうが、実際にはそんなことはなく、戦後あるいはグルメブームの1980年代以降などのものも結構多い。
この銚子のぬれせんべいは、実はもう一つの製造メーカーがあって、むしろこちらのほうがそのユニークさからテレビなどでは多く紹介されている。
それは『銚子電鉄』。
銚子電鉄はJR総武本線の延長みたいな形で、銚子駅より港、犬吠埼を経て、外川漁港まで半島の外縁を半周するような形で敷設されている。
開業は大正時代と古い。
戦前はバスなどの内燃機関を利用した乗り物がまだ不十分だったり、また道路も舗装がなく穴ぼこのめちゃくちゃで、それよりかは遅くても安定したレールの上を走る電気鉄道が全国各地に敷設されていった。
鳥取県の米子市でさえ、国鉄の米子駅より電鉄が皆生温泉線、西伯郡法勝寺線の二つもあった。
そして東京や大阪などの中心部では市電、都電の網がめぐらされていた。
地方の県庁所在地は今でも市電が残っているところが多い。
しかし戦後のモータリゼーションの発達により電気鉄道は赤字となり、次々と廃止されていった。
銚子電気鉄道もその流れをもろに受け、何回も経営危機に陥った。
この苦境を救うため専業メーカーである『イシガミ』の支援を受けて始まったのが、銚子電鉄ぬれせんべいである。
このぬれせんべいは全国通信販売、千葉県内のスーパー、道の駅、高速サービスエリアはもとより成田空港内売店でも販売されているそうである。
5枚400円は高級せんべいである。
電鉄会社の危機をすくための銚子電鉄ブランドのぬれせんべい。
今ではどちらが本業なのかわからない状態になっているそうである。
千葉県の特産品といえば、落花生。
房総台地、成田空港周辺などで盛んに作られ、専門の加工販売店も多い。
道の駅には付近の農家が作ったものが、必ずおいてあるが、問題点は値段が高いことだ。
スーパーで売っている中国からの輸入物ピーナッツに比べれば5倍はする。
国産の高級品ということになるが、正直まだ買ったことはない。
銚子でもピーナッツを名産として扱っているようだ。
前にも言ったが、名産品や地産品は県内を一つの単位としている。
利根川を一つ越え、茨城県に入れば、千葉県産のピーナッツは多分あまり売ってないだろう。
茨城県で千葉県産の物を買ってもお土産として意味をなさないからだ。
銚子にとって千葉県の反対側、南房総では千葉県産ピーナッツは売っている。
様々なピーナッツ関連の加工食品もあるようだ。