「少女以上の恋がしたい」の異常性 | 肯定ログ

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好きなものは好きと言います。肯定ペンギンなので。備忘録。

備忘録であるブログに書くべきかどうか悩んだのですが、書くところがほかになかったのと、この曲の異常さを知ってほしくて書きました。

Aqours 3rdシングル「HAPPY PARTY TRAIN」のカップリング曲として収録されている「少女以上の恋がしたい」。

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このについて、すこし吐き出しておきたいと思います。

タイトルから分かるように、恋の歌です。

Aqoursの曲の中で「恋」をテーマにした曲はいくつかありますね。
恋になりたいAQUARIUM、待ってて愛のうた、トリコリコPLEASE!!などなど。

あくまで想像ですが、Aメロ歌い出しのソロパートや、大サビ前のソロ順などから考えて「少女以上の恋がしたい」は千歌がセンターかな、そうだったらいいな、なんて思っています。

アニメでは、地味で普通で、恋愛経験もなくて恋の歌が書けないと悩んでいた千歌。

歌詞にもあるように「見た目がちょっと大人しくて誤解されがち」なそんな彼女が悩んで考えて、思い切り背伸びをして書いた歌詞で、そんな子がセンターで歌っている、と考えるとそれだけで悶絶です。好き。
(もちろんこの歌詞を書いたのは畑亜貴さんです。)


で、何が異常なのかという話になるのですが。

この歌の歌詞にある「あなたは少年のまま」という1節。
これです。

先述したAqoursの恋の歌、あるいは恋の歌以外でも、"自分以外の誰か"の性別を特定しているケースは一度も無いんです。
初なんです。

アイドルソングにおける一人称に「私」ではなく「僕」を使う手法は、プラトニック感やピュア感を出すための手法としてよく使われています。
この場合、歌い手側の性別を特定させるのは難しいです。

二人称に使われる「きみ」や「あなた」も、特に性別を特定している訳ではありません。

ところが「あなたは少年」というワードが出てきたことによって、「少女以上の恋がしたい」は明確に「男女の恋の歌」ということが判明します。

アニメにおいても、男性が出てきたシーンは無いですよね。
にもかかわらず、歌では「男の存在」を出してくるところに異常さを感じました。
(余談ですが、サンシャイン!!において男性というものをひた隠しにしているのは過剰といってもいいくらいで、某映像特典でのお菓子作りコーナーにて、本来お店の御主人が出演予定だったところ急遽お店の奥様に出演していただいた、という話も噂半分。)

しかもこの「少年」というワードが出てくるのが曲の最後でして、曲の中盤には花も恥じらうお年頃の乙女が言えないような「いけないこと」など、ちょっと悶々とした雰囲気の歌詞があるんですね。

最後の最後に「あなた」が「少年」であると定義されてしまったことで、「ひとり想う ひとり願う ひとりだけじゃ できないことを あなたとしたいって、いけないこと?」という歌詞が、ボンヤリとしたものでなくなるのです。
こんなの、もう答えは1つしかないでしょう。

倫理的に音楽に乗せて言えないことを、乙女の口からはとても言えないようなこと、という二重の意味に包んで歌詞にするあたりの発想も異常だと思うのです。

スクールアイドルだからこそ歌えるピュアな視点の曲であり、スクールアイドルでは有り得なかった「男」の存在を明確に歌った曲。
この矛盾すらも愛おしいと思えてしまうくらい、この曲が好きです。あまずっぱい。

Aqoursに恋の歌は数あれども、この方向性でのアプローチは「少女以上の恋がしたい」が初だと思うのです。
聴いていてドキドキするし、リアリティも感じられるので今後もこういった異常性のある曲をお待ちしております。