ブログ記事が削除されました | 空気を読まずに生きる

空気を読まずに生きる

弁護士 趙 誠峰(第二東京弁護士会・Kollectアーツ法律事務所)の情報発信。

裁判員、刑事司法、ロースクールなどを事務所の意向に関係なく語る。https://kollect-arts.jp/

私は2020年7月31日に、このブログに「刑事弁護の存在意義に思いを馳せる――被告高野隆の意見陳述」と題する記事を書きました。

その記事の中で、高野隆弁護士が、カルロス・ゴーン氏の事件で懲戒請求されたことに端を発した民事訴訟(高野弁護士を懲戒請求したNS氏が原告、高野弁護士が被告)の口頭弁論期日において行われた被告高野隆氏の意見陳述の内容を紹介しました。

この意見陳述は、「刑事弁護」という職業について深く考えさせられるものであり、またこの刑事弁護を生業にしている1人として非常に誇りを感じさせられるものでもありました。

そして、この素晴らしい意見陳述を1人でも多くの人に見てもらいたく、意見陳述の内容を紹介しました。

(なお、この意見陳述の中には、高野氏を訴えたNS氏も名前も登場します)

 

ところがそれから約2年経った先日、NS氏からこのブログの運営会社であるサイバーエージェント社に権利侵害があったことを理由にブログ削除の申立てがありました。理由は、

 

■侵害されたとする権利:
プライバシーの侵害・氏名の無断掲載

■権利が侵害されたとする理由:
一方的に裁判の内容を公開し、私が
悪いという誹謗中傷と氏名を出された。


これに対して私は、以下のように返答しました。

 

 

憲法82条1項で裁判の公開が定められています。
またこの訴訟はNS氏が起こした訴訟です。
私は当該訴訟の被告代理人である高野隆氏の代理人として裁判に出廷しており、
その裁判における高野氏の意見陳述の内容が素晴らしく、一人でも多くの人にその内容を知ってもらいたく、
高野氏の承諾のもとでその内容を紹介したものです。

私自身は、私自身はNS氏のことについて一言も触れておりません

NS氏はこの後さらに私を訴えましたが、NS氏の訴えは裁判所から全く相手にされずにその請求は排斥されています。
また、このような氏名の掲載がプライバシー侵害にはあたらないことも裁判所は判断しています(知財高裁令和3年12月22日判決)

このような投稿が削除されることがあれば、表現の自由、知る権利に対する著しく不当な制限だと思いますので、慎重なご判断のほどよろしくお願いします。

 

ところが、本日、私のブログ記事は削除されました。

amebaブログからは「該当記事につきましては、Amebaの利用規約や関連法規に基づき削除をさせていただきました。」

との通知が来ました。

 

この措置は、現代における表現活動の事実上のインフラ――「プラットフォーム」――を運営する企業の基本的な使命に反するのではないかと私は考えます。

今回の記事削除措置に対してどうするかはまだ未定ですが、このブログの読者の皆さんに経過報告をした次第です。