海技教育機構が練習船教官(通信士)を若干名募集・船舶通信士の海技免状について、振返り、まんま駄文 | 惣治の日々

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回顧録を兼ねて綴る
4代目竿治 参乃治会 惣治 

海技教育機構が練習船教官(通信士)の募集を行っています。

詳しくは

https://www.jmets.ac.jp/recruit/#3

(現在は募集終了しているようです。2019.5.19現在)

思い起こすこと、5年前、この通信士の公募が同じようにあり、これに応募したのが、現在の練習船への乗船、再就職のきっかけでした。

 

海上自衛官を定年退職するほぼ1年半位前に公募の情報に触れて、問い合わせ、公募への申し込み、

筆記試験の受験、面接を経て・・・・・

運良く、採用となり、

55歳から銀河丸、大成丸、日本丸の2等通信士を経て、講師から准教授となり、銀河丸通信長、青雲丸通信長として今日に至っています。

同期入所(当時は国土交通省所轄の独立行政法人「航海訓練所」という名前でした)したのは私を含めて3人でした。

半年もつかなと思って、勤まらなくて、ダメだったら辞めて転職するからと家内にも言い含めての再就職。

家内も、好きにしたら・・・・

退職前の海上幕僚監部での海上幕僚長との会食でも、

前代未聞、武居海幕長からも「佐久間、おまえ、度胸あるなー」と言われてしまったのを覚えています。

要は・・・民間の通信士への再就職は無謀だと思われたのだと思います。

 

60歳の定年退職まで後、1年です。先輩の通信長、通信士にはほんとに色々とご指導頂き感謝しています。

あと1年、大過なく過ごせれば良いなと願うばかりです。

 

海上自衛隊では護衛艦等に乗艦し、海上勤務の履歴は32年の海上自衛官生活のうち、11年と少し。

練習船で5年。

船乗りとしても、無線通信士としても・・・もういいかな?と思える今日この頃です。

 

ちょっと無線との付き合いを振り返ると

無線との付き合いは、アマチュア無線で、小学4年生での電話級アマチュア無線技士(現4級)、高2で、第2級アマチュア無線技士・・・・

欧文モールスで海外局との通信が楽しかった時期で、大学の時も少しだけ継続していましたね。

(アマチュア無線の先生は父親でした。父は旧海軍の通信兵、おそらく暗号通信。

漁船の通信長(当時は局長って言ってました。)を経て高校の教諭でした。)

 

この小学校から高校生のアマチュア無線時代にたくさんの先輩からいろいろなことを教わったのが基礎となっているような気がします。

自作のアンテナや送受信機が一時はやりましたが、その後はメーカー製が中心でしたね。

(名機 トリオ TS-520シリーズ、八重洲 FT-101シリーズ等、お金持ちは外国のコリンズとか使ってましたね。)

ケーブルやコネクタ、部品の半田付けなんて朝飯前。

 

アマチュア無線も携帯電話が普及する前は、「私をスキーに連れてって」とかの映画で知名度を上げ、一気に普及しましたね。

トラックの運転手もたくさんアンテナを上げていました。

知らない土地に行くと、地元のアマチュア無線家が観光案内、道案内をしてくれたりもしました。

私のコールサインは小学4年生から変わらず、JA6RBPです。

 

今はGPSでカーナビや携帯・スマホの地図アプリで済んでしまいますね。

携帯電話、スマートフォンの普及で、アマチュア無線家は国家試験とか開局申請とか再免許申請とか面倒で、

一気に減少してしまいました。

 

私の無茶ぶりで、家族(私、妻、娘、息子の4人)は皆、アマチュア無線の免許と開局をしています。

ただ・・・、私を含め誰もほとんどアマチュアの電波は出しておらず、たまーーーーーに、トランシーバーを使って、

コールサインと通話の仕方くらいを忘れない程度にはしています。

 

話題は変わって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

現在乗船中の青雲丸。部下なし、ボッチ通信長です。独りぼっち・・・。

独りは大変だけど、自由にやれるところもあって楽しい。

通信長は停泊中の勤務日、公休とか、基本的に自分で決められる。

年間公休104日、去年は祝日19日、年次休暇45日(前年繰越25日)で3ヶ月休暇も取れたし・・・

 

銀河丸の通信長の時もボッチ通信長が長く、シンガポールへの遠洋航海の前後に3通さんの配乗で2名態勢でした。

今は、遠洋航海船2名(通信長、2(3)等通信士)、内航は1名(通信長のみ)が定着しているようです。

 

航海中の当直は8時間です。なので、無線室に無人の時間があります、その時には航海士に「ねがいまーす!」って声かけて無線室を離れます。

 

起工年月日(1996)平成8年3月6日
進水年月日(1997)平成9年3月4日
竣工年月日 (1997)平成9年9月25日
総トン数    5,890、国際総トン数    5,890、純トン数    1,767
載貨重量トン数    2,673.00、満載排水トン数    6,325.42
全長(m)    116.00、垂線間長(m)    105.0

型深(m) 船楼甲板/上甲板    10.80/8.30
満載喫水(m)    6.30
幅(フィン張出時) (m)    17.9(23.008)

 

 

青雲丸 無線室 通信卓

MF/HF送受信機1台更新しました。

 

線条アンテナ。 線条空中線・・・・アンテナのことを空中線というのももう死語かな?

 

青雲丸には中波対応のため、3条のアンテナと短波用アンテナチューナと中波用アンテナチューナーがある。

短波とか中波とかの細部は省略・・・(^0^)

 

これも張り替え。JRCマリンフォネット株式会社のエンジニアに施工して頂きました。

聞くと、詫間電波高専の一期生、御年64歳、後1年で継続雇用も終わりと言ってました。

電波界の職人中の職人です。

 

電波高専は、仙台、詫間、熊本にあったそうです。この電波高専と電通大(電気通信大学)が無線屋の本山でしたね。

電通大は、昔はトンツー大と言われるくらい、通信士を輩出していましたが、今はトンツーの授業や通信士の育成はしていないようです。

そもそも、無線従事者の資格はいろいろな職場で必要なのだけれど、講習などで取れるし、

高度な専任通信士の必要性はなくなっていると言うことですね。

 

No1の線条アンテナ(中波・短波送信用)

 

No2の線条アンテナ(短波送信用)

 

送信電力800Wに耐えられる、アンテナのトランク。

今回の検査修理で、送受信機1台換装とあわせて、線条アンテナを交換しました。

今回換装したMF/HF送受信機は送信電力は500Wでした。

古い方は800Wだったのですがね。もう500W以下の製品しかないようです。

 

アンテナトランクも換装

 

電信(モールス通信)用の電鍵

英語では、ストレートキー と言います。

 

さて、無線従事者の免許と船舶職員、海技士について・・・・・・・・・・・

 

平成19年に、47歳の時に、ほぼ道楽・・・自己満足だけのために取得していた第一級総合無線通信士の無線従事者免許、

完全にタンスの肥やしでしたのが、練習船通信士としての再就職で飯の種に化けたのでした。

 

ほぼ道楽・・・・自衛隊は自衛隊法で移動体の無線局、レーダー、無線従事者は電波法の適用外となっています。

(固定局の海上自衛隊の通信隊等は電波法の適用を受け、国家資格の無線従事者が必要です。)

海上自衛官で国家資格の無線従事者免許を保有しているのは限られていますね。

 

平成15年3月に護衛艦隊司令部の通信主任幕僚から第1術科学校の通信科長として広島県江田島に赴任し、通信科の課程に

第三級総合無線通信士の養成課程があり、現地視察のつもりで平成16年に第二級総合無線通信士の受験を気まぐれで受験したのがはじまり。

このときには、部下の教官や学生には、「通信屋は免許と腕」がなければダメだと檄を飛ばし、「トンツーも分からずに通信屋の看板上げるな」とか、過激な檄を飛ばしていましたね。

 

その甲斐あってか、私が通信科長時代には、沢山の学生が国家試験を受験し、資格を取り、当時20歳くらいの学生(生徒)が私が認識しているあいだに確か2人、個人受験で1総通を取得しましたね。

第三級総合無線通信士の養成課程の学生も合格率100%、すごく嬉しかったです。

そして、当時の海曹教官の一人も、奮起し、1総通持ちとなり、南極観測の「しらせ」の通信長とかしてましたね。良いぞ!!

 

 

総合無線通信士は試験科目は7科目ありますが細部省略

実技試験の電気通信術において、

モールス電信 1分間75字の速度の和文、1分間80字の速度の欧文暗語及び1分間100字の速度の欧文普通語によるそれぞれ約5分間の手送り送信及び音響受信、直接印刷電信 1分間50字の速度の欧文普通語による約5分間の手送り送信、電話 1分間50字の速度の欧文(無線局運用規則別表第5号の欧文通話表による。)による約2分間の送話及び受話。

 

総合無線通信士には電信「モールス」が試験に課せられており、これが難関といわれるところ。

国家資格難易度ランキングTOP10

https://clabel.me/qualifications/24340

 

 

さて、船乗りの通信士・・・・・・・・・・・単に無線従事者であれば良いというものではない。

 

無線従事者の資格は総務省、昔の郵政省が所轄

海技士の資格は国土交通省、昔の運輸省が所轄

この二つの資格制度から成り立っていますね。

 

無線従事者の免許を取得しているからといって、すぐには船舶の通信士、所謂、船舶職員の海技士にはなれません。

商船や水産系の学校を卒業していれば、かなり有利ですが、そうでない、無線従事者免許のみ保有の場合は・・・・・

 

振り返ってみます。

 

まず、船舶局無線従事者証明の新規訓練を受けなければなりません。

これは1984年に発効した船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(STCW条約(en:STCW Convention))によるものです。

新規訓練は、だいたい3日間で、3万円前後。これも無線従事者(細部省略)の免許を保有している人が対象です。

 

 

 

 

無線従事者免許証と船舶局無線従事者証明、乗船履歴を併せてやっと海技士(通信・電子通信)が受験できる仕組みです。

通信と電子通信の違いは、総合無線通信士は「通信」となり、海上無線通信士資格は「電子通信」となります。

海上無線通信士の無線従事者免許では海技士(通信)の受験、当然ながら電信(モールス通信)はできません。

 

海技士(通信)は総合無線通信士(1~3級)対応

海技士(電子通信)は海上無線通信士(1~4級)対応

(修文)

 

無線従事者資格の第1~3級の海上無線通信士は昔はなく、GMDSS(Global Maritime Distress and Safety System)という海上の遭難救助関連のシステムがモールス通信を除外していることから、モールス通信ができなくても海上の通信士になれるように平成2年5月に新設されたものです。これに合わせて、従来の無線通信士が総合無線通信しと名称が変わっています。

 

通信・電子通信の海技試験の受験料はたいしたことありません。両方とも1級でも

筆記試験手数料 5000円

身体検査手数料 870円

 

合格後に海技免状を申請する際には、免許講習で救命講習(2日半約3万円)と消火講習(1日約1万円)の受講証明が必要です。

 

これらがそろって、海技免状の申請において

登録免許税 7500円となります。

 

通信士の海技試験(筆記試験)は無線通信に関わるものではなく、だいたい第四級航海士程度の

船舶知識(動力、設備、構造等)、気象知識、緊急時の知識
身体検査として視力、聴力、疾患の有無が試験内容となります。

 

海技士(通信・電子通信)の過去問題は、一般図書として販売されておらず、(株)無線通信社が「月刊 無線周知」に「海技士国家試験問題」として問題のみ掲載しています。(解答は付いていません。)時間は2時間半だったかな。

海技士(通信)、海技士(電子通信)の筆記試験は海技士(航海)の免状を保有していたり、登録船舶職員養成施設の課程を修了した者に対する学科試験の免除規定があります。 追記

 

海技免状未取得の間の乗船は、船舶職員ではなく、員外通信士となるようです。

 

 

必要な乗船履歴は

海技士(電子通信)は、「沿海区域(国際航海に従事する船舶に限る。)、近海区域若しくは遠洋区域を航行区域とする船舶又は乙区域若しくは甲区域内において従業する漁船」で職務に関係なく6ヶ月以上あれば良いのだけれど、海技士(通信)は職務に「実習又は無線電信若しくは無線電話による通信」となります。

 

私の場合は、海上自衛隊での乗船履歴が使えたのですが、「実習又は無線電信若しくは無線電話による通信」に職務が該当しないと判断されたため、最初は第一級海技士(電子通信)で海技免状を取得し、半年間の練習船での通信士の経歴を経て、履歴証明を添付して、第一級海技士(通信)となりました。

 

面白いのは、通信も電子通信も1級海技士の問題は同じなので、筆記試験は免除。身体検査も受験後1年間は有効なので免除

確か、定期の受験申請書(写真)付きのみ提出して、定期の合格発表後に、免許登録税の7500円だけで良かったような記憶です。

また、

 

 

 

今は、一般の商船にはGMDSS導入後、専任の通信士、通信長は乗船しておらず、航海士が通信長を兼任していますね。

 

練習船でも通常の通信は国際VHFが主で、航海士が船橋で行い、通信士は航海士が実施している通信のモニターと通信設備の保守及びレーダーの保守維持整備が主となっています。

 

それと、実習のための練習船なので、教官となる職員乗組員の使用するパソコンなどのメンテナンスやサーバーの設定などが日常業務の多くを占めています。

 

それから、練習船では、3(2)等通信士が「無線通信」の教務・実習、通信長が「気象海象天気予察等」の教務・実習

知識試験(ペーパー試験)と採点、結果の教務担当への提出・・・。

遠洋航海中に船舶局無線従事者証明の新規訓練を船上で通信士、通信長が教務を担当、実施したりもします。

講師資格を通信士、通信長は満たしており、申請で、講習の実施が認められています。

また、通信士、通信長で、実習生にレーダ、ARPA、AIS等の実習を担当しますね。

今は、独り通信長が多くなっているので、一人でやります。

 

併せて、通信長は練習船の図書の購入希望調査、納入された図書のカード作成、カバー掛け等の登録作業、図書室の整備、維持も担当していますね。

 

記憶と記録のために・・・・・

 

 

それから、これは確認していないのだけれど、航海士の海技士海技免状は失効しても、失効講習とかで復活できるけれども

通信士の海技免状は切れたら、復活はない・・・・・。受験のし直しだそうです。   ここは誤り

 

そして、船舶局無線従事者証明の失効や、無線従事者の失効でも海技免状(通信、電子通信)は失効します。

前提が、無線従事者であること、有効な船舶局無線従事者証明があること・・・ですからね。

 

海技士通信(電子通信)も失効講習があるようです。

https://www.jeis-chubu.jp/training1_big/big

 

※1講習は2日間 初日10:00~19:00 2日目09:00~15:00
※2船舶局無線従事者証明書が有効であること

講習会場はJEIS 中部

愛知県名古屋市港区入船1-5-8

 

他にもあるのかな????

 

 

 

船舶局無線従事者証明書が有効にするための講習を受けて、受験ですが。

乗船履歴は・・・・必要ないのかもしれませんね。

そのはずです。 あやふやで、すいません。

 

失効講習があれば、助かりますね。乗船履歴が関係なくなるので。

 

 

でも・・・60歳になってから何しよう???

 

人生、成り行き  ですな。

 

65歳の年金受給開始まで5年もあるし・・・霞でも食べて行けるなら、隠居するかな。

 

お終い