韓国、カーボンナノチューブ(CNT)の構造的欠陥を指摘? | なぁのブログ

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気まぐれで始めてしまったブログです。今後、どのようなブログになるかは、書いている本人にも分かりませんw

日本は、カーボンナノチューブ(CNT:以下CNTと表記)研究では、世界でトップクラスの研究をしていることで知られています。その研究成果を否定するかのような記事がありましたので、ご紹介いたします。

でも、あいかわらず韓国の科学記事は分かりずらいですね。まずは、単層CNT(SWCNT:Single-Walled Carbon NanoTube)には様々な構造により、2種類あることを踏まえておいてください。1つは金属(導体)特性を持つもの、もう1つは半導体特性を持つものがあると知られています。このことを記事は一切触れていません。


[一目で見る科学ニュース]夢の新素材、知ってみると..."夢破ったよ"「電子新聞」
記事入力2014-06-15 18:03

カーボンナノチューブ(CNT)は、いわゆる夢の新素材と呼ばれる。熱伝導率が自然界最高のダイヤモンドのレベルであり、電気伝導度は銅と似ている。強度は鋼鉄より100倍強いが、中が空いていて軽量で柔軟性に優れている。炭素繊維は、1%だけ変形しても切断されたのに対し、CNTは15%の変形を加えても耐え抜く。


研究グループが発見したカーボンナノチューブ構造。円筒形ではなく、螺旋状に成長する。


このため、1991年に初めて発見された後、関連研究が着実に行われた。半導体やフラットパネルディスプレイ、バッテリー、繊維、バイオセンサー、ブラウン管などの応用分野に限りがないことが期待された。特にCNTに半導体チップを作成するとテラバイト級の集積度を実現することができる。

しかし、最近、この夢が高い障壁にぶつかった。CNTの構造は、これまで知られているものとは異なることが明らかになったからである。半導体の性質も担保することができなくなり、CNTを活用した電子素子の開発にブレーキがかかった。

韓国科学技術研究院(KIST院長イ・ビョングォン)イ・ジェガプ博士が主導した国際共同研究者らは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、グラフェン円筒ではない、はみ出し構造であることを確認した。研究者は、高分解能電子顕微鏡や原子間力顕微鏡で発見した「節(Nodal)組織」を根拠に立てた。

SWNTが外見上円筒形のチューブのように見えても、ジグザグ構造を有するグラフェンが螺旋状に育ったら、チューブの壁に螺旋状隙間が存在する。研究者は、螺旋状隙間のために生じた節組織を発見し、SWNTが円筒状のチューブではなく、螺旋体であると述べた。20年以上続いてきた「カーボンナノチューブ=円筒」という公式が壊れたわ​​けである。

螺旋構造で電気的特性を制御することは事実上不可能である。一つのチューブ内でも原子単位の組織が、位置によって異なることがあるからである。研究者たちはこれまで、いくつかの確認された半導体の性質も螺旋構造のために生じた欠陥、格子変形が電子移動を歪曲させた現象だと説明した。ジグザググラフェンは導体の性質を帯びているため、SWNTも半導体ではなく、導体の特性が見えるのが正常である。

昨年は多層カーボンナノチューブ(MWNT)も円筒ではなく黒鉛螺旋構造が明らかになって二つのカーボンナノチューブの両方で円筒構造式が破られた。これまでCNT実用化研究がいつも壁にぶつかった理由も、この方式を前提としたからだということが、研究者の説明だ。

ただし電子素子以外の分野では活用の余地を残した。CNTが円筒形であれば90度以上曲げることができませんが、螺旋状であれば、もう少し自由な加工が可能である。この特性は、高強度複合素材の製作に応用することができる。

イ・ジェガプ博士のほか、キム·ジンギュ韓国基礎科学支援研究院の先生、ミン・ボンギ嶺南大博士、イ・ギョンイルKIST博士、キム·ヨンイル韓国標準科学研究院博士、アン・ギェヒョク韓国炭素融合研究博士、ジョンフィリップ英国ヘリオットワット大学教授が研究に参加した。

ソン・ジュンヨウン記者
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=shm&sid1=105&oid=030&aid=0002279487


いくらか英文検索も行いましたが、あまりヒットしませんね。時間をかければ見つけられるかもしれませんが、せいぜいこれくらいしかありませんでした。どうやら、いくつかの単層CNTで螺旋状クラックを発見して、その類推から全てのCNTが螺旋構造体である可能性を示唆したということなんですけれどもね。
それにこの記事は、どのような成長法で作られたCNTなのかも書かれていません。これで電子素子への活用を否定に持っていくとは、韓国ちゃん、焦っているのかな。なぜそのように考えるかというと…。

記事では、電子素子への応用研究が停滞しているようにも受け取れます。確かに論文数も減ってきていることは事実です。でも、これは実用化段階に入ってきたことを示すものと考えられます。なぜなら、最近の日本の研究成果には次のものがあるからです。

・単層カーボンナノチューブの量産技術を開発「産総研 2013/12/24」
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2013/pr20131224/pr20131224.html
・半導体型単層カーボンナノチューブを選択的に合成する技術開発に成功「産総研 2014/02/12」
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20140212/pr20140212.html
・単層カーボンナノチューブ薄膜トランジスタで世界最高レベルの移動度を達成「東レ 2014/02/12」
http://www.toray.co.jp/news/rd/nr140212.html
・中大、CNTを使った半導体メモリNRAMの高速、低電力、高信頼動作を実証「マイナビニュース 2014/06/13」
http://news.mynavi.jp/news/2014/06/12/390/

韓国はグラフェンに集中して研究を進めています。グラフェンとは単層CNT開いて、無限に広げられるシート構造をしています。ですが、世界でもグラフェンの半導体応用研究は始まったばかりで、まだまだ先は長いと言えます。グラフェンは非常に電子移動度が高くて、
半導体特性として高い抵抗状態にすることが難しいという課題があるのです。

最近の日本のグラフェン研究成果に次のものがあります。

イオン性分子を塗布してグラフェンを半導体化できることを理論的に提示「科学技術振興機構(JST)2012/11/30」
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20121130/
新しい動作原理のグラフェントランジスタを開発「産総研 2012/12/11」
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20121211/pr20121211.html

でもね、シリコン基板上でのグラフェン応用ではサムスンも頑張っているようです。

<総合>夢のグラフェン半導体技術を開発「東洋経済日報 2012/05/25」
http://www.toyo-keizai.co.jp/news/general/2012/post_4873.php

グラフェンも面白そうですね。日本でもグラフェン研究が増えているようです。

韓国ちゃんも頑張りましょう。