未来からの生還 臨死体験者が見た重大事件 ‥ 2 | inca rose*のブログ

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 テクノロジーとウィルス

第十二の箱は去り、私は、十二番目の箱に入り込んでいった。今度は、遠い未来の重要な出来事を語っていた。九○年代に入ると(当時は一九七五年だったことを思い出していただきたい)、数々の大変化が訪れるのだ。

この箱では、中東のある生物学技師がDNAを変える方法を発見し、コンピュータ・チップの製造に活用できる生物ウィルスを生み出したところを目撃した。この発見のおかげで、科学とテクノロジーが飛躍的に進歩することになる。また、日本、中国、その他の太平洋沿岸諸国に、にわか景気が訪れ、彼らは信じられないほど絶大なる力を手にするようになる。この方法で製造されたコンピュータ・チップは、事実上、テクノロジーのありとあらゆる方面に利用される。車や飛行機から、掃除機やミキサーに至るまで、という具合に。

今世紀が終わるころには、この生物学技師は世界の金持ちの仲間入りをはたすことになる。世界経済を完全に支配するほどの財力を手中にするのだ。一方、世界も彼を歓迎する。彼が生み出したコンピュータ・チップは、ある意味では世界に平静をもたらしたからだ。
次第に、彼は自身の力に圧倒されるようになる。自分を神格化するようになり、より強力な支配権を要求してくる。その余りある支配力で、彼は世界を統治するようになるのだ。

彼の統治方法は一風変わっている。世界中の人々が、彼の発明したコンピュータ・チップを皮膚の下に埋め込むよう、法律で定めるのだ。このチップには、その人物の個人情報が満載されている。政府機関があなたについてなにか知りたいと思えば、特別な装置を使ってあなたの肌に埋め込まれたチップを操作するだけですむのだ。そうするだけで、あなたのすべてが把握できる。あなたの職歴、住んでいた場所、病歴、そしてあなたが未来にどんな病気にかかるのか、ということさえ分かってしまうのだ。

このチップは、さらに不気味な側面を持つ。このチップをプログラミングすることで、その人の寿命を決めることができ、その指定された死期がくるとチップの原料となっているウィルス性の物質で、その人を溶解し、殺してしまうのだ。寿命をこんな具合いにコントロールし、増え続ける老人の介護にあてる国家費用を抑えようというのだ。また、医療システムを水はけのよいものにするため、慢性病を抱える人を消し去るための道具としても使われていた。
このチップを体に埋め込むことを拒否すれば、浮浪者として街をさまよう運命になる。職も与えられなければ、公共のサービスも受けられないからだ。



最後のビジョン

いちばん最後は、十三番目のビジョンだ。そのビジョンがどこから現れたのか、分からない。光の存在が箱を持ってきたり、持ち去ったりする姿は見ていないのだ。このビジョンは、いろいろな意味で、なによりも重要なものだった。というのも、それまでの十二の箱を通して目にしてきたものの総まとめだったからだ。テレパシーを通じて、光の存在の声が聞こえた。
「もしあなたが、いままで教えられてきたとおり、そしてこれまでの二十五年間と同じように生き続ければ、これらすべての出来事は、実際にあなたの身に降り掛かります。でもあなたが変われば、将来の戦争は避けられるのです」

このメッセージとともに、恐ろしい世界大戦の画面が浮かび上がってきた。このビジョンがスクリーンに映し出される中、光の存在は、一九九四年から一九九六年までがこの戦争が勃発するかどうかを決定づける、重大な時期だと語った。
「あなたがこの定則のまま進めば、二○○四年までには、世界はあなたが知っているものとは違ったものになっているはずです」と光の存在は言った。「しかし、まだ変えられるのです。あなたには、その手助けができるのです」

第三次世界大戦の場面が、目の前に現れた。私は、砂漠から森林まで、何百という地域を一瞬にしてめぐった。そして、世界中に争いと大混乱がうず巻いているさまを目にした。どうやら、この最後の戦争、いわばハルマゲドンは、恐怖のために引き起こされるらしい。中でも、もっと不可思議なビジョンは、黒いローブとベールをまとった女性の軍隊が、ヨーロッパの街を行進しているというものだ。
「この人々が感じている恐怖は、必要ないものなのです」と光の存在が言った。「ところが、その恐怖心があまりにも強すぎて、人間は安全を得るために自由をすべて投げ出してしまうのです」

私が目にしたのは、戦争の場面だけではない。自然災害のビジョンも多く現れた。世界のあちこちで、かつて麦やとうもろこしが育った肥沃な土地が、ひからびた砂漠になったり、うねが立てられたままの状態で農民に見捨てられていた。また、激しい暴風雨が地面をえぐり取り、表土を侵食し、厚く、黒い泥が流れる川をつくり出している場所もあった。
人々は飢えていた。食べ物を乞いながら街をさまよい、ボウルやカップ、あるいは手を差し出しながら、だれかが、あるいはなにかが、食べ残しを分けてくれるのを待っていた。物乞いをすることさえあきらめ、あるいはその気力をなくし、力つき、地面にうずくまって、死をただ待つのみという人々もいた。

中米と南米で市民戦争が勃発し、二○○○年までにそれらの国々のすべてに社会主義政府が誕生するところも映し出された。そういった戦争が激化する中、何百万人もの避難民がアメリカの国境を越え、北米での新しい生活を追い求めるようになった。こういった移民をさし止める手だてはなにもなかった。彼らは死の恐怖と神への不信感に駆り立てられていった。

ビジョンがすべて終わったとき、光の存在たちが必死になって私たち人間を救おうとしているのだ、ということに気づき、はっとなった。私たち人間が健全なる存在だから、ということではない。私たち人間がこの地球で霊的に進歩していかなければ、彼らは自分たちの世界で成功することができないのだ。
「あなた方人間は、真の勇者です」と、光の存在は言った。「地球に向かうのは皆、勇気ある者たちなのです。ほかの霊的存在には、とてもやる勇気がないことを、あなたたちはやってのけているのですから。あなたたちは、神とともに創造するために、地球へ向かっているのです」

それぞれの箱を見せられているあいだ、私はいくつかの疑問を何度となく頭の中で繰り返していた。なぜ私の身にこんなことが起こっているのだろう? 私はなにがなんだかさっぱり分からなかった。その少し前に無限とも思える知識を与えられていたにもかかわらず、その疑問を解明することはできなかったのだ。私は未来を見た、だかその理由は分からない。

最後のビジョンが終わると、十三番目の光の存在が、私の疑問に答えてくれた。彼には、ほかの存在よりも大きな力を感じた。少なくとも、私にはそう思えた。彼の色彩はより鮮明だったし、ほかの存在たちは彼に従っているように見えたのだ。彼の実在はその光の中から伝わり、仲間の存在たちの感情をすっぽりと包み込んでいた。

いま見たものはすべて未来の出来事だが、必ずしもこうなると決まっているわけではない、と彼は語った(彼は言葉を発しなかった)。「人間の行動の流れは、変えることができます。でもその前に、人間は自分が何者なのかを知る必要があるのです」と彼は言った。そして再び、人間は偉大で、強くて、力がある霊的存在だ、という彼らの信念を伝えてきた。「私たちはここで、偉大なる冒険をしようと地球に向かう人々すべてに会っています」と彼は続けた。「あなた方には地球に向かい、生命を発展させ、そして人類という名で知られる、神がお造りになった大いなる冒険に参加する勇気を持った方々なのです」

そこで彼は、地上における私の目的を告げた。「精神主義的資本主義をつくり上げるのです」と彼は言った。「人々の考え方を変え、その未来の思想を推し進めるのです。政府や宗教ではなく、自分の精神そのものに頼る方法を、教えてあげるのです。宗教は結構なことですが、なにからなにまでを宗教に左右されるようではいけません。人間は、力ある霊的存在です。愛とは、自分がされたら喜ぶような方法で他人に接することだということさえ分かってくれればよいのです」

それからその光の存在は、私がこの世にもどってからやるべきことを教えてくれた。人々が訪れ、日々のストレスを和らげる場となるセンターを設立することだという。ストレスを和らげることで、人間は高貴な霊的存在だということを「私たち同様」悟るようになるだろう、と光の存在は言った。そうすれば恐怖心はおさまり、仲間である人間をもっと愛するようになるだろう、と。そして、七つの部屋のビジョンが現れた。

●「セラピー・ルーム」。人々が集い、お互いに話し合う場所。
●マッサージ・クリニック。ここでは、人々がマッサージを受けるだけでなく、他人にマッサージを施す。
感覚遮断の部屋。人々の気持ちをリラックスさせ、自分自身に深く入り込むことができるような部屋。
●生体自己制御装置が備わった部屋。この装置を使えば、人々は自分の感情のコントロールの限度を見極めることができる。
●リーディングの広場。霊能力を持つ人々が、患者の心を読み取る場所。
●ベッドのある部屋。ベッドの音楽装置によって、実際に肉体を離れることができるほど人が深くリラックスできる。
●反射の部屋。磨きあげた鋼鉄あるいは銅で内部がつくられている。ただし、部屋の中にいる人間が反射した自身の姿を目にできないような形になっている(磨きあげたステンレス網の壁というのは想像がつくが、この部屋の目的については、さっぱり理解できなかった)。

そして人々は最後にまたベッドのところへもどり、そこで再び生体自己制御装置を取りつけられる。そして深いリラックスの状態に入ったところで、霊界へと案内されるのだという。生体自己制御装置は、そのような深いリラックス状態に達するための感覚を人に自覚させるために使われるのだ。
「これらの部屋の目的は、神を通じて自分の生活をコントロールできるということを、人々に教えてあげることにあります」と光の存在は言った。

あとになって知ったのだが、その部屋はそれぞれ古代の神託所を表しているのだ。つまり、古代ギリシアで人気を博した、霊と神秘に満ちた神殿のことだ。たとえばベッドで行われることは、アスクレピオスの神殿で行なわれていた夢の孵化と似ている。リーディングの広場は、人々が霊に話しかける場だったデルフォイの神殿を表している。反射の部屋は、エフュラの「ネクロマンテウム(降霊自分)」だ。古代人は、すでにこの世を去った愛する人々の幻影を見るために、そこに足を運んでいた(このことは、その後何年もたって、医学のほかにも哲学の博士号を持つレイモンド・ムーディ博士がその部屋と神託所の関連を指摘してくれるまで、気づかなかった)。

現代の神託所を、どうやって私につくれというのだろう?  光の存在が、心配はいらない、と言った。その部屋をつくるのに必要な構成部品は、いずれ私にも分かるはずだ、そうしたらあとはそれを所定の場所に置くだけでよいのだ、と。はたしてそんなことがありえるのだろうか、と思った。私は、そういうたぐいのことについては、なんの知識も持ち合わせていない。瞑想のことなら少しは知っている。というのも、子供のころ空手を習っていたことがあって、そのときいつも瞑想していたからだ。それにしても、その種の施設をつくり上げるとなると、そんな程度の知識では不十分だ。「心配は無用です」と、光の存在が言った。「いずれあなたにも分かるはずです」

光の存在はその場所のことを「センター」と呼んでいた。彼は、その施設をつくり上げることが、地上における私の使命になると告げた。そして、もうそろそろ地上にもどるときだ、と言い出した。
私は、もどりたくない、と抵抗した。その場所が気に入っていたのだ。ほんのしばらくいただけだが、その場所ではまるで宇宙全体を旅するように、いろいろなところを自由にめぐることができるのだ、とすでに分かっていた。一度そこを訪れれば、地上にもどるなんて、ピンの頭ほどの広さで生活するくらい狭苦しいもののように感じてしまう。だが、選択の余地はなかった。
「あなたにお願いしているんです。もどって、この使命を果たさなければなりません」と光の存在は言った。そこで仕方なく、私はもどってきた。













『未来からの生還     臨死体験者が見た重大事件』
著 . ダニエル・ブリンクリー/ポール・ペリー共著

から抜粋。