鈴木宣弘氏対談…食料の米国依存が生んだ日本の危機~答は日本食振興!各地域で食の循環への国民運動を | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 日本が先進国で最も農業が保護されていない国であることは意外と知られていません。戦後、軍事だけでなく食料まで米国に依存した結果、食料自給率の問題だけでなく、食の安全、つまり日本国民の健康まで脅かされています。食と農は国家の基本。ぜひ、このGW中に、このテーマについてじっくりと考えていただければと思い、先般、農水省出身で現在は東大の鈴木宣弘先生と行った対談をご紹介します。

 日本の食料自給率は37%程度とされていますが、化学肥料や種を含めると、いずれ10%を切る計算になる!しかし、どの国でも食料自給は国家安全保障の中でも最も高いプライオリティが置かれています。あまり役に立たない?ミサイル購入で防衛費ばかりが膨らんでいますが、農業にこそ財政資金を投入すべし。

 現に、国際紛争や中国の爆買い、異常気象の通常化も加わり、日本は食料危機に…量だけでなく質の面でも、エストロゲンとかBSEとか添加物とか、日本は規制の厳しいEUには輸出できない危ない食料のマーケットと位置づけられているようです。

 これは戦後、米国の余剰農産品のはけ口として食生活を急速に西洋化させられ、飼料なども含めて米国への食料依存が構造化されたことにより、米国に対して何も言えない構造が定着してきたことが原因。グローバリズムのもとで国益を主張すれば「守旧派」として弾圧され、政府は国民の食よりも経済的利益を優先する勢力による「改革」を進めてきた。これも食料危機の原因。

 食料が足りないならコオロギを食え?いま、世界でこれに反対する国民運動が立ち上がっています。コメを中心とした日本食が日本人の健康に適しているのは、腸内細菌がそれぞれの土地の土壌と密接に関連していることからも明らか。

 答は、各地域で食の循環を組み立てること。これは地域振興や経済活性化、財政にも寄与します。地域でとれたものを地域で…これを地域通貨が支え、草の根から日本人の食生活を取り戻す国民運動を…これが食料自給率の問題をも解決することになる。こうみてくると、日本人の食の課題解決の答は、まさに参政党の日頃の主張や立場の中にあることが分かります。

 

◆ゴールデンウィーク特番『待ったなし!日本の食の危機とは? ~日本の食料自給率はホントは10%!?~』ゲスト:東京大学農学部教授 鈴木宣弘氏

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https://www.youtube.com/watch?v=gbhdquVN_s8&t=12s

 

●危機に直面する日本の食料事情

食料自給率は37%ではなく、実質10%。カロリーベースで計算されている37%には肥料や種が入っていない。肥料の輸入はどうなるか?野菜の自給率8割といっても、その種は1割しか自給できていない。国内の種を海外に差し出す制度改定がなされている。種の9割が海外依存となると、実質的な食料自給率は9.2%となる。

全ての農産物の種の9割が海外依存となると、食料そのものの自給率だけでなく、色々な要素も勘案すると、そういうものも輸入が止まると作れなくなるのだから、食料自給率が1割を切る事態が近づいているといえる。

江戸時代は100%だった。日本には自給力がある。循環農業を鎖国の中で作り上げていた。国内資源で循環させて自然の力に従った食料生産や経済社会を日本はもっていた。

現在は量と質の両面で問題。そもそも米国の占領政策で、食料は輸入に頼りなさいとなった。米国の余剰生産物を受け容れる形で自給率が低下したことに加え、現在は、ウクライナ危機、と中国の爆買いがある。日本が買いに行っても残っていない。中国では工業化が進んで農地が減少していることに加え、有事に備えて15億人が食べられるための備蓄をしている。世界中の穀物を買占め、すざまじい。日本は太刀打ちできないでいる。

異常気象の通常化も起きている。猛暑、洪水、干ばつが当たり前になっている。いずれにしても、今までのようにおカネを出せば食料を輸入できるという状況でない。

我々の来た道を振り返ると、農水省と通産省が犬猿の仲。自動車を輸出してカネが入ればいいという状況でない。以上は量的な危機だが、質的にも大問題。

●すでに脅かされている食の安全、危ないものは日本へ?

安いものにはわけがある。米国ではエストロゲンで4割安く生産、それが乳がんの増殖因子。日本国内では禁止だが、米国に忖度して、輸入肉の検査をざるにしている。牛肉の自給率も3割しかないから、安全に懸念のあるものを受け容れざるを得ない。

量的に食料を米国に握られていると、食べざるを得ない。文句を言えない構造がある。EUは米国がなんと言おうが、完全にエストロゲン牛肉を拒否。EUには売れない。だから、日本人に食べてもらう。豪州はEUに売るときにはそれを使わないが、日本向けにはエストロゲン入りを売る。危ないものは日本へ、が世界の合言葉。日本のマーケットはそういう位置づけ。米国に忖度して緩くしているからそうなる。

BSEの全量検査は、24か月より若い牛に厳しく最初はやったが、米国からすぐ怒られて、やめていった、日米貿易協定で、そういう検査は全面撤廃した。BSEは米国でも出ていない。検査率が数パーセントで、映像でわかる牛の様子からして、と畜場に運ばれても検査していないと「正常」とされる。BSEに罹患している肉が自由に入っている。危険部位を除くのは日本はできているが、米国はできていない。危ない部位がついたままで日本に。

エストロゲンという成長ホルモン、そして狂牛病、二重の意味で安全に懸念が日本では出ている。

調味料も米国との関係が大きい。1,500の添加物を日本で認めてきた。米国ではあと2,000ぐらいあり、日本でまだ認めていないが、米国で認めているなら、順次認可しなさいと。一年に2,000は大変なので、少しずつ認めてきた。米国からの要求を拒否できないので、順番にやるのが外交政策となっている。いずれ3,500になる。世界でいちばん添加物を認めた国になってしまった。

 

●食料を米国に依存した結果、米国に対して弱い国に

なぜ日本は米国にそんなに弱いのか。敗戦後の占領政策で米国の余剰農産物を受け容れて関税を撤廃。日本側も通産省を中心に、この構造を活用した。農産物を生贄にして米国の言うことを聞いて、製造業で儲ける。日本側もうまく対応した。農水省は抵抗してきたが、もう首相官邸も計経済産業省も外務省も財務省も、進めざるを得ないんだと。農水省のことは聞かない、と、決めたことをやらされる立場に。

中川昭一農水大臣が、脱脂粉乳を余っているからと海外援助に回そうとした。すると、米国の市場を奪ったと逆鱗に触れた。そして中川氏はあんなことになった。みんな震え上がっている。米国に逆らうと自分がもたないと。国民より自分の地位の保全に。一人で闘うと潰される。こういう構造がある。だから、言うことが言えない。

戦後、食生活を西洋風に変えさせられて、米国に依存せざるを得なくなった。米国は実に戦略的だった。依存せざるを得ないように日本人の食生活を洗脳した。コメ食うとバカになると書かせて。子どもから変えてしまえ、給食で。米国のマズい小麦のパンと脱脂粉乳、これは全部腐っていた。腐ったものを温めていた。

日本の食生活改善運動は全部、米国のおカネ。学校給食もGHQが導入させた。軍事だけでなく食料も。肉食にされると飼料は米国、米国に餌付けされた。

日本の畜産を、大量の余剰エサ穀物のはけ口に。日本はそれに依存するので、酪農は発展したが、米国エサ穀物なくしては立ち行かない構造が創られた。軍事面では米国に守ってもらっているという幻想が創られた。言うことを聞かないと大変なことは軍事面もそうだ。そこで思考停止状態に。

国益のことを言う官僚は守旧派とされた。日本人の頭の構造を市場原理主義、グローバル化、規制撤廃で教え込んだ。留学した官僚たちは洗脳された。今だけカネだけ自分だけの人たちに利益を集中できる体制になり、農業は苦しくなる。格差社会。それを改革の名のもとに進めた。

改革は大失敗だったが、彼らからすれば大成功だ。こうして日米のお友達企業が儲けられるようにした。米国の戦略はいろんな面で大したものだ。食料が米国の日本支配の重要なツールになっていることを理解しないと、日本の食料危機は説明できない。

 

 

●どの国でも一国の安全保障で最優先なのが食料、財政投入も農業に対して重点的に

では。どうするか。日本は食管法をなくしたが、他国は似たような制度をやっている。大蔵省からはカネばかり食いやがってとされたが、これは優れた政策だった。農家が生産を続けられるよう政府が高く買い上げて、安く消費者に売り、その差を埋めるのが政策だった。

財政負担がかかるからダメだと言って廃止したが、他国は生産者の労働報酬を含めたコストに見合った価格に不足が出たら差を埋めている。多くの国で農家の所得の100%が税金で払われている。それだけ国内での食料確保が、いざと言うときに国民の命を守ることになるとされているもの。1兆円余計にかかっても、不測の事態に飢え死にしたら取り返しのつかないことになる。

そういうリスクが今、高まっている。これは一番の安全保障だ。国防は不測の事態への備えをふだんから。防衛費も43兆円に。そのカネがあるなら、米国の在庫処分のためにミサイルを買うなら、まともに使えないカネがあるなら、食管法を復活すべし。本来の国防はそういうもの。

そういうおカネの使い方をすべきなのに、防衛で米国からの要請があるから。財務省も農水予算ばかり切っている。防衛予算が膨らんで。

軍事と食料とエネルギーが国家存立の基盤としても、一番必要なのは食料だ。戦う前にシーレーンを封鎖されたら、飢え死にして終わりだ。プライオリティは諸外国ではそうなっている。国政が目覚めないと。

 

●グローバリズムが押し付けるコオロギ食、知らないうちに私たちはもう食べている

食料生産が減ってもコオロギを食べればいいじゃないかと言われる。環境に悪いのが農漁業という話になって、コオロギと人口肉と培養肉にしようと、ダボス会議に出るグローバル企業が次のビジネスにしようとしている。

地球に悪いのが田んぼのメタンガスと牛のげっぷ?何千年も前からある。工業化が温暖化の原因でしょう?食料が足りないからとこちらに?「コオロギ太郎」がテレビでパフォーマンス。

しかし、日本人がコオロギを食べなかった理由があった。それをわざわざ給食で?コオロギパウダーと表示しなくてもよく、混ぜてきている。一般の人がもう食べている。

農業が悪者という流れを欧州が作ろうとしていて、農業補助金カットで農民が怒って農民一揆が欧州各国で起きている。国民はみんなで食料を守ろうと。世界は怒っている。日本は我慢強い。自分たちはどんな状況に置かれているかを知り、日本人も立ち上がるべき。

 

●各地域で食料の循環を、財政的にもプラスになる

国が動かないので、国民が自分たちの力で地域から変えていくしかない。安いものにはわけがあると。リスクがあるものが多いから、できるだけ避けるよう、選択すべし。私たちが気づくこと。できるだけそれぞれの地域地域で安全安心な美味しいものを作っている人たちがいるのだから、地産地消をベースにする。そういう消費行動が必要だ。

地域で自分たちで消費する地域循環的な仕組みやネットワークづくりがカギになる。学校給食の公共調達、給食に輸入の小麦は安いが、農薬とかリスクがある。ならば地元のコメや食材を子どもたちに出せるよう、市が買い取ります。オーガニック給食。

千葉県のいすみ市の市長が良い例。有機米農家、市内の給食は全部有機米に。触発された動きが広がっている。国がカネを出さなくても、財政が厳しくても、子供の健康を守ることをしてくれれば農家もハッピーに。いすみ市でも子供たちが元気になったと聞きつけて移住者が増えた。

地域通貨をブロックチェーンで、良い考えだ。地元の農産品をバックに発行する。ローカル自給圏。回すカギは地域通貨が核になる。明石市の泉市長、あれだけの赤字の中で、こどもを守る給食予算を2倍に増やし、子どもは元気に、商店街は活性化し、人口が増え、税収も増える。命を守る政策をやれば財政もよくなる。循環をどう作るかの波及効果を考えた財政政策を。食の循環を。

 

●日本人の健康に良い日本食で自給率をアップ、国民が立ち上がって政治を変えよう

日本人には間違いなく、コメを中心とした食生活が健康を守るために適している。地域の土壌があって、それを食べるのが適している。田んぼ、そこでできたコメで生活してきたのが日本人の基本。三里四方で採れたものが健康に良いと、江戸時代から言われてきた。

地域で取れるものを中心に食べてきいけば、健康を守れる。土壌にいる細菌が胃に入り、それが人々の腸内細菌とも関連している。そういう循環、日本の風土に合った、体に適していることがベースにある。土と腸内細菌はかなり関連している。土壌細菌が移行して腸内細菌に。国によって適している食材は異なる。ワカメは西洋人は食べられない。

遺伝的な要素は風土で形成される。それに合った食生活をしていたところにいきなり、米国から食生活改善運動。パンと肉は日本人にあまり合っていない。

日本食にすれば自給率も上がる、コメ中心の和食で63%まで自給率が上げられると農水省が数字を出したが、ネットでアクセスできなくなっている。和食中心になるのは、あってはいけないことだと。国民が知ってはいけないと。そんな厳しいレールが敷かれているが、地域地域から、コミュニティレベルから、日本の食を守っていくしかない。

在来の種を守って循環できるようにする。直売場を拡大し、生産者も消費者も地域の種から創る自給圏を地域通貨で。これを自治体がサポートする。そうすれば、国も取り入れざるを得なくなる。

一人だけで国に対抗しようとして潰された方々が多いが、もう少し面的に。国会議員もそういう動きが取れれば良い。それを地域から。政治を変えていくうねりを起こせればと思う。国民運動しかない。