没落のフランソワ家と逃亡の警官 | katoo the world

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フランソワ家のホームパーティーに呼ばれているのだが、私とした事が不覚を取った。 

金髪のマッシュルームカツラに鼻メガネ、白のスーツを着込み、準備万端で備えたのだが、小腹が空いてカレーうどんを食べたのが間違いであった。

スーツにカレーうどんのダシが飛んでしまったのだ。
白のスーツにカレーの黄色が映えるわ~、てうるさいわ!
どないせいちゅうねん!

時間も無いのでダシが飛んだ部分にはカメオのブローチをつけて、オシャレにコーディネート。
私自身の機転とセンスに思わず脱帽だが、カメオブローチ16個は付けすぎたか?
パンクス御用達の缶バッチのたくさん付いたライダースジャケットと言えなくも無いが、バッチがカメオのブローチとはエレガントな私にしか出来ないファッションと言えよう。

さて、窮地を脱した私だが、パーティーに行くのに手ブラは有るまい。

愛用するフォアグラのテリーヌをお土産にしたかったのだが、生憎SAY!YOU!には取り置きが無い様で、200円のベビーチーズと1800円のボージョレ・ヌーボーを手にする。

私はパーティーでの余興を一考しているのだ。

「さて、皆様の盛り上がり、大いに結構!
ココで余興を用意しました。

こちらにあるワイングラス2つ!
1つは私秘蔵の幻のワイン、コルトン・シャルルマーニュの偉大なる1995年。
1本100万円を下らない、世界最高峰のワインである!
そしてもう1つは庶民の味方SAY!YOU!で箱売りされていたボージョレ・ヌーボー1800円!

さあ、本日のホストであるフランソワ・サマエルに選択頂きましょう!

食通と名高いフランソワ候におかれましては、よもや間違え様も無いかと思われますが、万が一選択に誤りがあった際には、これまでの投資金額の全てを返却、また領地を没収せざるを得ませんな。

さあ、フランソワ候!
飲むが良い!
そして己の命運を選ぶが良い!」

しかし、初めから2つのグラスには同じボージョレ・ヌーボーを注いでおき、フランソワ候が
コルトン・シャルルマーニュの選択後に、私が持参したボージョレ・ヌーボーのボトルから直接別の一杯を注ぎ、改めてフランソワ候に飲ませる。

その上で愚かなる己の選択がボージョレ・ヌーボーで有った事を、自ら告白させる。
コレでフランソワ候は終わりだ。

仮に自らの非を認めなかった場合は、私への侮辱罪として、その場で斬首するのみである。
場はしらけるやも知れぬが、まあ、致し方あるまい。
何れにせよ、フランソワ候は本日を以って終了である。

それでも、よくよく考えてみると、2杯のボージョレ・ヌーボーを飲み比べ、正解として出される1杯もボージョレ・ヌーボーなので、どう考えても正解はボージョレ・ヌーボーなのだが、時代の波と言うのは、かくも理不尽なるモノか...。

哀れフランソワ候!
せめて安らかに眠れ...。

さて、レジ待ちの行列に並ぶ私。
流石に庶民の味方SAY!YOU!は混んでいるのだ。

その列の先頭で、今まさに会計をしている男性が制服に身を包んだ警官であった。
その彼に声をかける中年女性。

「おまわりさん!あんた、チョット来て!
大変なのよ、早く!」

今まさに商品を受け取り、財布を弄る警官は中年女性を振り返り「何だって~!?今行くぞう!」と叫び、商品を手に店外に走り去って行った。

呆気に取られる私を含めた客。
お昼ごはんを買う時間すら与えられないとは、警官とはいかに大変な仕事なのか?

「お客様!お会計をお願いします!」

感心するのも束の間、レジ打ちの女性が光の速さで警官を追いかけて行った。

職務とは言え、会計は済ましたまえよ。
...それとも、先の中年女性と警官は、もしやグルと言う事は無かろうか?

既に中年女性と警官は店外に走り去り、その行方は誰にももう、分からない。

かとぅ