「日本橋高島屋」で純金製の茶碗が盗まれた事件で、警視庁は、32歳の男を窃盗の疑いで逮捕した。
職業不詳の男性容疑者(32)は4月11日、東京・中央区の「日本橋高島屋」の「大黄金展」の会場で、1040万円で販売されていた純金製の茶碗を盗んだ疑いが持たれている。
警視庁によると、茶碗を盗んだ男は犯行後、東京メトロ木場駅で降りていて、13日午前、木場駅周辺で捜査員が男とよく似た容疑者を発見して約4時間半かけて追いかけ、千代田区の新丸ビルで声をかけたところ、犯行を認めたという。
百貨店の老舗「日本橋高島屋」で開催中の「大黄金展」で、展示時間中に1040万円で販売されていた純金製の茶碗が盗まれた。
ケースは異なるが、否応無く思い起こされるのが、2023年5月に発生した東京・銀座の高級時計店で起きた強盗事件である。
中央区銀座のロレックス専門店に白い仮面姿の男3人が押し入り、従業員を刃物で脅したうえショーケースをバールで割って、100点以上の商品1億円相当以上を奪い、逃走した事件。
杜撰な犯行計画から即実行役は逮捕されたが、白昼堂々と行われた犯行である事と、犯行グループとみられる男4人は16歳から19歳と言う未成年者犯罪である事から、いよいよ日本に於いても組織犯罪は海外クラスの危険性を有して来たと衝撃を受けた。
“ルフィ”を中心とする特殊詐欺グループによる一連の強盗事件に於ける被害総額は60億円以上との事で、しっかりと組織ビジネスとして犯行が実行されている事に驚いた。
特殊詐欺グループが募集する”闇バイト”に応募する若者。
従事者登録に必要として個人情報を開示させ、逃げられない状況にした上で、断片的に犯行指示を出す。
集合場所に集められた若者は、お互いの名も、素性も知らず、ただ指示の通り犯行を行う。
指示役と実行部隊との連絡は、機密性が高く、消去後の復元が困難な海外開発の無料通信アプリ「テレグラム」や「シグナル」を活用する事で、捜査の手も及ばない。
勿論、特殊詐欺グループのバックにはより大きな反社会的組織が付いている訳で、実に統率が取れたモノである。
この手の組織犯罪はメキシコ麻薬カルテルやヴェネチアン・マフィアなどで明らかにされて来たのだが、よもや此処日本迄、その様な状況になっていたと言うのは些か平和ボケと言ったモノか?
銀座未成年強盗団 vs 高能力者かとぅ
https://ameblo.jp/katoo-the-world/entry-12803479204.html
さて今回発生した日本橋高島屋で現在開催中のイベント「魅惑の輝き 大黄金展」に於いて、1040万円で販売されていた純金製の茶碗が盗難されたと聞き、失礼ながら多くの方々と同様に笑ってしまった。
展示場内に複数の百貨店スタッフはいたが、警備員は少なく、センサーなどの防犯装置も無く、商品を覆うプラスティック製の透明ケースも鍵など無く、ズラせば簡単に窃盗出来る状況だったとの事。
実際に犯行は入り口直ぐの死角の無いテーブルで行われ、持参したリュックサックに商品を入れる容疑者が防犯カメラにバッチリ映っていたと言うのだから、大胆不敵と言うべきか、余りの犯行の馬鹿さにはスタッフに過度な正常性バイアスが掛かってしまったかは分からんが、高額商品の展示会としてはちょっと考えられないレベルの防犯意識と言わざるを得ない。
また盗難後も正午近く迄、20分近く誰も犯行に気付かず、発覚当時展示会場にいた訪問客も全くその騒動を知らなかったと言う。
警察に対する高島屋女性スタッフからの「商品が盗られた」なる連絡も、本当なのか疑ってしまう。
普通、警察に連絡するより先に警備会社がその威信をかけて犯人を割り出すだろうし、場合によっては店内を封鎖する様な措置も取れるだろう。
ソレを高島屋女性スタッフから直接警察に、「あの、高島屋なんですけど…、魅惑の輝きの、大黄金展で商品が盗られまして…、はい…」などと連絡しているのを想像するだけで、失礼ながら笑いを噛み殺す事が出来ない。
ニュースなどでは今回窃盗された「純金製茶碗:1040万円」に併せた展示物として「純金製ラオウ像:319万円」、「純金製ミッフィー像:220万円」と言う、これまた謎のラインナップに失笑を重ねてしまうが、特筆すべきは金の小売価格である。
2019年3月には4691円/グラムだったのが、2024年3月:1万428円/グラムと、ここ5年で何と2.22倍になっているのだから、ビットコインとか電子マネーに注目が集まる中でも、やはり金とは不変の価値を有するのだ。
事件発生2日後、警視庁は32歳の男を窃盗の疑いで逮捕した。
容疑者は容疑を認め、自身に150万円程度の借金があり、「純金茶わんで茶飲みたかったが換金した」、「江東区内の買取店で180万円で売却した」などと供述しているが、警視庁が茶碗の行方を捜査しているとの情報もあり、既に第三者の手に渡っている可能性も高い。
金は溶かしてしまえば足が付かない訳で、裏組織にとっては扱いやすい資産と聞いた事が有る。
ソレでも民法第193条で「占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求する事が出来る」と記されており、今後この買取店への対応も気になる所ではある。
ただ同時に180万円の茶碗を1040万円で売ろうとしていた髙島屋も、1040万円の茶碗を180万円で手に入れた買取店も、商売とは中々尋常では無いと実感するのだ。
そんな中に於いてやはり気になるのは、高島屋の来客するお客様への信頼と言うか、日本人の民度と言うか、何とも性善説に裏付けされた無策なる展示即売会の運営である。
そして同時に、逮捕された32歳男性容疑者の姿を拝見して、気になる事が有った。
犯罪は犯罪だし、この男性が起こした罪を擁護するつもりなど毛頭無い。
しかし、護送されるこの男性を観るに、どうしても悪意や私利私欲の下で起こした犯行とは思えない。
正直に言うとこの男性、知的障害を持っている方かと思ったのだ。
無策過ぎる犯行、犯行後の茶碗売却価格、逮捕までの足取りと、どれもが無計画であり、首を傾げてしまうレベルの杜撰さだ。
出来心なのか、悪戯なのか、現段階では判断出来ないが、子供が親の金を盗り駄菓子を買うかの感覚を受ける。
此れなら未だ、東京・銀座の高級時計店で起きた強盗事件の方が犯行として理解出来る。
言い掛かりに聞こえてしまえば申し訳無いが、要するに高島屋の防犯管理がしっかりしていれば、この男性が犯罪に手を染める事も無かったのでは無かろうか?
調べた所、逮捕された容疑者は父親と二人、借金を抱えながら生活保護で貧しい生活していたと言う。
父親曰く「息子は真面目で悪事に手を染めた事など一度も無い」との事。
本人のSNSを拝見するが、自撮りであろう本人の顔写真の表情や、貧しさや自身の病気に対する一行程度の書き込みからも、やはり知的障害を印象付ける記述が続く。
今後更新される事も無いSNSの書き込み一つ一つに対して、御丁寧にも「犯罪者は死ね」、「茶碗返せ」、「この泥棒!」などと書き込む者もおり、観ていて中々に辛いモノが有る。
宮口幸治著の「ケーキの切れない非行少年たち」では、医療少年院にて犯罪を起こしてしまった未成年児童をケアする精神科医が、非行に走る児童の多くが学力や認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」事すら出来ないと指摘する。
知能指数(IQ)の平均域と知的障害の間に当たるIQ70~84の「境界知能」の人は、全国に1700万人(人口比約14%)程度いると推測される。
小さい頃の勉強は何とかなったが、あるタイミングからついていけなくなった。
いじめらるようになった、生きづらい、悪気はないが犯罪に至る…。
境界知能の人の特徴として①認知機能の弱さ ②感情統制の弱さ ③融通の利かなさ ④不適切な自己評価 ⑤対人スキルの乏しさが挙げられると言う。
そんな少年少女にとって、自身に降りかかる問題を理論的に解決する事は非常に困難で、短絡的な解決を求めて、意図せず犯罪に走ってしまう事が有るのだ。
ソレでも一見、日常生活を送る姿は健常者と何ら変わらないので、仕事でミスを繰り返したり、困り事が起きてパニック状態になったりして困難を抱える事が多いが、周囲の理解や助けを得られにくい。
いわば“普通”に見えるのに“普通”が出来ない為、やる気の問題だと誤解されてしまい、適切な支援に繋がれない恐れがある境界知能の方々。
「ケーキの切れない非行少年たち」を拝見した程度で、何が分かったと言う事は無いのだが、医療少年院で治療を受ける少年らに感じる境界知能を、この男性容疑者にも同様に感じる。
生活保護でも賄い切れない辛い生活を抜け出す為か、フラリと入った「魅惑の輝き 大黄金展」の名の通り、純金製茶碗の輝きに魅惑され、男性は突発的に犯行に手を染めてしまったのでは無かろうか?
逮捕時の「純金茶わんで茶飲みたかったが換金した」との供述には失笑してしまったが、「純金の茶碗が綺麗で、本当にお茶が美味しそう」と彼は心から思ったのだろう。
その素敵な、純粋な感性をプラスに変えて、どうか罪を償って欲しいと願うのだ。
是迄辛かった人生な分、是からを良くして行こう。
そして罪を償った暁には、是非純金茶わんで美味しいお茶を飲んで頂きたいモノである。
かとぅ