4月25日 科学実験教室(冷え冷え大実験2) | 高槻天神先生のブログ

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学研JR高槻前天神教室で行っている科学実験教室のブログです
基本、毎月第4土曜日に教室を開いています

今日は、冷え冷え大実験の2回目でした。

 

最初は、コップに氷を入れます。
氷は水に浮く?
何人かは、沈むという答がありましたが、やってみると、ちゃんと浮きます。

 

ここに、そろりと、ストローを伝わらせて水をコップ一杯まで入れます。
すると、氷がコップの縁より上に出ていますね。


この氷が解けると、コップの水はあふれてしまうでしょうか?
「あふれる」という答が多くありました。

しばらく、溶けるのを待ちます。
(実は、少しぬるま湯にしておいたので、速く溶けます)

氷がすべて解けても、コップから水はあふれませんでした。

 

水が氷ると、体積が約10分の1増えます。
氷の水から上に出ている部分が、この水が凍った時に増えた体積になります。
だから、氷が解けると体積が減って、水はコップからあふれないのです。

 


海に浮かぶ氷山は小さく見えても、見えている部分の約10倍が水の中に沈んでいます。


最近、地球の温暖化が叫ばれていて、北極の氷が解けると海面が上昇するといわれたりしますが、先ほどのコップの実験で見たように、浮いている氷が解けても海面は上昇しません。
ただし、南極大陸の氷や、ヒマラヤ山脈の氷、氷河の氷などが温暖化のために溶けて海に流れると海面は上昇します。

 

次は、試験管の中で雪を降らせる実験をします。
まず、ミョウバンを水に溶かします。
アルミ鍋に水とミョウバンを入れて、グラグラ沸かしてミョウバンを溶かします。
ミョウバンが解けたら試験管に入れて、水でさまします。

 

そして、つま楊枝で液面付近をくるくるとかき混ぜると、その付近が白くなって、やがて雪のように白いものが降ってきます。




ミョウバンは温度が下がると固まるのですが、ただ温度が下がっただけでは固まり始めませんでした。
雪のようにミョウバンの結晶が降ってくるためには、つま楊枝でかき混ぜるという刺激が必要なのでした。
本当は溶けていられないのに溶けている状態を「過飽和」といいます。
この状態の時に刺激が与えられると一気に固まり始めます。
先月の実験でジュースを冷やしてへらでなべの底をこするとそこから凍り始めたのと同じことが起こっているのですね。

 

同じように過飽和の状態のものに刺激を与えて、おもしろい実験をしましょう。
それはコーラの爆発です。
コーラのビンをあけて3分の2くらいを残し食塩をスプーン一杯ほど入れます。
するとコーラが噴火したようにあふれだします。

 




コーラには圧力をかけて大量の炭酸ガスが溶け込んでいます。
これも過飽和の状態になっていて、食塩という刺激で炭酸ガスが一気にあふれだしました。

 

今度は気化熱の実験です。
気化熱で体が冷えることを体験しました。
みんなに腕まくりをしてもらって、消毒用アルコールを脱脂綿に浸み込ませてみんなの腕を拭いて回りました。

 






濡れたところがひんやりしますね。
息を吹きかけるとさらにひんやりします。
これは気化熱で体の温度が奪われたからです。

 

ではどれくらい温度が下がるか、温度計で測ってみましょう。
温度計にティッシュペーパを1枚かけて、温度を測ります。
23度でした。
このティッシュぺーに先ほどの消毒用アルコールを吹きかけて、温度計を観察すると、なんと16度まで温度が下がりました。

 




アルコールが蒸発するときに気化熱を奪うので、こんなにも温度が下がるのですね。
お風呂上りに扇風機の風に当たると涼しくなるのも同じです。

 

もっと強力に気化熱の力を目で見てみましょう。
フェルトをクリスマスツリーの形に切って、フィルムケースを2センチほどに切ったものに入れます。
フィルムケースにある液体を入れてしばらくすると、フェルトのツリーに白いものが付き始めます。

この白いものに触ってみるととても冷たいです。

 



クロネコの人形の耳も白くなりました。




これは空気中の水分が凍りついたものです。
雪というよりは霜のようなものですね。
この液体はアクリル用の接着剤です。
この液体がフェルトに浸み込んでフェルトから空気中に蒸発するときに一気に気化熱を奪っていきます。
空気中の水分が凍るほど、つまり零度以下に温度を下げたのです。

 

このように気化熱を利用して温度を下げるものには、他にどのようなものがあるでしょう。
汗や打ち水なども温度を下げますし、冷蔵庫やクーラーも気化熱を利用して温度を下げています。

 

昔は水筒として使われていた、ひょうたんで作った水筒は、中の水やお茶がひょうたんの表面から少しずつ空気中に蒸発します。
すると、気化熱が奪われて、中の水やお茶はとてもひんやりとしていたようです。
素焼きの甕(かめ)に入れられていた水なども、この気化熱の働きで中の水はよく冷やされていたようです。

 

最後は、おもしろい氷をみんなに見てもらいました。
あらかじめ作っておいた氷です。
氷のまん中に赤い球の入ったものがあります。
これは、食紅を溶かした水をゆっくりと凍らせたものです。
食紅を溶かした赤い水を入れた容器を新聞紙やプチプチのエアークッションなどで巻いて冷凍庫に入れて、時間をかけて凍らせました。

 




ゆっくり凍るとまず水の部分だけが凍っていき、最後に食紅の部分がまん中に残ります。
普通に水をゆっくり凍らせると、外側が透明で中に空気の泡が集まった氷になります。


また、コップ一杯の水を凍らせると、体積が増えた分、コップから飛び出した氷を作ることができます。