泡茶クラスのお茶会を振り返って② | 中国茶のある暮らし茶杯の底から空を見上げる

中国茶のある暮らし茶杯の底から空を見上げる

美味しいが1番!をモットーに、京王線上北沢で中国茶教室を主宰しています。雲華ungeと申します。お茶のこと、大好きな天津市のこと、家のこと、少しベトナムのことなど書いています。



以下は中国茶サロン茶縁 泡茶クラスの第1期生お披露目お茶会の朝に皆さんにお配りした当日のスケジュールの裏に載せた内容です。前の記事のつづきです。

長いです…



泡茶クラスのお披露目お茶会によせて

中国茶サロン泡茶クラスの皆さま、いよいよお披露目お茶会ですね(変な名前なので、来年は工夫します)。いつもご多忙な中、毎月1回のお教室にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。 更に泡茶クラスではお茶淹れの練習も必要であったり、また今回のお茶会のためには茶葉や茶器を決める、淹れ方に悩むなどされたこと思います。でも今日はうんと楽しみましょう。

この泡茶クラスの誕生は、生徒さんが「淹れ方が上達しない。」と話してくださったことがそもそもの始まりです。よく聞いてみると、お茶はたくさん飲んでいる。でもマグカップで。それもひとつの愉しみとし て良いのですが、それでは本来の味と香りを知ることはできませんし、何年経っても急須や蓋碗で思い通りの味や香りを抽出できるようにはなりません。また、「茶葉は目分量で入れているけれど、ピンと来ない」というお話も聞きました。お教室でお話している目安となる茶葉とお湯の量の割合を参考に分量を調 節しないと、場合によってはピンと来ないままひと袋飲み終わってしまうかもしれません。 通っていただいている年数に関係なく、きちんと淹れる回数が多い方ほど中国茶の面白さに触れているように思います。皆さんご家族やご友人に中国茶を淹れる機会が増えたと言っていただくのがほんとうに嬉しいです。お茶は飲み物ですが、淹れる愉しみもまた底なしです。適切な淹れ方、とは言うものの、大体 の茶葉量とお湯の温度を準備したら、そこから先は厳密には正解はないのです。基本の動きとその理由を 覚えてしまったら、アレンジは自在です。回数多く実践するのが一番ですが、練習が必要→慣れていない ので何か必要に迫られなければ億劫でなかなか難しい→そのためには目標→お茶会だ!!となりまして、 この泡茶クラスが誕生したのです。 茶葉の知識より飲んだ茶葉の種類の多さより、中国語でいうところの「用心」丁寧にお茶を淹れる積み重 ねで見えてくるものって沢山あるんだなあ、もっと多くの生徒さんと共有したいなあ、というのがお教室 5 年目の昨年に湧いた想いでした。今回お茶会に向けて練習なさって、これまでとは違う感覚や難しさと 出会われたのではないでしょうか。そのようにして淹れた 1 杯に対して貰える「美味しい!」のひと言は とても嬉しいですね。

お話ししていると思いますが、私は個人的には茶葉が何より大事で茶器やパフォーマンスが大袈裟になるのは好みません。日本の中国茶の世界では、茶席や茶藝という言葉の使われ方が大陸で学んだものとは違い、設いという言い方にさえ違和感がありました。茶藝のパフォーマンスはお茶会でするものではいのに!と。でもやってきた台湾工夫茶、潮州工夫茶などは全て茶藝です。泡茶クラスはずっとモヤモヤとあった茶会や茶藝の関係についてちゃんと考えるきっかけとなりました。

思い出したのが、2012年に取得した中華茶藝協会の中華茶藝技師での実技試験で苦しめられた「三段十八 歩」。過去、現在、未来の 3 つを 18 の動作で表現している、范増平先生が 1970 年代に中華文化復興運動のなかで提唱された茶藝の作法です。台湾茶藝創世記に誕生しました。茶藝という言葉もその時に作られました。やがて茶藝は中国大陸にも紹介され、瞬く間に全国に広まり、その後茶葉産地での伝統的なお茶の 淹れ方を基礎に独自の茶藝の作法が確立され現在に至っています。観光地で目にするのはこのような茶藝 のパフォーマンスですので、中国茶=淹れ方が複雑、と思われてしまいますが、本来古くから行われてきた喫茶には必要のないものでした。私は昔の中国でどのような人がどのような服をまとい空気を吸って、どのような物をどうのような器で食し何を思ったのか、その時のお茶はどんなだったのかに興味がありま す。70 年代に必要から生まれた茶藝ですが、作法重視になることは本来の喫茶から離れていってしまっ て、それは私の目指すところではありません。生徒さんにお伝えしたいことでもありません。

今回 7 年ぶりに三段十八歩の記憶を引っ張り出してきました。当時は筆記試験の準備に必死で実技試験は 痛い思い出しかありませんが頑張って復習しました。ぜひ茶藝の作法をご覧ください。 文革で無くしてしまった喫茶の文化を、このような作法を生み出して中華文化の総合芸術として復興してきたからこそ、いまの茶葉生産量があるのですし、私たちもこうして中国茶を楽しめているのです。この作 法はお茶会で行うものではなく、口上の中に芸術的な表現を散りばめてお茶を素敵にプレゼンテーション しているのです。茶藝の心を知り、知ったうえで自然に振舞う。これがお教室で目指したいゴールです。

本日お客様としてご参加くださいました皆さま、誠にありがとうございます。
どうぞゆるりと中国茶の香りをお楽しみください。


中国茶サロン茶縁 安田薫子 



というものでした。
読んくださって、ありがとうございます。

泡茶クラスは6月から2期生の生徒さんも一緒に第2シーズンが始まります。
とてもとても楽しみです。