今回は、プーランクのフルートソナタを紹介します。
彼は晩年、フルート、オーボエ、クラリネットそれぞれの管楽器のために三つのソナタを書きました。この曲は、そのひとつです。
三つのソナタの中で、私はこのフルートソナタがもっとも好きなので、紹介します。
プーランクの曲の中には、メロディーらしきものがなく、断片が組み合わさった意味がわからない曲もあるのですが(こういった曲のほうが多い気がします)、この曲は、プーランク節ともいうべき本当にすばらしい旋律が泉のようにあふれかつまとまった名曲です。

第一楽章は、憂いを含んだメロディーでおもむろに始まります。ちらほらと出てくる七連符で駆け上がったあとに下る部分がとても印象的です。その後、ピアノの重々しい和音のあと、力強い旋律が出てきますが、長くは続きません。そして、冒頭の部分が回帰し、その後静かに楽章が終わります。


第二楽章は、カンティレーナ(歌謡的な旋律を持った器楽曲のこと)と題されています。
彼がもっとも得意としたのは歌曲でした。おそらくその経験が生かされた楽章でしょう。
悲しげなメロディーが切々と歌われます。


第三楽章は、それまでの暗さを振り払うような明るさを持った楽章です。
中間部分で、第一楽章がちらりと回想されてから、冒頭のメロディーが現れ、最後は潔く全曲を結びます。
サン・サーンスのバスーンソナタを紹介します。
この曲は彼の晩年の作品で、その頃彼はレパートリーに恵まれていない楽器をフィーチャーしたソナタを複数作曲することを計画していました。(完成したのは、オーボエ、クラリネット、バスーンそれぞれのためのソナタで、計画ではコーラングレ、フルートが続く予定でした)
残念ながらこの計画は、彼の死によって完結しませんでしたが、遺された3曲は、主要なレパートリーとして愛されています。
今回のバスーンソナタは、この3曲に共通することですが、極めて簡潔で美しく、魅力的な作品です。それは饒舌な人の言葉よりも寡黙な人の言葉の方が強く響くことがある、ということに似ていると勝手に思っています。また、これは、推測ですが、のちの同じフランスの作曲家プーランクの晩年のソナタは、この作品群に影響を受けたのではないかと思います。
また後日、サン・サーンスのほかのソナタやプーランクのソナタについて書きたいと考えています。

第一楽章は、さらさらと流れる水を思わせるピアノのアルペジオの上に、バスーンのメロディーが流れていきます。


第二楽章は、スケルツォで幾分荒々しいですが、抑制が効いたまとまりあるものになっています。


第三楽章は、ゆったりとした美しい部分と、元気に曲を締めくくるコーダが組み合わさった楽章です。
なお、このコーダの部分は、第四楽章とみなされることもあります。
ショスタコーヴィチの「ジャズ組曲第一、第二組曲」を紹介します。聴いてすぐに分かりますが、明らかにジャズではありません。軽い小曲がいくつか組み合わさった曲です。が、そのショスタコーヴィチ独特のしつこい節回しは、癖になります。特におすすめなのが、ワルツ第二番です。

一番


二番


ワルツ第二番