『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』ネタバレの感想 死の陰と暗い演出だが幸福感がほっとする | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 5/5 ☆☆☆☆☆

第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)、第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002年)に続く第3作が本作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004年)である。原作は各巻が1年ごとの話であり、映画は第1作の1年後に第2作が公開されたので、俳優も1歳年を取ってちょうど合っていた。本作は第2作から2年後に公開されたので、登場人物が急に成長して少しギャップを感じた。なお、ダンブルドア校長役のリチャード・ハリスが死去したため、マイケル・ガンボンが演じているが、長い髭とメイクのためか、別の俳優には思えなかった。

前2作では暴れ柳やハグリッドの小屋は校舎の近くだったが、本作では校舎から離れている。暴れ柳の根元に秘密の通路があり、小屋の前でバックビークの処刑が行われるので、本作が正しいのだろう。

監督は第1・2作のクリス・コロンバスが降板し、アルフォンソ・キュアロンに変わり、大人っぽい演出になったが、原作が前2作に比べて暗い内容なので、映画も暗い雰囲気である。殺人犯シリウスがアズカバンから脱獄し、ハリーを狙っていると言われ、ハリーには死の陰が付きまとう。しかも、シリウスは友人である父親を裏切ったと、ハリーは怒る。シリウスを探すアズカバンの看守のディメンターが不気味であり、ヴォルデモートの能力の一部が移っているためかハリーも襲うのが怖い。

実は、父親を裏切ったのはシリウスでなくペティグリューで、鼠に変身してロンのペットになっていた。それを知ったシリウスはハリーが危ないと思い、アズカバンを脱獄したのだった。無実のシリウスを助けるために、逆転時計を使うとは面白い。ハグリッドの小屋に3人がいた時に窓から小石が投げ込まれ、3人がカボチャに隠れている時に物音がして、ハーマイオニーが振り向くと誰かを目撃する。それは未来から来た自分達の仕業だったと後に分かる。ハリーを助けたのも、何と自分だった。ファンタジー映画にSFのタイムトラベルの要素を取り入れて、なかなか面白かった。

他にも「忍びの地図」と言う魔法道具が登場するのも楽しい。

原作は長いのでカットしている部分があるのは仕方ない。ただ、ペティグリューがスキャパーズに変身しているとシリウスが知ったのは、ウィズリー家がエジプト旅行に行った新聞記事を見たから。ルーピン先生とスネイプ先生が「叫びの屋敷」に来たのは「忍びの地図」を見たから。と言う描写がないので、唐突に感じた。1・2作より上映時間が10~20分短いので、時間を取って描写してほしかった。

ハリーはルーピン先生に、親友だった父親ジェームズと母親リリーの話を聞き、幸せな気分になる。また、名付け親のシリウスに一緒に生活しないか誘われ、2人で田舎暮しを夢見る。ハリーにとって、幸せな一時期でもあった。しかし、ルーピンは学校から去り、シリウスも殺人罪の濡れ布を晴らせぬまま再び逃亡する。ハリーに真の幸せが訪れるのは、まだまだ先である。評価は「5」である。

原題は『HARRY POTTER AND THE POISONER OF AZKABAN』、邦題はその直訳である。