プルトニウムの管理 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

 原子力は、原発で電力を生み出すが、核兵器にもなる。日本は唯一の被爆国として平和利用に徹する方針なので、日米原子力協定(1988年)でウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理が認められた。この協定が自動延長されたが、今後は日米いずれかの通告で半年後に終了することが可能になった。

 使用済み核燃料の再処理で生まれるプルトニウム(自然界には存在しない)は、①高速増殖炉で使う(核燃料サイクル)、②MOX燃料にして軽水炉で燃やす(プルサーマル)が、①は「もんじゅ」の廃炉で停止になった。②もあまり進まず、日本には原爆6000発分のプルトニウムが貯まってしまっている。

 この余剰プルトニウムをどうするかが、日米原子力協定自動延長後の最大課題になる。核兵器に転用できるだけに、核拡散の観点から世界が日本に疑念を持っている。非核国で日本だけが例外的に認められた権利を剥奪されれば、日本の原子力技術は低下しかねない。原発の廃炉のためにも高度の原子力技術を維持することが必要である。

 原子力委員会は、7月31日に、日本のプルトニウム保有量の上限を47トンとすることに決定した。日本は、国内に11トン、再処理委託先の英仏に36トンのプルトニウムを保有している。

「もんじゅ」廃炉決定後、プルトニウムはMOX燃料にしてプルサーマル発電に使うしかない。

 3年後には、青森県の六ヶ所村に再処理工場が稼働するが、それによって年間8トンのプルトニウムができる。具体的にどうするのか。今後、この問題は、国際的にも大きな注目を集めることになる。長崎型の原爆の材料となるからである。

 原子力、核兵器の問題ほど、戦後の国際秩序を雄弁に物語るものはない。戦争に勝った連合国(英米仏露中)のみが核兵器を保有でき、敗戦国(日独伊)には認めらない。国連は戦勝国クラブとして始まった。NPT体制は、他国への核拡散は認めてないが、NPTに加盟しないインド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルは核兵器を保有している。

 プルトニウムは、国際政治の現状を反映しており、日本の外交力が問われている。