20世紀文明論(2):生活革命②「異常な世紀」・・・❷ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 物書きとしての自分の仕事を振り返ってみると、私が30歳の頃までは、原稿は手書きで原稿用紙の升目を埋めて仕上げていた。それは、人類が文字を書き始めて以来、全く変わらない方法である。今でもこの方法は可能であるし、筆に墨をつけて和紙に文字を綴るという古代以来の優雅な伝統に戻ることもできる。

 今は、パソコンのワープロソフトを使って、文章を書き、出版社にメール送信する。30年前は、原稿を入れた封筒を郵便ポストに投函していた。20年前は、郵便ではなくファクシミリで送っていたが、その後は、電子メールにとって代わられた。

 今でも、先方が電子メールを受信する装置を持っていない場合は、ファクスや郵便を使うが、仕事に関して言えば、そのようなケースは極めて稀である。

 本を書く立場からは、紙媒体でなく電子書籍が次第に増えていることも最近の大きな変化である。それに伴い、出版業界の経営も抜本的に見直さなければならない時代になっている。

 このように、幾つかの例をあげただけでも、20世紀は、それ以前の人類が経験したことのないような大きな生活革命を経験したことが分かる。

 20世紀がどういう世紀であったのかを考える上で、面白い資料がある。『報知新聞』が1901(明治34)年1月2、3日に掲載した「20世紀の予言」という記事である。23項目の予言の多くが当たっているのには驚く。予言の前提になったのは、明治維新以来の科学技術の発展であり、欧米におけるその発展を見れば、未来の傾向が予測できたものと思われる。

 的中した予言の幾つかを取り上げてみよう。

①無線電信及電話「マルコーニ氏発明の無線電信は一層進歩して只だ電信のみならず無線電話は世界諸国に聯絡して東京に在るものが倫敦(ロンドン)紐育(ニューヨーク)にある友人と自由に対話することを得べし」・・・この予言は実現し、現在では携帯電話で世界中と自由に対話できるようになっている。電話の発展は20世紀を特色づけるし、電話網というネットワークがパソコン通信などにも活用されている。

②遠距離の写真「数十年の後欧州の天に戦雲暗澹たることあらん時東京の新聞記者は編輯局にゐながら電気力によりて其状況を早取写真となすことを得べく而して其写真は天然色を現象すべし」・・・今では、海外から電送された写真を新聞紙面で見ている。さらには、衛星を使って海外からの生中継の映像も視ることができる。