※ネタバレふくみます。
妻を殺された男の復讐劇。その計画が、なんともアメリカ的だなぁ。
あの執念と行動力をもった男がいたとしても、
勤勉な日本人は工事の段階で発見して成功しなさそう。
確実に仕留めてくれ…!って手に汗にぎった。自分もシャベルを握ってるかのように。
『ミザリー』もそうだったけど、
うまくいくの!? 見つかってしまうの!? どうなるの!? っていう極限で振り回す感じ、
スティーヴンってほんとうまいよねっ(ほっぺたを膨らませて)。
日常生活において突然悲惨な事態に陥るかもしれない、
っていう恐怖心を植え付けるのもうまい。
恐怖のどん底に突き落として、ドサクサにウォーターサーバー売ったり、
保険に入らせたり、プロポーズしたりしたら、さくさく成功すると思う。
『ポプシー』も爽快だったな。あっ、キング作品の中ではって意味ね!
キング作品に、“爽やかで快い”とかないから。
スラムダンクが9000爽快だとしたら、ポプシーは0.6爽快ってかんじ。
「生きてる人間がいちばん怖い」と思わせるなかで、『ナイト・フライヤー』は違ったな。
「だが、忘れるな、その前にきさまの頭とけつの穴をすげ替えてやるからな」とか、
アメリカ版の「奥歯ガタガタ言わせたろか」的表現が多くておもしろかった。
おもしろがるところがおかしいけども、すごい!アメリカ人ぽい!(アホの子の感想)
ぜんぶフィクションであってほしい、
自分とは一生かかわり合いのない世界であってほしい、
そう願わずにいられないですね、いつも。
それでも読んでしまうのは、やっぱりひとつひとつが物語としておもしろいから。
ただビビらせるだけじゃなく、起承転結の構成がしっかりしてるから。
いろいろな恐怖が味わえる短編集でした。デザート盛り合わせ、みたいな。
ウォーターサーバーは断れるけど、輪ゴムくらいなら買っちゃいそう、っていう程度です。