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産む、産まない、産めない


※ネタバレふくみます。

美容院にておしゃれママファッション誌『VERY』を渡されまして、
靴とバッグを変えるだけで手っ取り早く『ママ可愛い』ね、フムフム
…って価格を見てみたら、バッグだけで4万円して
まったく手っ取り早くねぇわこんちくしょうってなったんですけども、
その雑誌に甘糟りり子さんのインタビュー記事が載ってまして。
(こんちくしょうの部分は庶民の叫びにつき、本文と一切関係ありません)

最新刊の『産まなくても、産めなくても』についてお話しされてたなかで
この『産む、産めない、産めない』にも触れられていた。
あらこれちょうど図書館で借りてるやつだわ、と
帰ってすぐ小説を開いてみました。切りすぎた前髪を気にしながら。

望んだとおりに妊娠、順調に健常な子供を出産して、夫や親族に喜ばれたこと、
もちろんとても幸運なことだと噛み締めながら過ごしてきたけども、
改めて、神様とかなんか得たいの知れないものに感謝した。

私生児、連れ子、男の育児、不妊…。
様々な立場から妊娠や育児に苦悩する人々の短編集。

第五話の小題『温かい水』は、あぁ、破水のことかな、と察して
赤ちゃんが危険な事態に陥るのだろうかと危惧しながら読んだら
予想を超えるつらい話だった。

ボロボロボロボロ涙がこぼれて、
思わず、すぐそばで昼寝をしている娘のもとに駆け寄り
横にくっついてしばらく娘の息を吸い込んでいた。

よだれは出てるし、ちょっと白眼むいてるし、
口唇には青のりついているし、きったねー寝顔だけど
可愛くて愛しくて生きているだけで幸せをくれるたいせつな存在。
わかるからこそ、佐和子の慟哭が胸をぎゅうぎゅう苦しめる。

他の章では、男の無関心、無配慮、無理解にいらつくばかり。

出産するにも堕胎するにも、書類に父親の名前を書く欄があり、
責められているような気になる、と
付き合ってもいない男の子供をみごもった女は言った。

男も女も妊娠出産は「女の問題」と思っている人が多いけれど
どちらにも半々、同じ量の責任があるってことじゃないの?
出産も育児も女の仕事だって押しつける男性も、
相手に告げずに出産しようとする女性も、身勝手だと思えてしまう。

妊娠中、会社の男性上司たちは私を気遣ってくれたし、
(まぁ平気でタバコを吸うひとも1人2人いたけれど)
電車で席を譲ってくれたのも男性が多かった。

妊婦や子持ちに厳しい意見が目立つ昨今だけど、
親切にしてくれる派が大多数だと私は信じているよ。

第三話『次男坊の育児日記』のように
男性も育児休暇をとれる社会になっていくといいな。

少子化だと言うわりに、まだまだ問題に向き合ってない気がする。
移民だなんだ考えるまえに、もっと話し合わなきゃいけないこと、
日本全体で変わるべきことがあると思うんだよ。

この本についてなら原稿用紙200枚分くらい書けそうだけど
ここらへんで失礼して頭を冷やします。ではまた。