NANA/矢沢 あい | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


NANA (1)


先日、実家に借金取りがきて、母から「大事な物を詰めなさい」と告げられた。
どうやら家が差し押さえられるらしく、私は慌てて自室に向かった。

するとベッドの上に、『NANA』の既刊すべてと、
『天使なんかじゃない』と『ご近所物語』の愛蔵版が放り出されており、
若い兄ちゃんが「○○さん(おそらく兄貴分)がこれは持ってけって」と言う。

私は、そうだこれを探してた、これを持って行きたかったんだ、とカバンに詰め込んだ。
…っていう夢を見ました。

まさかの夢オチー!でも本当に、夢に見るくらい大好きなのです。

矢沢あいさんは、女の子に夢を見させるのがうまい。
こんな恋愛がしたい、こんな学生生活を送りたい、こんなふうに夢を叶えたい、
そんなキラキラした若者を、カッコイイ絵と構成で描くから、少女が虜になるのも当然。

しかも、「その年になったら自分もそうなれるに違いない」と思えるような、
現実味と憧れがうまく調和された登場人物とストーリーだから。

美人でかっこよく生まれたら、ナナみたいになりたいし、
平凡な私でも、奈々みたいに憧れの芸能人と付き合えるかもしれないし、
学校の人気者グループに入って、翠ちゃんみたいに最高の仲間を作りたいし、
自分にはすごい才能があって、実果子みたいに成功したいし。

ちょっと古いところでいえば、マリブルの遥みたいに爽やか少年たちからモテたい。
パラキスのゆかりも美人だけど、ジョージはちょっと現実離れしすぎてるわ。

カッコイイ彼氏、わかりあえる友達、オシャレな服やインテリア。
登場人物と同じ年になって初めて、自動的にそうなれるわけじゃないことを知るんだけど。
『天ない』の頃はまだ小学生だったから、高校生ってみんなリア充なんだと勘違いしてたわ。

将志さんの「あいつを抱きしめたがってしょうがない」は珠玉のセリフ、ナンバーワン。
マキちゃんの子供の名前がわかるシーンは鳥肌たったなぁ。偶然らしいけど神がかってる。

自分の年齢といちばん近い時期に連載されていたのが『NANA』で、
二人が出会う前の第一話、第二話が収録された『Cookie』は何度読み返したことか。
まだ実家のクローゼットに大事にしまってあるはず。借金取りが来てなければ。
プレミアとかついてないかな…ヤフオクとか…(大事さ一瞬で捨ててるー!)

そういえば『ご近所物語』のイラスト集も超大事にとってある。あれは売れない。

何度読み返しても、いくつになっても胸が騒ぐ、そんな宝物たちです。
矢沢あいさんの復帰を、心から祈っています。