年間ベストアルバム2019年(邦楽洋楽混合) | とかげ日記

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本来ならば、12月になってから発表したかった2019年のベストアルバム。

だが、年末までの残り期間で気になるリリースはジェニーハイと忘れらんねえよのアルバムくらい。
ただ、僕の好みを考えると、両アルバムがベスト20位以内に入るのは難しい。

【よーよーのジェニーハイ評】
1.メンバーそれぞれのキャラが立っていて、それが音楽にも活かされている。
2.だが、川谷絵音の書く曲の特にサビがどの曲も似たり寄ったり。曲の作り方もどの曲も似ている。量産の弊害?
3.ただ、「ジェニーハイのテーマ」は5人のそれぞれの生き様が各々によってラップされていて面白い。新垣隆がラップするとは思わなかったよ…。川谷絵音が「ギターをかき鳴らして 雑音を消して」とラップするのは切実に聴こえた。バックトラックも洗練されている。



【よーよーの忘れらんねえよ評】
1.ネタなのか真剣なのか分からず、表現の目的を探れないところが怖い。
2.モテないソングにそこまで熱くなれないし、感情移入できない。
3.でも、良い曲が多い。特に、「この高鳴りをなんと呼ぶ」は名曲。



どうせこのままマイベストアルバムの布陣が変わらないのなら、発表しちゃおうということで発表します。

とかげ日記の選ぶベストアルバム2019!

まずは20位から11位までを一気出し!
各順位のリンクをクリックすると、『とかげ日記』内のレビューに飛べます。

【20位】ベル・アンド・セバスチャン『Days of The Bagnold Summer』
【19位】荒川ケンタウロス『情熱の船』
【18位】Beirut『Gallipoli』
【17位】あいみょん『瞬間的シックスセンス』 
【16位】文藝天国『プールサイドに花束を。』
【15位】THE YELLOW MONKEY『9999』
【14位】Interpol『A Fine Mess』
【13位】羊文学『きらめき』
【12位】スピッツ『見っけ』
【11位】小沢健二『So kakkoii 宇宙』


では、ここから10位から1位までをカウントダウン!

【10位】鈴木実貴子ズ『現実みてうたえよばか』



日常から音楽の理想までを鋭利な本音の言葉でザクザクとぶっきらぼうに歌う。クリシェ(常套句)に陥らない本物の「言葉」のアーティストを聴きたいと思っている方や、音楽一本で愚直に勝負するアーティストの生き様を観たい方におすすめします。

「春の外は薄ピンク/ファミマの前で待ち合わせ/桜よりも儚いババアの笑顔で辛くなる」(「アンダーグラウンドでまってる」)の歌詞とかさ、根っからの詩人じゃないと紡げないと思う。

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【9位】ビリー・アイリッシュ『WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』



今年、音がもっとも斬新だと思った作品。サブベースによる低音とASMR(Autonomous Sensory Meridian Response 人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地良い、脳がゾワゾワするといった反応・感覚《wikiより》)に通じるウィスパーボイスが一筋縄ではいかないポップミュージックに"実感"の彩りを与える。

インターネットにハマり込むことによって、ネット民が失ってしまったのは五感による生きているという実感だと思っている。ビリー・アイリッシュのこの音楽は邪悪に挑発しながら、ネットのフェイクに汚された僕の五感に生々しい実感を与えてくれた。

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【8位】Official髭男dism『Traveler』



ハイトーンが綺麗に出るボーカルを活かして、音程の跳躍の気持ちよさによって即効性を稼ぐ。本作はアレンジの完成度も高く、曲の良さも相まって国民的バンドとしての人気と実力を共に誇る。

「イエスタデイ」の「遥か先で 君へ 狙いを定めた恐怖を どれだけ僕ははらい切れるんだろう?/半信半疑で 世間体 気にしてばっかのイエスタデイ/ポケットの中で怯えたこの手はまだ忘れられないまま」という歌詞はボーカルの藤原さんの結婚のことを指していたのかと腑に落ちる。そう思って聴くと、泣けてくる。男性同性愛者の女性への気持ちとも取れる「Pretender」もそうだが、解釈によって聴き方がガラッと変わる面白さがある。

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【7位】相対性理論『調べる相対性理論』



相対性理論のライブ盤。相対性理論ほど凝ったライブをするバンドは少ないだろう。本作は音源だけでもそれが分かる。

音作りにもこだわっているし、曲を再構成する際に冒頭に持ってくる追加部分もとんでもなくクリエィティブだ。そして何より、演奏から広がっていく光景がある。演奏を聴きながら想像上の光景を変化させたり広げたりするだけで、演奏もしていないのにクリエイティブな気分を味わうことができる。

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【6位】Weezer 『Weezer (The Black Album)』

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Weezerには泣けるパワーポップを演奏してほしいファンも多いだろうけど、僕は音楽性豊かな本作のポップ感が好き。メロディもアレンジも好みすぎる。

ずっとパワーポップじゃ成長が感じられないじゃんね…。泣き虫パワーポップを演奏していた青年は、酸いも甘いも噛み分けた、ワビサビを感じるようなロックを演奏する大人になりましたとさ。

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【5位】神聖かまってちゃん『児童カルテ』



うみのてと並んで一、二を争って好きなバンドだから、もっと上位に入っていてもおかしくないアルバムだった。

ただ、『つまんね』『幼さを入院させて』と同じくホーリーな雰囲気のアルバムなのだが、ホーリー系のアルバムはかまってちゃんの音楽的な凄みが出る分、歌ものとしてのポップネスには欠けると思う。

僕がかまってちゃんで最も好きなアルバムは『友達を殺してまで。』を除くと『ツン×デレ』か『英雄syndrome』だ。どちらも神聖かまってちゃんのアバンギャルドな側面は残しつつ、とてもポップなアルバムだと思う。

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【4位】 MOROHA『MOROHA Ⅳ』



常に最新作が最高傑作のMOROHA。それは彼らのリスナーとして、彼らが成長しよう、上に上がろうと泥臭くもがく様を近くで見ているからかもしれない。

「米」では、金が欲しいという卑しくも切実な欲望をどこまでも泥臭くラップすることで綺麗事にしてしまっている。綺麗事とは、普通は悪く使われる言葉だが、この場合は、美しい理想という意味で使っている。そんなことができるのは彼らだけだ。

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【3位】 サカナクション『834.194』



歌詞の抽象度を上げることにより、ミステリアスな雰囲気を曲に付加することに成功している。洗練されたデザインのサウンドも練りに練られていて素晴らしく、二枚組全18曲という大ボリュームでも、途中で聴き飽きることがない。

プロフェッショナルでありつつ、記名性や作家性も残していて、その点が僕には名盤に思える。サカナクションと一聴して分かるタイトかつグルーヴィーなサウンドは、バンドのメンバーそれぞれが実力者だからだ。

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【2位】 SEKAI NO OWARI『Eye』



"ポップ"サイドの『Lip』と対をなす"狂気"サイドの『Eye』。シングル曲が突き抜けているし、アルバム曲の「夜桜」もアコギの深い響きが悲しみの彼方にあるセンチメンタリズムを引き寄せる名曲。

リーダビリティ(読解のしやすさ)を重視するポップ精神と海外にリンクする実験精神の交錯がもたらした名盤だ。セカオワは分かりやすく、深いことを歌っている。それって、実験要素のあるポップ作品で一番大事なことじゃないか。

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【1位】 YAOAY(a.k.a.笹口騒音)『名曲の描き方』



発売されてから長い間経っても、結局一番聴いていたのはこの作品でした。うみのてなど4バンドを率いる笹口騒音のYAOAY名義での2ndアルバム。

バンドサウンドでない分、一曲に含まれるカロリーが控えめで、スルッと聴けるのがいい。同じ弾き語りでも溢れる熱量が邪魔してカロリーが高めのものあるけれども、本作は弾き語りに近い形でカロリー控えめに曲想の情景を描き切っている。本作は10曲という短さも良い。まさにネタ曲なしですべての曲がギリギリを攻めている珠玉の10曲だ。

音楽あるいは表現として新しいことをやろうとする進取の精神と、歌として聴いて一本筋が通ったポップな歌心。この二つが僕がベストアルバムを選ぶ時の基準だ。笹口さんの本作は二つとも満たしている。

来年は笹口さんの4バンドの全バンドがアルバムを発表予定である笹口イヤー! 僕に音楽の面白さや深みを教えてくれるのは、いつだって笹口さんなのでした。

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★とかげ日記が選ぶ2019年のベストアルバム(年間・邦楽洋楽混合)★

【1位】 YAOAY(a.k.a.笹口騒音)『名曲の描き方』
【2位】 SEKAI NO OWARI『Eye』
【3位】 サカナクション『834.194』
【4位】 MOROHA『MOROHA Ⅳ』
【5位】神聖かまってちゃん『児童カルテ』
【6位】Weezer 『Weezer (The Black Album)』
【7位】相対性理論『調べる相対性理論』
【8位】Official髭男dism『Traveler』
【9位】ビリー・アイリッシュ『WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』
【10位】鈴木実貴子ズ『現実みてうたえよばか』

【11位】小沢健二『So kakkoii 宇宙』
【12位】スピッツ『見っけ』
【13位】羊文学『きらめき』
【14位】Interpol『A Fine Mess』
【15位】THE YELLOW MONKEY『9999』
【16位】文藝天国『プールサイドに花束を。』
【17位】あいみょん『瞬間的シックスセンス』
【18位】Beirut『Gallipoli』
【19位】荒川ケンタウロス『情熱の船』
【20位】ベル・アンド・セバスチャン『Days of The Bagnold Summer』

2018年のベストアルバムはこちらから)

2019年のベストソング記事もあるよー(^.^)
年間ベストソング2019年(邦楽洋楽混合)

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