最終戦を残して徳島に足りなかったもの。 | 我らが徳島ヴォルティスと共に

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今まで何度も采配を振るう者が代われば、チームは変わるとブログやTwitterに書いてきた。


徳島は守備を重視するサッカーだと言われていた。徳島のサッカーを見てきた人には、このニュアンスはわかってもらえると思うが、守備重視と言う言葉に違和感を感じる。守備は相手からのボールを弾き返すこともそうだが、それだけではない。徳島の戦術は、ボールを奪いに行かない守備だ。おそらく、奪いに行くことで相手に抜かれる事を警戒してのことだろう。


ただ、それは選手個々の能力とは関係なくそういった戦術を敷いての采配なのだと考える。奪う守備ではなく、見る守備。奪いに行かず、相手の動きを見る。シーズン通して、サイドバックの藤原やアレックスの守備はボールを奪いにいかず相手の攻撃を警戒しながら少しずつ下がるというものだった。それは選手個人の判断ではなくチームとしての戦術と言う事は明らかで、どの選手にも同じような守備のパターンが見られた。相手チームはそういう攻めてこない守備に恐れることなく、クロスボールを簡単に入れてくる。この戦術では、選手の攻める気持ちさえも自ら封じ込めてしまうのだ。




前半戦、負けが込む中でベレスが先発で使われる事は少なかった。ベレスは前に出てボールを奪いに行くタイプだ。これは想像でしか無いが、そういったベレスのプレースタイルが戦術にマッチしなかったのが理由では無いだろうか。だが、ベレスが先発で出るようになり、白星こそ遠のいたままだったが、負けも減り引き分けが増えた。統計で出ているように、ベレスのタックル数はリーグトップだ。それに加えて大﨑の献身的な守備が光ったのが大きい。大﨑のスライディングは相当上手い。後半戦になり、ジョンミンの活躍などもあって勝ち星を重ねたが、その勝利につながる大きな要因としてベレスと大﨑の守備を上げる。後半戦に入り個人の攻める守備が加わった形だ。ただ、最終ラインにおける守備は変わらない。安易に飛び込まない事は大事だが、奪いに行かないということは、自由に攻めさせるということだ。練習からそういった守備をしているのだから、戦術である事は間違いない。見ていて面白くないサッカー。つまりはここにその元凶があると推測する。


それに加えて得点の少なさも目に付く。J2リーグ、最終節を残して徳島の得点は35得点。これは下から3番目の少なさだ。自動昇格を狙う位置に居る大宮、磐田は共に70得点だ。徳島の奪ったゴールは、得点数、成功率共にMFの木村が5得点でトップ。並んでジョンミンが5得点。FWでは佐藤4点、長谷川3点、津田2点となる。大﨑のゴールがなかなか見れない中、彼に対する不満もサポーターからは聞かれたが、守備に対する貢献度とサイドでの起用を考えれば、FWの得点力不足こそが問題だと考えるべきだ。大﨑を応援する個人的意見から言えば、前半戦こそ不満は多かったが、後半戦の働きはゴールという結果を除いて攻めの姿勢を全面に出していたところから見ても、満足の行くものだった。ただ、大﨑が本当に活躍できるポジションはシャドーや下がり目のFWの位置であり、サイドで力を発揮する選手で無い事は強く言いたい。


一口に守備重視と言っても戦術は様々だ。天皇杯の広島戦、広島の守備は徳島より一歩早く見えた。だがそれはそうではなく、徳島の守備は奪いに行かない戦術がベースにあるからだ。サッカーをした事のある人はわかるだろう。来ないディフェンスなど怖くもなんともない。今の徳島、戦力的には十分戦える。来シーズン選手がどう入れ替わるのかわからないが、監督が代わり戦術が変わればチームは変貌するに違いない。全く違うスタイルでの戦術で采配を振るう攻撃的な監督に来て欲しい。今までとは違う、面白いサッカーを見せて欲しい。選手が、サポーターが面白いと感じるサッカーができれば、必ず結果は付いてくるはずだ。選手が、サポーターが熱くなる試合を早く見たい。


昨シーズンのオフに入る前、アレックスは言った。『サッカーは80%が気持ち。ピッチに出た時、スタンドの興奮が自分達を震え上がらせるんだよ。本当に。』彼のその言葉に全てが詰まっていると思う。試合前のモチベーションは当然の事だが、その裏には、やっていて自分達が面白いサッカー、攻めるという気持ち。全て気持ちがサッカーには大事だと言う事だ。


タイトルにも書いたが、徳島に足りなかったもの。それは

「守備に対する攻めの姿勢」

「選手を奮い立たせる姿勢」

その二つが足りなかったのではないかと思う。選手は監督の戦術に従うしか無い。その中で賢明に走り続けるのは選手の責任だ。その前提として、選手のモチベーションを高め、持てる力を発揮できるポジションと戦術を見出すのは監督の責任だ。

応援する立場として自分達は、お前ら勝てよ!と吠えるのでは無く、俺らが勝たせてやるよ!と胸を張り後押しする事が責任なのでは無いか。クラブとサポーター。立ち位置の違うものが同じ方向を向くのだから交差する事は無い。ただ、それが共に並んで進めば、その束は太くなり強靱になる。そいった事も徳島には足りていないと思う。徳島ヴォルティスの10年の歴史。まだ10年とも言えるが、10年も掛けて何も培ってきていないのかと落胆する光景も多々ある。10年という節目を超え、J1昇格から1年での降格。1年での昇格を果たせなかった今、クラブとサポーターがその責任をどう果たすかの本気度が試されている時だと思う。


残すは最終戦の四国ダービー愛媛戦。選手達を高揚させ戦う気持ちを燃え上がらせる応援と、そして共に勝利に酔いしれる結果を勝ち取りにアウェイの地に立ちたいと思う。

先月、仕事の繋がりで愛媛FCの木山監督と同席し、話す機会があった。その時、「今年の愛媛を調子づかせたのは徳島との開幕戦です。こちらとしては完全にやられると思っていた徳島との開幕戦に引き分ける事ができた。あの試合は大きかった。それで、今年はやれるかも知れないと選手が思ったのは確かです。」と聞いた。


「最終戦、徳島は負けませんよ。必ず勝ちます。うちは強いですよ。」そう言って宣戦布告しておいた。最終戦では愛媛を倒さなければいけない。これは至上命題だ!


共に戦い、勝利を掴み取ろう!結束した徳島はどこにも負けない。




追記:


徳島ヴォルティスというクラブは、企業クラブの域を脱してはいない。つまり、徳島ヴォルティス株式会社という会社は依然として大塚製薬の子会社であると言う事だ。決定権が全てクラブに譲渡されているわけではなく、監督の決定から更迭に至るまで、会社での決議で施行されるものではなく大塚が権限をもっている。どんなにクラブを批判しようが、改善できない部分があるのはそこにある。大塚が完全にクラブを切り離すか、逆に大塚のクラブとして扱うかをハッキリさせない限り、大きな改革は果たせないと言ってもいい。


この辺りを多くのサポーターは知っているのだろうか。岸田社長の置かれたポジションなど、端から見ているとクレーム処理部の部長クラスにしか見えない。クラブが独自で判断し、一人歩きできない限り一番辛いのはサポーターとクラブのスタッフなのかも知れない。繰り返すが、もう10年を超えた。我が街のクラブをビッグクラブにしたいと本当に願う。