ジョブスはこれと見込んだプロ中のプロを口説いて、自分の為に仕事をさせるのが得意だ。才能を集めて200%の出力をさせるという発想だ。

しかし時にはジョブスの誘いを拒否するものもいる。
そのひとつが、ゼロックス・パロアルト研究所の出身者たちが作ったアドビだ。

ジョブスは自分が創業したアップルを1985年に追放されている。
98年に暫定CEOとして復帰、2000年にiMacを成功させ、経営に瀕していたアップルを復活へと導いた。その歩みを確実にしようと、ソフトウェアの制作をアドビに依頼したのだった。

拒否された。

拒否されたら普通は他業者を探すところだが、ジョブスは発想を「自力」に転じた。

「昔からMacを支えてくれていただけに我々はショックを受けた。でもそれで腹が据わった。誰も助けてくれないなら自分たちでやるまでだ」

やがて自社製のiPhoto、iMovieなどが生まれ、アップルは新しいデジタル・ライフスタイルの中心企業へと変身していく。