当店のような天然石ビーズとワイヤーで作品を
作って販売しているショップ・作家の多くが、
ゴールドフィルド(K14GF)という素材を用いています。

今回は、そんなゴールドフィルドについて、他の多くの
作家が明かさない「実態」をお話いたします。

一般的によくある説明としては、ゴールドフィルドは
主に真鍮(黄銅・ブラス)などの合金でできた
金属を芯として、総重量の20分の1にあたる5%の
金をコーティングした素材です。鍍金とは区別され、
"金張り"とも呼ばれています。
ゴールドフィルドは、本物の金の輝きをそのままに
金と較べると安価で手軽に楽しむことが出来る
素材として定評があります。
とはいえ金の高騰によりゴールドフィルドも値上がり
していますが…

ゴールドフィルドに使われる金の大半がK14(14金)で
あることから、ゴールドフィルド=K14GFと思われがち
ですが、海外ではK12GFやK18GFもございます。
(コーティングに使われる金の種類によって異なります)

ゴールドフィルドは、金鍍金(ゴールドプレイテッド)と比べ
ますとコーティングの層が厚、熱圧力金をコーティング
しているため、耐久性の面においても優れており、金メッキ
のようにすぐにメッキが剥げてきてしまうような心配は殆ど
ありません。


…実は問題はここなんです ↑

多くの作家が、安心してゴールドフィルドを多用するのはここに
ありますが、実はゴールドフィルドも剥げます。

ゴールドフィルドは、金とは違って肌身離さず着けていると
次第に色がくすんできます。
具体的に申し上げますと、朝晩肌身離さず付けっぱなしにした
状態で1ヶ月過ごすと、明らかにチェーンがくすんできます。
圧着した金が落ちて真鍮の地色が出てきているようにも
見えますが、汗や皮脂による汚れで生じたくすみであれば
洗浄すればある程度綺麗になります。
この時、液体クリーナーを使うととても綺麗になる代わりに
圧着した金が落ちやすくなります。
次第に、くすみが生じるたびにクリーニングをしても綺麗に
ならない状態に陥ってきます。
こうなると、元のキラキラした金色の状態には戻りません。

指輪は摩擦が多いと劣化が早くなります。
あるお客様が、フリンジリングをご注文になりお届けしてから1週間
後に「壊れたので直して欲しい」と送ってこられました。
が、戻ってきたリングを見てびっくり仰天。ゴールドフィルド特有の
柔らかな金色の面影は全くなく、黒ずんですっかりコーティングが
剥がれてしまっていました。

ブレスレットは、これからの時期身につける機会も増えると思います
が、日焼け止めのクリームやローションに含まれる油分や薬効成分
がゴールドフィルドに付着すると劣化やくすみ・変色の原因となります。

これらに共通するのは、皮膚から出る汗や皮脂と結合して
チェーンが汚れたり、摩擦で金張り部分が少しずつ剥がれて
真鍮が少しずつ出てくることです。

ただし例外もあります。それは、ピアスです。
自分自身で実証しましたので、後ほど写真を掲載いたします。
(2009年6月から着けっぱなしになっているピアスです)
4年間つけっぱなしにしていてもワイヤーも金具も
全くといっていいほど変色していません。

ゴールドフィルドを扱っている作家さんの中には、ゴールドフィルド
を紹介する際に「金鍍金の100倍の厚さで圧着している」と書いて
おられる方もおられますが、これは完全に間違っています。
100倍などではなく、せいぜい20倍程度です。
また、「GFはアレルギーが起こりにくく、安心してお使い頂けます」
という一文を添えている方も多いですが、真鍮アレルギーの
ある方の場合は金でコーティングしてあっても真鍮は真鍮
ですのでアレルギー反応が起こることはございます。
K9やK10のように金の純度が低い金(金合金ともいいます)で
アレルギーが起こる方の場合は、ゴールドフィルドでも
アレルギーが起こる可能性がございます。
その場合は、直ちにご使用を止めて、皮膚科で治療を受けて
下さい。

では一体、ゴールドフィルドとはどう付き合っていけば
いいのでしょうか…?
ご家庭で出来る簡単なお手入れ方法をご紹介いたします。

なるべく長く綺麗な状態を保つには、皮脂や汗が付いた時に
こまめに洗うことです。
泡立てた台所用洗剤もしくは泡タイプの洗顔料などで
チェーンを優しく泡でもみ洗いし、しっかりと水ですすいで
ペーパータオルで水分をふき取って乾燥させます。
水に弱い石や薬剤に弱い石(パールやターコイズ、珊瑚
など)を使っているものについては、チェーンの部分だけ
水に中性洗剤を混ぜたものをしみこませた綿棒で丁寧
にクリーニングします。
すすぎの代わりに、水を含んだ綿棒で、同じように丁寧に
撫でて洗浄液や洗剤の着いた部分を洗います。
市販のクリーナーは、薬剤で汚れを溶かすだけでなく
少しずつ鍍金を剥がしていくので、よほど酷い汚れの時は
お勧めですが、こまめに使うとこれまた色落ち・くすみの
原因になります。

それでもチェーンのくすみや汚れが取れず、金古美のような
色合いになってしまった場合はチェーンやワイヤーを新しく
する以外ありません。

当店の作品の場合、クリーニングは無料でお引き受けいたし
ますし、チェーンやワイヤーを交換するオーバーホールは
実費にて行います。いつでもお気軽にご相談下さい。
(他店の作品の場合は、別途手数料を頂戴いたします)

個人的には、ソリティアなどシンプルなものにつきましては
少しずつK10やK14にシフトしていきたいな…と思っており
ますが、金の相場が毎日のようにどんどん上がっていく
今は、少しでもお手頃価格でのご提供を続けるためには
まだしばらくゴールドフィルドのお世話になりそうです…