可愛い可愛い 私のアルトゥーロ。 | イタリア フィレンツェ 田舎暮らしの12ヶ月

イタリア フィレンツェ 田舎暮らしの12ヶ月

動物たちに囲まれた
トスカーナの森の中 自然に寄り添った半自給自足
フィレンツェ 田舎暮らしの12ヶ月

標高550mの森の中暮らしのgnamognamo
近頃 街はずっと雲の中。




アルトゥーロの女医先生 ヴァレンティーナが
訪問診察に来てくれた。



相変わらず 脚の腫れが引かないからだ。



8日間の抗生物質と炎症止めを処方してもらい
セラピーを始める。



毎日頑張って お薬を摂ってくれたアルトゥーロ
8日間のセラピーを終えたが 脚の腫れが
良くならない。
期待していた効果が見られないからと
ヴァレンティーナに エコー検査を進められる。
車に慣れていないアルトゥーロへの
エコー検査は 麻酔をしてぐぅぐぅと眠らせて
動物病院まで行かなければならない。
ストレスを与えたくないと言っていたが
筋肉に異常があるのかもしれないという事と
治療方法を見つけるため
週に1回 火曜日にしかないエコー検査を
受けることに決め 金曜日の朝 予約をして
火曜日の検査まで毎日摂るよう言われた 
抗生物質を飲ませた。



ここ数日 本当に 息が弱くて 
ご飯も水も断るアルトゥーロは
いつもの場所 森の入り口で過ごしている。
1時間置きに アルトゥーロの様子を見ていた
金曜日の午後。

突然 姿見えなくなったので 
休む場所を変えたのかなと 探しに行くと
森の入り口から 
雨水が通る溝へ転がり落ちていた。

急いで引き上げようとするが
痛みで叫ぶアルトゥーロと 
40㎏ある大型犬を 私1人の力じゃ
持ち上げられない。
たった一人 田舎暮らしの森の中 自分の無力さに泣けてくる。
助けを求めた知り合いと 急いで帰宅した夫が
同時に到着し 大きな男性2人で持ち上げて
急いで動物病院へ 連れて行った。

ヴァレンティーナが駐車場で迎えてくれて触診。
別の獣医先生も触診。
アルトゥーロは 力を振り絞り 
私は 抵抗したいアルトゥーロの頭を抱き 
アルトゥーロは 大きな鼻と目を私の顔に向け
私は 目を見つめて大丈夫心配いらないと言う。

その場で麻酔をして ぐぅぐぅ眠らせて
放射線検査を受けた。
放射線検査では 筋肉の異常は見えない。
やっぱり骨には異常がなかった。
筋肉の腫瘍だろうという事だった。
39,6℃も熱があった。

ヴァレンティーナが 言う。

1つ目は このまま自宅へ帰宅し
炎症止めと抗生物質の薬を強いものに変えて4日間待ち 
また自宅から麻酔して ぐぅぐぅ眠らせて
火曜日のエコー検査を受けて 原因を追求する。
ただ 原因が分かっても
シニア犬 アルトゥーロの年齢的に
少し楽になる方法があっても
完治することはない事。

2つ目は 麻酔が効いている今 
安楽死を選択し
このまま痛みから解放してあげる。

3つ目は 飼い主が後悔しないために
エコー検査を受けて原因を追求して
やれることは全部やったという気持ちを決めてから 安楽死を選択する事。

咳き込むように泣き崩れる私に
夫は「君が決めなさい」 という。

私の目の前に 麻酔して穏やかにぐぅぐぅ眠る
アルトゥーロがいる。

私にどうして そんな決断が出来ようか。
私の可愛い可愛い アルトゥーロ
涙が溢れて 息ができない。

ヴァレンティーナは ゆっくり決めていいと
診察室を出ていく。

私は アルトゥーロに苦しんで欲しくなかった。
強い薬を飲ませて 検査を受けるまで数日間
生きさせるのは 人間のエゴだと思った。
ヴァレンティーナが出て行って
どれだけの時間が経ったのかわからない。
私は 痛みから開放してあげる事を選んだ。
夫も 理解してくれた。

夫も泣いていた。 
見ていられないからと 診察室を出ていった。
私は 残りたいと言った。
深く森へ入る時 いつも一緒に来て
私を守ってくれてたアルトゥーロ。
最後まで 一緒にいたいとヴァレンティーナに
お願いした。
気にせずに いっぱい話しかけて良いと言ってくれた。

いつもいつもしていたように 
アルトゥーロの前脚と私は手を繋ぎ
穏やかに 息をするアルトゥーロの頭を抱いて
大丈夫だよって 
心配いらないよって
頑張ったねって
大好きだよって
何度も何度も繰り返した。
痛みから解放されても 
アルトゥーロはずっと温かかった。

アルトゥーロを 11年暮した家へ連れて帰り
7年前にお空へ行ったおじぃに
「また宜しくお願いします」って
ちゃんと言うんだよって。
旅の途中で お腹が空くといけないから
アルトゥーロの好きだった 
おやつを持たせてあげて
庭から見える 森への入り口に 埋めてあげた。
そして そこにオリーブの木を植えることにした。

何百枚もある アルトゥーロの写真。
最後に撮った1枚
金曜日の朝のアルトゥーロ。



アルトゥーロ ありがとう。
色んな事を経験させてくれて ありがとう。
心から キミを愛している。