産経ニュース 主張 東芝不正会計 市場守る監査に立ち返れ を読んで私見 | 日米公認会計士・日米税理士・公認不正検査士・行政書士·国家公務員1種試験経済職合格者福留聡のブログ

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日米公認会計士・日米税理士・公認不正検査士・行政書士·登録政治資金監査人・国家公務員1種試験経済職合格者 福留 聡が会計、税務、監査、政治、経済、経営、時事、主催の東京法律会計士業交流会等含め記事にします。


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産経新聞が下記通り、東芝不正会計 市場守る監査に立ち返れの記事を書いています。
http://www.sankei.com/column/news/151227/clm1512270003-n1.html
産経新聞も、読売新聞、日本経済新聞に近い時期内容です。

主な主張をまとめると下記3つに集約される。
①新日本にとって東芝は、年間10億円の監査報酬を支払ってくれる優良な顧客であり、なれ合いが生じ、まともな監査ができなかった。
②日本では、監査責任者の公認会計士が5年で交代すれば、同じ監査法人であっても、ずっと同じ会社を担当できるが、欧州では一定期間で監査法人を交代させることが検討されている。なれ合いを防ぐ仕組みづくりは日本でも必要である。
③東芝の問題を、新日本による個別の事案として終わらせてはならず、なぜ不正を見抜けなかったかを検証し、監査手法のあり方なども含め、再発防止のために抜本的な見直しを図るべきだ。

①、②はその通りだが、
③は言うは易しで、実際に不正を見抜くのは、今回の東芝のケースでも組織的な隠ぺいと、資料の偽造改ざん、虚偽の説明を伴うため、現行の監査手続きではほぼ、無理といってよい。
現行の監査法人の監査権限の強化なしに、監査法人のローテーションをしても限界がある。
監査法人を税務署の税務調査等と同様に国家権限のもとに、反面調査や必要により事前予告ない調査ができる等強化してはどうだろうか?
監査実務のかの字も知らずに、新聞記者や弁護士が言いたい放題いうのは簡単であるが、99.9%の新聞記者や弁護士は会計監査や公認会計士の業務内容をまったく知らない。
監査実務は現状どういう前提で、どういう権限があり、どこまでなら不正を発見可能か知らない限り、期待ギャップの解消は難しく、いたずらに公認会計士や監査法人に負荷をかけているだけにすぎず、それでは、まともな監査法人改革もできない。

(記事貼り付け)
東芝の不正会計問題をめぐり、金融庁が同社の監査を担当した新日本監査法人に対し、新規契約を3カ月禁止するなどの行政処分を出した。

 新日本が多額の利益操作を見抜けなかったのは「監査法人として重大な注意義務違反にあたる」と判断したものだ。

 新日本はオリンパスの粉飾決算事件に関連し、3年前にも業務改善命令を受けている。これが2度目の処分となっただけに、理事長が引責辞任を表明したのは当然だろう。

 企業の会計不祥事が頻発し、監査法人に対する不信感が高まれば、日本の会計制度に対する国際的な信頼も揺らぐ。今回の事態をすべての監査法人が深刻に受け止めねばならない。

 監査法人は企業決算に対して独立した立場で適正かどうか意見を表明する。投資家は決算をもとに投資を判断しており、ここで不正がまかり通れば市場は成り立たない。監査の実効性を高めて信頼の回復を急ぐ必要がある。

 東芝は目先の利益を優先し、必要な損失を先送りするなど、7年で2千億円を超える利益を不正に計上していた。新日本はこうした不正会計を見破れなかった責任は重いとして処分された。監査法人として初めて、21億円の課徴金納付命令を受けた。

新日本は、東芝の会計操作に直接関与したわけではない。それでも金融庁は「東芝側の説明を批判的な観点で検証しなかった」として、監査法人の役割と責任を厳しく求めた。

 新日本は前身の会計事務所時代から60年以上も東芝の監査にあたってきたという。

 新日本にとって東芝は、年間10億円の監査報酬を支払ってくれる優良な顧客でもあった。そこに企業と監査法人の「なれ合い」はなかったか。

 わが国では、監査責任者の公認会計士が5年で交代すれば、同じ監査法人であっても、ずっと同じ会社を担当できる。

 欧州では一定期間で監査法人を交代させることが検討されている。なれ合いを防ぐ仕組みづくりは日本でも必要だろう。

 今回の問題を、新日本による個別の事案として終わらせてはならない。なぜ不正を見抜けなかったかを検証し、監査手法のあり方なども含め、再発防止のために抜本的な見直しを図るべきだ。