(筆記)
アメリカの計量モデルは、ワートンモデルなど。ノーベル賞のローレンス・クライン教授のグループ、ペンシルバニア大学にワートンスクールというのがあって、ここで作ったモデルです。世界で最も信用のおけるモデルです。
これも、実質GDPで、1の政府投資に対して2倍の乗数ですね。、名目GDPで2.5倍から3倍になっていますね。これは、5年後には3.5倍くらいに上がるんですね。
アメリカのモデルは短期モデルですけど、長期の性能も高いですね。
この辺が、だいたい常識なんです。
日本のモデルを外国人に見せたら、それこそ腰を抜かすんです。こんなの使って財政政策を立ててんのか、これでは国民生活が大変なことになるでしょうと言われます。
新聞は、こういうことに余り気が付かないんですよ。こういう問題は、高級な問題だと彼らは考えているんですね。
でも、ここ(産経新聞)に書いているのは、田村秀男氏が、財務省モデルは、狂った羅針盤を使って、国民をだましていると言っている。
狂った羅針盤というのは、消費税の増税のGDPのマイナス効果を非常に小さく見る、そして、公共投資のGDPのプラス効果も小さくして、むしろ赤字が増えるというような、意識的な操作をしていると言っています。
いまだに、内閣府は、民主党になってもまだこのモデルを使っています。
こういうことでして、おそらく、財務省は必死になって抵抗したんでしょうね。
マクロ計量モデルで、いろんな効果が予測できるんです。
外生変数に、公共投資、医療費支出、所得税の減税、消費税のアップ、長期金利のダウンと、こういうシミュレーションが計量モデルで出来るんですね。
<実質GDPの拡大効果>
公共投資・・・1の政府支出に対して、2年後に2倍くらい
医療費支出・・・意外に多くて、1の政府支出に対して、2年後に1.6倍くらい、5年後に2倍くらい、長期的には3倍近い経済成長効果が出てくる。
所得税の減税・・・5兆円カットしますと、最初は効果が低いですが、3年目くらいから効果は非常に大きくなる。3年目に2倍くらい、4年目に2.7倍くらい、5年目に3倍になる。
長期金利のダウン・・・1%ダウンしますと、始めは影響力は小さいですが、最後には大きくなります。2年目に1倍、4年目に2.2倍、5年目に2.5倍くらい。
(以上の政策をやると、消費が増えるということです。)
消費税のアップ・・・3%アップしますと、1年目にマイナス1倍、3年目にマイナス2倍、5年目にマイナス3倍、8年目にマイナス3.8倍、10年目にマイナス4.3倍と、急激にGDPが減ります。
(消費税の増税をやると、消費が減るということです。)
今のデフレの世の中では、支出をすると景気が上がる、支出をカットするとデフレの効果が続いて行きますから、支出のカットは出来るだけしないほうがいいんです。
だけど、一般の国民にそういうことを言っても、消費節約は皆さんやって行きますから。じゃあ、政府が率先して節約の旗を振るのかと。政府はもっと将来のことを考えて公共事業をやるとか、医療費を増やして高齢化の社会のために支出をするとかいうことをすれば良いわけです。
でも、民主党になって、どんどん旗ふって、政府も節約すると、カットし始めましたからね、これにはみんな驚きましたよ。
今の民主党は自民党と違って、経済学をやるのに、マルクス経済学をやっていたんです。マルクス経済学は、現代的なマクロ経済学を絶対敵視しています。マルクス経済学というのは、資本主義経済を崩壊に導くというのが彼らのテーゼ(綱領)ですからね、彼らに言わせると、ケインズというのは最もけしからん男だということです。
マルクス経済学は、乗数効果など有り得ないものとして、学校で教えない。
日本の経済学部の6割から7割がマルクス経済学をやっているんです。経済学部を出たといっても、どの先生でやったのか聞かないと、東大の経済学部といっても、小宮とか吉川という人ではなくて、マルクス経済学の大内とかその弟子とかのところで勉強する人が、いまだに、3割とか4割とかいるんですよ。
だから、日本の経済学自体が、ある意味、病気になっているんですね。
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