横山玲奈(モーニング娘。’20)がかわいいことについて。 | …

i am so disapointed.

モーニング娘。’20のトリプルA面シングル「KOKORO&KARADA/LOVEぺディア/人間関係No way way」が発売された今週はつまりリリース週というやつで、リリースイベントの類いがいくつか行われている。せっかくなので参加しておきたいところだが、いつものように色々なことに忙殺されているため、日程と時間がどうにも折り合わない。唯一、努力しだいで何とかなりそうなのが、1月23日の木曜日に19時から、アリオ橋本で行われるトーク&握手会であった。

 
しばらくちゃんと見ていなかったこのグループに対する興味や関心がゆるく回復してきたのは、主に楽曲やライブパフォーマンスによってであった。なので、どうせリリースイベントに行くならば、ミニライブがあるものが絶対に良かったのだが、何もかもが思い通りにいくことばかりではないので、これは仕方がない。
 
私がモーニング娘。’20で最も好きなメンバーは天才・佐藤優樹であり、次が心身共に私が考える美しさを体現しているといえる生田衣梨奈である。今回、アリオ橋本で行われるトーク&握手会には、そのいずれも参加していない。というか、9期、10期、11期のメンバーは誰一人としていない。参加するのは12期から野中美希、13期から横山玲奈、そして、今回のシングルがデビュー作となる15期メンバーの北川莉央、岡村ほまれ、山崎愛生である。
 
しかし、私はこのイベントに行きたいと思った。昨年の12月5日、「モーニング娘。’19コンサーツツアー秋〜KOKORO & KARADA〜FINAL」のライブビューイングをT・ジョイPRINCE品川で観た時、途中から横山玲奈の姿ばかりを目で追っていたからである。今回、シングルのリリースに際して公開された様々な動画においても、頑張りが見られてとても良かった。
 
昨年末、ライブビューイングには行ったものの、実際にメンバーがそこにいるライブやイベントとなると、最後に行ったのがモーニング娘。’15の頃である。13期以降のメンバーは、まだ加入すらしていない。
 
アリオ橋本というのは、京王相模原線の終点、橋本駅から徒歩5分ぐらいのところにある商業施設で、私は数ヶ月前までこのわりと近くで仕事をしていたので、ペットフードを買いにこの中にあるペットのコジマに行ったりもしていた。当時、私が行きたかったアイドルのライブやイベントは渋谷や池袋などで行われることが多く、職場が遠くなりすぎて、曜日も時間帯もまったく合わなかったので行くことが一切できなかった。そういった経緯もあり、世田谷区の自宅から下り電車に乗ってアイドルのイベントに行くというのは、なんだかとても不思議な感覚であった。
 
このイベントに参加するための優先エリア入場券、握手券が特典としてもらえるCDの販売は、会場の近くで16時から行われるという。平日で天気も良くはない、参加するメンバーが13期以降の5名のみということで、それほど混むことはないだろうが、それでも余裕を持って、CDの販売開始時刻ぐらいに現地に着くようにしようと思って行動した。
 
実際には少し早く着いたのだが、他にやることもなかったので、アリオ橋本まで歩いた。ところで、会場はアリオ橋本の中の一体、どの辺りなのだろうか。確かに入口から入って、それほど歩かない場所にステージのようなものがあったような気がするのだが、あそこなのだろうか。などと思いながら歩いていると、遠くから人混みが見えた。そして、それはやはりこのイベントに参加するために、CDを買い求める人々であった。若者や女性も多く、以前と比べ、ファン層が随分と変わったなという印象を受けるのだが、従来ながらのグルーヴを感じさせるタイプのファンも一定数はいて、ちょうどいい感じだと思う。
 
iPhoneに差したイヤフォンでレディ・ドンリ「エンジョイ・ユア・ライフ」を聴き、「ミュージック・マガジン」の曽我部恵一特集を読みながら、列が動きはじめるのを待った。この雑誌は先月号の加納エミリ「GREENPOP」に対するクロス・レヴューに失望したため、もう買うのをやめていたのだが、今月号に掲載された石川真男さんによるライヴ・レヴューがまともだったので、また買ったのであった。
 
イベントの運営がスムーズだったためか、たくさん人が並んでいたわりに、17分後ぐらいにはCDを買えていた。イベント開始前の集合時刻まではまだ2時間以上ある。ということで、アリオ橋本を出て、駅をはさんで逆の方に出てみた。何か食事をとろうと思い、どうせなら現地らしいものをと思ったのだが、都心にもあるチェーン店が多い。いろいろ見た中で最も現地っぽいと思えた、茅ケ崎海ぶねミウィ橋本店で、釜揚げしらす丼御膳というのをいただいた。しらす丼自体をあまり食べた記憶がないのだが、卵黄を落として混ぜて食べるというスタイルは初めてであった。卵かけご飯にしらすをトッピングしているみたいで、とても美味しかった。
 
アリオ橋本のタワーレコードではジャニーズ事務所の新しいグループだと思われる、SixTONESとSnow Manの広告が大々的にディスプレイされていた。先日、ツイッターを「サブスク解禁」で検索したところ、SixTONESについてのツイートがたくさん表示され、一体これは誰なのだと思っていたのだった。アリオ橋本の中にある書籍売場にいると、女子中高生ぐらいの二人組が「やっぱりいま旬なのはストーンズだよね」というような会話をしていた。我々にとってストーンズといえば、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロン・ウッド、チャーリー・ワッツから成るローリング・ストーンズのことだが、もちろんこの場合にはそうではなく、なるほどSixTONESのことを略してストーンズというのだな、と推測した。ところが後で調べてみたところ、なんとSixTONESと書いて、ストーンズと読むのだという。ストーンズが正式名称なのだ。もはや日本でストーンズといえば、ローリング・ストーンズではなく、SixTONEのことを指すようになる日もそこまで来ている、などと思ってGoogleでストーンズを検索すると、上位のほとんどがもうすでにSixTONESについてのものであった。このことについて、特に嘆かわしいとも悲しいともどうでもいいと思わないし、ただこれは現実で時代は変わるという現状認識だけがそこにあり、自分自身のこういう部分こそを大事にしていこうと思った。
 
そうこうしているうちに、入場の時刻となった。CDにランダムに封入されているトレーディングカードは、加賀楓のものであった。待っている間、今回のシングルに収録された3曲のミュージック・ビデオ、CMスポットが繰り返し流れるのだが、メンバーそれぞれに見どころがあり、まったく飽きることがない。やはりこの日のイベントは新加入の15期メンバー、3名にスポットを当てたものという色合いが強いようで、司会というか前説のような人が、新メンバーをどう料理するかは、先輩である野中美希、横山玲奈の腕にかかっている、というようなことを言って、ファンにはウケていた。
 
ところで、ランダムに配布された優先エリア入場券の番号が200番台後半であり、優先エリアといってもわりと後の方である。前に立っている人達の間からステージ上のメンバーが見えたり見えなかったりする、という状態である。おそらく向かって左から野中美希、横山玲奈、15期メンバーの3人という順番での並びになるだろうと予測し、横山玲奈が見えやすいポジションを確保した。これが大正解であり、前に並んでいる人達の間から横山玲奈だけが見える、というか、横山玲奈しか見えない。まるでスマートフォンの縦長の画面に横山玲奈だけが映っているような状態である。そして、語彙力の貧しさを嘆かずにいられないのだが、ただただかわいい。かわいいとしか言いようがない。よこやん、かわいい。
 
それにしても、よこやんという愛称である。ラストネームの頭二文字にやんを付けて呼ぶという感覚は、元野球選手で解説者の金田正一(故人)をカネやんだとか江本孟紀のことをエモやんだとか、元かぐや姫のシンガー・ソングライターの伊勢正三のことを正やんだとか、主にそういった印象であり、若い女性に対して用いるイメージがあまり無い。大昔に一緒に働いていた当時は20代で同年代の女性のことを谷やんなどと呼んでからかっていたところ、はじめは嫌がっていたのだが、途中からアメリカのインディー・ロック・バンド、スローイング・ミュージズ、ブリーダーズ、ベリーなどで活動し、キュートなボーカルが魅力の女性アーティスト、タニヤ・ドネリーをもじって、谷やん・ドネリーなどと自称しはじめたので、調子にのるなと苦々しい気分になっていた(知らんがな)。
 
要は、よこやんなどという愛称を受け入れている時点で最高に違いない、というものである。あと、立川から中央線と青梅線を乗り間違えてイラついていた時に気持ちを鎮めるために聴いた過去のラジオ音源によると、春巻きが大好きということであり、ここもひじょうに推せる部分である。
 
衣装は「人間関係No way way」のもので、これが現場では初披露だという。野中美希の声質が私はとても好きなのだが、このイベントを全体的にソツなく回していて、気分が良かった。実際にマイナスイオンを発生していたのではないか。そして、横山玲奈のMCには勢いと熱さがあり、このコンビネーションはなかなか良いのではないかと思った。そして、やはり15期メンバーをフィーチャーしたところが目玉というところもあり、会場にあつまったファンからの質問に答えていくという内容である。この会場で積極的に挙手をするだけあって、当てられたファンはとても良い質問をする。怖い先輩メンバーとか、歌ってみたい曲とか、先輩から見た15期メンバーの魅力とか、ハロー!プロジェクト内での推しメンとかである。
 
トーク内容はひじょうに面白いのだが、この時点で立ち位置をやや変えたのか、私の視界から横山玲奈は見えなくなり、15期の北川莉央だけが見えている。正統的な美少女といった感じで、新メンバーながら落ち着いた雰囲気も感じる。「泣いちゃうかも」「リゾナント ブルー」といった、いわゆるプラチナ期の切なげな曲が好きというのも、イメージに合っているし好感が持てる。岡村ほまれと山崎愛生がほとんど見えなかったのだが、どちらかが「彼と一緒にお店がしたい」が歌いたいと言っていて、道重さゆみ原理主義者でもある私としては、これもまたうれしかった。横山玲奈は「色っぽい じれったい」「初めてのロックコンサート」を挙げていた。「初めてのロックコンサート」は12期が参加した初期のコンサートツアーでセットリストに入っていたが、途中から外され、その理由は知らされていないらしい。実は私はこの曲を知らないので、後でチェックしてみたいと思う。野中美希は東京オリンピックの年でもあるということで、「One and Only」を挙げていた。
 
ハロー!プロジェクト内の推しメンについては、北川莉央が加賀楓を挙げていたのを除いては、BEYOOOOONDSやアンジュルムのメンバーの名前がかなりの熱量と共に飛び交い、会場にいたファンの人達はうなずいたりしていたのだが、私にはほとんど分からなかった。特に横山玲奈はBEYOOOOONDSのあるメンバーについて、本当にかわいいですから、みなさん見てください、などと熱く語っていた。グルーヴを感じた。
 
トークが終わり、それから握手会になった。とても若いメンバーが多いこともあり、握手会には参加せずに帰ろうかとも思っていたのだが、そんな人は他にはいなさそうだったし、荷物を入れるための大きなビニール袋もすでにもらっていたので、参加して帰ることにした。ものすごい人数なのだが、進行がスムーズで、1人のメンバーとの握手の時間は会話もできないほどの一瞬でしかないので、わりとすぐに順番が訪れた。最初が野中美希で、15期の3人がいて、最後が横山玲奈という順番であった。この中で握手会に参加したのがあるのは野中美希だけだったが、あれはCDデビューしてからそれほど経っていない頃だった。トーク中はほとんどその姿が見えなかったのだが、改めて本当に大人っぽくて美しくなったなと、感心させられる。15期メンバーもこれがデビュー・シングルながら、しっかりとファンの目を見て、丁寧な握手をしている。そして、横山玲奈である。よくアイドルを生で見た時の感想として、お人形さんみたいということを昔はよく言ったものだが、まさにそんな感じである。そして、笑顔が素晴らしく、内面からあふれるようなポジティヴなエネルギーを感じた。「ありがとう」と、横山玲奈は言った。
 
外は、確かに見慣れた橋本の夜の風景であった。アイドルとは日常を少しだけ豊かにするようなものであり、依存しすぎて思い気分になったり、マウントの取り合いで疲弊したりするものでもなかったのだ、ということを少し思い出したりもした。横山玲奈に感じるよく分からない懐かしさというのは、おそらくたとえば私が高校生の頃に行ったアイドル歌手の握手会で、まったく同じ世界に住む存在ではなく、TVの国からキラキラというか、それは虚構であり表層的な存在だと分かり切った上で、それを楽しむ文化だった頃を思い出させてくれるからかもしれない。
 
それは、アイドルに依存したり深く入れ込むことができない環境において、それでもアイドルを好きにならずにはいられないというジレンマをかかえる私が、実は心の奥底でずっと待ち望んでいた存在なのかもしれない。
 
おそらくいまや数少ないと思われる、「『生きる』ブログ。」時代からの読者におかれては、あーまたはじまったよ、という印象ではあると思うのだが、不思議だが本当だ、ということだけが確信であり、このリアリティーだけで人は生きていけるのかもしれない。