Petri忘れられた名レンズ達 その3 cc 55mm F1.4 最強のポートレートレンズ | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

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カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。

続けて書いてきたPetri cc auto シリーズですが、今回は真打登場です。

 

Petri c.c. auto 55mm F1.4

大きな前玉が特徴的

さらに特徴的なのは大きな後玉、F1.2クラスのレンズのようだ

 

このレンズはペトリのレンズラインナップで最も明るいレンズだ。ペトリFT用にリリースされたレンズで構成は5群7枚。オーソドックスな4群6枚のガウスタイプの最後部に凸レンズを一枚追加して正パワーを強め、明るさを明るくしている。ライツクセノンや後継のズマリット、コンタレックスプラナーF1.4などに採用されている方式だ。

この構成のレンズには共通の弱点がある。開放時にコマ収差由来のフレアが発生してしまいコントラストが落ちたり、場合によっては画面上に白いモヤのようなゴーストが発生してしまうことである。これは前群と後群の対称性によるもので対称性を崩せばキャンセルされる。

 

このレンズのカタログには電子設計機を使った近代的な設計のレンズとある。50年代の半ばから登場したコンピューター設計をペトリも導入していたようだ。

55mmF1.8はフリントガラスのみで作られた珍しい設計なのに対し、このレンズではクラウンガラスも用いられている。設計系譜的にF1.8とは全く別系統のレンズといえる。

 

前述したとおり開放でフレアを発生しやすい構成のこのレンズの写りはどうであろうか?

結果は全くその気配が見られない。開放から高性能なのだ。

開放でもシャープなピント部、柔らかくやさしいボケ味。

 

 

Petri c.c.auto 55mm F1.8とは全くの別物だ。開放値が暗い分F1.8クラスレンズの方が開放ではシャープで安定した写りをしがちだがペトリに関しては完全にF1.4の方がシャープで性能がいい。

ヤシカコンタックスプラナーが登場する70年代ならばまだしも1967年にこの性能とは、ずば抜けている。世界に十分通用する性能だったと思う。

 

前ボケも理想的な柔らかさ

開放から絶好調。ポートレートに最適な柔らかさ。それでいて線が細くシャープなディテール

拡大するとこのとおり、髪の毛一本一本しっかり解像してます

 

だけど写り過ぎない。現代レンズではもちろんこんなレンズ見たことないですが、オールドレンズでも稀にみるポートレート向きレンズです。

 

もちろん僕の仕事用レンズラインナップに入ってます。

 

F1.4クラスのレンズをいきなり設計してこの出来、やはりペトリは恐ろしい会社です。

 

Model:菅彩夏子