住宅産業のコアとなる技術は何なのか?  | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

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「オーガニックスタジオ新潟」社長のブログ。かっこいいエコハウスを提供するために日夜奮闘中。役立つ「家づくりの知識」は、オーガニックスタジオ新潟のHPにて更新。このブログでは個人的な関心ごとと「工務店経営」についてがテーマ


工務店業界のご意見番として知られている
SAREXの代表 野辺公一さんをホスト役として、
コロナでステイホームの、業界の賢者たちは、
月1・2回のペースで、Zoomで飲み会をされている。
なぜか私もそこにお声かけさせていただいてご一緒しています。

(右上の方が松村秀一様)


そこで東大教授の松村秀一様の、
おっしゃっていたことが深くて 
飲み会後に色々考えた。

「業界産業ではコアとなる技術がある。
例えば、自動車はエンジンの内燃機の技術がコアであった。
それがEVになり、バッテリーと制御技術がコアになり、
ブレークスルーが起こっている。
それでは住宅産業においてコアとなる技術は何なのか?」
という命題です。

例えば断熱技術や空調設備はコアではなくて、
付加価値的な周辺の技術である。

あえてコアとなる技術と言えば
「アッセンブリー(組み立てる)技術」であって、
幅広く存在している建材を、どのように組み合わせるか、
すなわち設計・施工がコアとなる技術としか言いようがない。

自動車の内燃機から電気自動車にとって変わったような、
住宅の場合は、そのような革新的な
ブレイクスルーは 住宅では起こらないのではないか? 

現在大型パネルが注目されているが、
それは木材の仕口加工の自動化である、
プレカットの技術のさらなる進展であって、
住宅産業のブレイクスルーとまでは言えない。

であるから、未来の住宅において、
降ってわいたようなカプセル住宅のようになるわけではなく、
現場からの 遅々とした部分改良の積み重ねによって
変化していくのが未来の住宅だろう。」


概ねそのような趣旨のお話があった。

なるほど、そのような上空から俯瞰した観点で、住宅を考えるのは新鮮です。

 




戦前までにおける住宅産業は、
コア・テクノロジーは、やはり「木の活用」にあったと思う。
昔の家は、徹底的に木を使ってできていた。
柱や梁という構造部分はもちろん。
床材、 外壁材も杉の板。 建具も板戸、 障子戸で杉である。
家全体の建築コストでの、木材関係の占める割合が極めて大きかった。

しかし、現在の住宅においては、電化され 設備類も充実し、

外壁は窯業。建具は塩ビシート張り。床もプリント合板(複層フローリング)
木軸構造ぐらいしか、木が使われないのが普通になり、
製造原価で木軸構造の占める割合はせいぜい10%程度でしかなくなった。

まさに核なる技術は アッセンブリーしか残らない。

松村先生の面白い観点に興味がわいて、
著書もかなり出されているうちの 2冊取り寄せして読んでみた。
すると めちゃくちゃおもしろい。 

 

業界関係者は絶対読むべき本でした。
 

その一冊、「ひらかれる建築」

 

名著ですが、新書の定め、売れ行きは芳しくはなく

絶版とのこと。 

在庫も この記事で 瞬間蒸発必至。

 

あーもったいない。 みんな本を買いましょう。