長野県安曇野市の穂高にあるそば処『上條(かみじょう)』。
メニューは伝統的なそばだけでなく、様々な創作そばも楽しめる人気店。
以前はラーメンも提供していましたが、平成23年で提供を終了したそうです。
こちらのお店で特に気になっていたメニューが『おしぼりそば』。
おしぼりそばは主に長野県北信地方の郷土料理で、「ねずみ大根」と呼ばれる小ぶりの地大根をすりおろし、布巾で搾った汁に信州味噌を溶かしたつゆで食べるそば。
おしぼりそばという名前は、絞り汁を使うことから名付けられたとか。
そばだけでなく、うどんバージョンの『おしぼりうどん』もあります。
ねずみ大根は小ぶりで下部が膨れており、根が尻尾のように見える形状が名前の由来。
辛味大根の一種で、通常の大根の2倍以上の辛味値があるそうです。
長野県は山に囲まれているため、昔から昆布やカツオ節など出汁をとる材料が手に入らなかったことから誕生した食べ方と言われています。
以前坂城町の「かいぜ」というお店でおしぼりそばとうどんを食べたことがあるのですが、独特の食べ方が面白かったので、別のお店でも食べてみたいと思い、今回こちらの店を訪問。
場所は穂高駅が最寄りで徒歩10分ほどの距離。
駐車場は店前の他、第2、第3駐車場もあります。
この日は日曜日、お店には14時過ぎの訪問。
この時先客は1組と空いていました。
メニューはおしぼりそばやくるみそばといった長野ならではの名物そばや、鬼おろしなどの創作メニュー、もりそばやかけそば、天ぷらそばなどオーソドックスなものなど様々。
裏面には一品料理やデザートもあり、特にアップルパイが人気のようです。
食べたかったのですが、残念ながらこの時既に売り切れていました。
予約してから行けばよかったです。
今回は3人で来たので、おしぼりそば、鬼おろし、天恵そばをシェアしながら食べることにしました。
価格はいずれも税別表記です。
【おしぼりそば】1000円
そばと辛味大根のしぼり汁、別皿に味噌とネギ、そしてそばの味わいをシンプルに楽しめる水そばも付いていました。
安曇野は伏流水となった北アルプスからの雪解け水が日量70万トンも湧き出しており、「名水百選」や「水の郷」に認定されている地域。
こちらのお店では、信州八ヶ岳の麓で収穫された玄そばを石臼挽きし、そば打ち、茹で、さらし、出汁とりなど調理の全工程に安曇野の名水を使用しているそうです。
まずは水そばから。
やや中太くらいの形状で、モチッとしたコシ、甘さと風味もしっかり楽しめる好みのそば。
しぼり汁は大根特有の風味がかなり強く、辛味は若干ツンとくるくらいで、苦味の方が顕著に感じます。
以前食べた時は咽せるくらい辛味が強かったので、今回食べたのはかなりマイルド。
産地や季節によって辛味が異なるらしく、冬は極辛のようです。
味噌を溶かすとまろやかにはなりますが、苦味がかなり残っていたので、少し食べ進めるのが困難でした。笑
【鬼おろし（ちか） 】1200円
冷たいそばにねずみ大根のおろしをトッピングしたぶっかけスタイルのそば。
他に具材は北海道 道東の風蓮湖で獲れた小魚「ちか」の天ぷらと、ネギ、かいわれ、生姜、天かす、刻み海苔など。
ちかは初めて食べる未知の魚。
同属のワカサギとよく似ているらしく、両種が区別されずに流通することもあるそうです。
こちらのおろしも搾り汁と似た味わい、辛味は控えめで苦味が際立ちます。
天かすと海苔がたっぷり絡んだそばに、コクのある旨味が効いた濃口のつゆがとても美味しいです。
生姜はさっぱりとして良かったのですが、おろしはやっぱり苦味が強くて少し苦手でした。笑
天ぷらは衣がサクッと身はふわっと柔らかく、上品な味わいの白身で確かにワカサギに似ている気がします。
美味しい魚ですね。
【天恵そば】1200円
温泉卵、ごま、焼き味噌、海苔、エビ、揚げたそば米、かいわれ、ネギ、鴨の燻製、大根おろし、わさびと、たっぷりの具材が乗ったそば。
温泉卵を太陽にみたて、その元で色々なものが生まれて育まれている様をそばで表現したそうです。
こちらについては数口しか食べてないのですが、温泉卵のまろやかな味わいにつゆがとても相性良く、一口毎に色んな具材が楽しめて、個人的に1番美味しかったです。
ちなみに最後に出てくるそば湯は、とろっとろで濃厚なタイプでした。
今回は辛味大根が好みに合わなかったものの、そばそのものにはとても満足。
またアップルパイのリベンジも兼ねて行きたいお店です。
ご馳走様でした！